南半球の小国で生まれた、壮大な音像。CITY OF SOULS、デビューアルバムリリース記念インタビュー

――アルバムリリース前、3月に地元でDEFTONESのサポートをやる予定だったけど、新型コロナウィルスの影響で延期になってしまったね。その後、ニュージーランドの状況はどう?

「ニュージーランドの日常は、ようやく戻りつつあるよ。僕たちも8月から国内でツアーを再開する予定なんだ。まだ海外から戻ってきた人が感染したり、油断はできないけどね。ニュージーランドはほかの国からは隔離された場所にあるから、元々ウィルスもそこまで多く入ってこなかったのは幸運だったと思う。それにニュージーランド人はとても適応力がある。おかげでコロナによってロックダウンになっても、自分たちなりに楽しみを見出していられたから、今の状態があるんじゃないかな」

――今言ったように、ニュージーランドはほかから隔離された、小さな島国だよね。でも過去にはSHIHADをはじめ、BLINDSPOTTやIN DREAD RESPONSE、ULCERATEといったバンドが国外でも活躍しているけど、どんな音楽シーンがあるの?

「ぶっちゃけ、僕は田舎町で育ったから、10歳くらいまでAC/DCしか聴いたことがないような子どもだった(笑)。だから一般化することはできないけど、ニュージーランドのリスナーの傾向としては、幅広い音楽を聴いているように思う。でもだからといってアーティストも多彩かというと、また別だね。アウトプットが少ないのかな。メタルやパンク、ロックといったジャンルに限っても、そもそもバンドの数が少ないし。ある程度国外で売れたバンドも、どこかのんびりしているというか、ニュージーランドらしいバンドっていう感じがするよ。僕たちとしては、ニュージーランドの少ないロックバンドのなかで、先頭を走れるような存在になりたい。いろいろなスタイルを混ぜ合わせて、たくさんの人に気に入ってもらえるようなね」

――いわゆるパンク/ハードコアとかメタルにおいて、シーンというかコミュニティみたいなものはある?

「近いスタイルのバンド同士の、すごく小さなシーンはあるよ。でもやっぱり、ジャンルというよりも音楽をやっている人同士が繋がっているような感じのほうが強いね。それこそ、ひとつのジャンルしか聴かないしライヴも行かないんだったら、年に2本くらいしか見るものがないからさ(笑)。だからみんな、ひとつのジャンルにこだわっているというよりは、いろんなものを聞いたりやったりしているね」

――CITY OF SOULSのメンバーだけでも、いくつものバンドを掛け持ちしているよね。これはニュージーランドでは普通のことなの?

「そうだね。バンドメンバーの掛け持ちはすごく多い。さっきも言ったようにバンドが少ないから、ステージでもフロアでも、同じ人間をライヴで見かけることが多いんだ。それで顔見知りになって、多少ジャンルやスタイルが違っても“ちょっといっしょにやってみない?”って誘うことは多いし、そこからクロスオーヴァーしていくこともあるよ。その結果、ニュージーランドではヒップホップと掛け合わせたスタイルのバンドが、以前よりも増えているね」

――8月から国内ツアーを再開するということだけど、ほかにはどんな予定があるの?

「実はCITY OF SOULSの活動と並行して、IN DREAD RESPONSEのアルバムのアイデア出しを始めたところなんだ。まだ状況はわからないけど、2021年から2022年にかけてアルバムを完成させて、CITY OF SOULSとしても、IN DREAD RESPONSEとしてもまた日本に行きたい。日本の人たちは本当に献身的にサポートしてくれるし、行けばまた最高の経験ができると約束されているからね。以前僕たちを観に来てくれた人たちも、最近僕たちを知った人も、ぜひ待っていてほしい。今回のコロナ禍でわかったのは、組織じゃなくて、個人として、いかにしっかりした絆を作っているかが重要かということなんだ。その点、僕たちはどのバンドでもずっとDIYな活動をしてきたし、ニュージーランドにも日本にも、信頼できる友だちがいる。お互いに助け合えば大丈夫だし、楽しいことができるはずだよ」

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