2023年ベストアルバム!

年明け早々にいろいろありますが、2024年最初の記事アップです。というわけで、2023年のベストアルバムについて、パっと思いついた10枚をまとめてみました。

本当は年が明ける前にアップしたい…と毎年思ってはいるんですが、まぁ年末の追い込みとかでなかなか進まず、結局年末年始の休みの間に準備…というのが恒例になっています。

ちなみに選出にあたり、勝手に定めたレギュレーションは以下の2点。

・2022年12月~2023年11月にリリースされたアルバムを選出しています(いろんな年間ベストを見ても、年末付近にリリースされたアルバムは選ばれにくく、明らかにフェアでないため)
・月イチのレビューで取り上げたかは問いません(インタビュー等で取り上げられないタイミングだったケースもあるため)
・選出したアルバム内でランク付けはしていません。ぶっちゃけ頭に思いついた順番です

やっぱり普段の仕事のこともあって平日は動きづらかったりするんですが、今年もチャンスがあれば国内外問わずインタビューはやっていきたいと思います(来日系は土日でタイミングが合えば…)。ほかにも、参加者も楽しんでくれた対談なんかもやれたらいいですね。
あとは別途改めて言いたいなと思いますが、企画の持ち込みや書き手も募集しています。何かあればお気軽にご連絡ください。

というわけでいってみましょう!

■STAIND『CONFESSIONS OF THE FALLEN』

アメリカ、マサチューセッツ州のニューメタルバンド。活動休止を経た12年ぶりの8作目ですが、通常のメタルやハードコアとは違う、ニューメタルならではのうねるグルーヴに大らかなメロディを載せた「STAINDってこうだよね」を期待通りに出したアルバムです。初期および12年前の前作で顕著だった暗く重々しい音像をキープしつつ、中期の明るいバラード路線も踏まえた集大成的な内容は、昨今のニューメタルコアとも一切共振しません。時代にすり寄っておらず、ぶっちゃけ進化していないとも言えるんですが、とにかく楽曲とメロディの持つ説得力で黙らせる様はさすが。「こういうのでいいんだよ」としみじみしつつ、何度リピートしたかわからないアルバムでした。

■SYLOSIS『A SIGN OF THINGS TO COME』

UK産メタルバンドの6作目。ARCHITECTSでも知られるジョシュ・ミドルトン(vo,g)が、元々2000年からやっていたバンドです。最新作でUKチャート1位を獲ったARCHITECTSから「メタルをやりたい」と脱退しこちらを選んだわけですが、これがめちゃめちゃかっこいいです。LAMB OF GOD以降のグルーヴ・メタルを基軸に、ところどころメロディアスな面を見せつつ、メタルコア的なエモさやUKらしい湿り気を極力排除。スラッシュなりメロデスなりを消化した切れ味鋭いリフの連打が、とにかく気持ちよい。テクニックも十分ながら、変にこねくり回さず攻撃力に全振りしたのもポイント。絶頂期のARCHITECTSを脱退してまで作っただけある、筋と意地を通したアルバムです。

■ORBIT CULTURE『DESCENT』

スウェーデンのメタルバンドの4作目。スウェーデンのメタルシーンにおいて、決して中心ではないエークシェー出身なこともあってか、決して典型に収まりきらないバンドです。中期のMETALLICAやMACHINE HEADを経由した、ミドルテンポ主体のずっしりとしたグルーヴを中心に、北欧らしいメロディアスさやオーケストレーションを溶け込ませるスタイルは相変わらずですが、今回は音質、アレンジともに飛躍的に向上。過去作は各方面のモダンなメタルの美味しいとこどりがうまい故に「〇〇っぽい」が先に来てしまう印象だったのが、ようやく自分たちの型を身に着け、勢いにも乗った感じがあります。バンドも勢いに乗っているのか、12月には3曲入りのEPまでリリースする精力をアピール。この勢いを維持できれば、化物になるポテンシャルが大いにあります。

■SEVENDUST『TRUTH KILLER』

アメリカ産ニューメタルバンドの14作目。図太く筋肉質なグルーヴと怒号込みの暑苦しいヴォーカル、リズムに対する変則的なフレーズの当てはめ方を武器に、シーン衰退後もしぶとく生き残ってきたバンドですが、ここ数年でむしろ時代が彼らに追い付いてきたというか、実はDjentやメタルコアで多用されるチャグ(速くて細かい刻み)を先取していたのではないか…と思ったり。本人たちも時代を意識しているのか、はたまた年齢を重ねたからか、今回は従来のグルーヴやフレーズメイキングはそのままに、より柔らかでポップな歌も見せており、しかもそれがピッタリはまっているんですよね。あの頃のニューメタルを保持しつつ、現代性も感じさせる珍しいアルバムでした。

■WILL HAVEN『VII』

カリフォルニアの「ノイズ・メタル」を自称するバンドの7作目。初期から一貫してミドルテンポ主体の、ベッタリとへばりつくような暗いサウンドを信条としつつ、ブラッケンドとは一線を画すスタイルは相変わらず。ただ今作はブラストビートを部分的に取り入れてみたりと、若干の挑戦をすることで元々の持ち味を増幅しつつ、さらに空気を捻じ曲げることに成功。根本の自分たちらしさをぶらさないまま、毎回ちゃんと新鮮な空気を取り込んでいるんですよね。ニューメアルやハードコア、ノイズロックと人脈が広いわりにはどこにも属さない、独特の立ち位置故になかなか評価されないですが(これ毎回言っています)、そろそろちゃんと目を向けられるようにもなってほしいと思います。

■SLEEP TOKEN『TAKE ME BACK TO EDEN』

UKの覆面プログレ・メタルバンドの3作目。メタルに映画のサウンドトラックやポップミュージックの要素をミックスするという手法自体は目新しいものではないし、過去作も悪くないけどけけれん味が強すぎる…という印象を出なかったんですが、今作で大化け。情報量の多い重層的なサウンドはそのままながら、簡潔にわかりやすくまとめつつ、ポピュラリティを格段に底上げされた印象。ちょっと行儀が良すぎるような気がしないでもないですが、それはまぁ求めるものの違いでしょう。曲のバリエーションが広いだけでなく、取り入れたジャンルの臭みをきれいに取り除く手腕も見事。作家やアレンジャーも大いに絡んでいそう(もしくはメンバーが覆面被ったその道の人)ですが、だからこそのプロフェッショナルな仕事が光るアルバムでした。

■WORLD END MAN『SUFFER LEADER』

大阪のデスメタルバンドの2nd。これだけ2022年の12月リリースです。ひたすらブルータルで物騒でケンカ腰、全編治安の悪いサウンドで、ほぼ全曲(1曲だけ4分近い)が3分を切る短さながら、戦闘力と攻撃力をダイレクトかつ最大限に伝える…というか、どうすればもっとも破壊力のあるぶん殴り方ができるかが提示されています。「デスメタル」としての純度を上げるために、それ以外のハードコアやヒップホップといった要素等も咀嚼されており、下地となる計算力とボキャブラリーがとにかく豊富で、同時に耳に刻み込むフックも満載。容赦ないのにキャッチーな、筋肉質だけど脳筋には到底作れないアルバムです。いろんなメタル系のメディアがスルーしているのが、不思議でならないですね。

■SeeK『故郷で死ぬ男』

大阪のハードコアバンドの初アルバムにして、何度聴いても衝撃が衰えない、まさに大傑作。ハードコア由来の攻撃性、ブラックメタル経由の悲痛さ、スラッジ譲りの重量感…と、各要素をピックアップすると何の変哲もないように見えるのに、すべて飲み込んで吐き出した結果、アートワークよろしくのデカくて禍々しい、他に類を見ない音が生まれてしまったという奇跡の瞬間を真空パック。いかにも地下らしい雰囲気を濃厚にまといつつ、シーンやフィールドを余裕で飛び越えていくスケール感がみなぎっており、それを不足なく伝えるクリアな音質も見事。恐ろしいのが、ライヴでの音像はこれよりも格段にデカくて重いということ。今一番ライヴを観るべきバンドのひとつだと思います。

■Homecomings『New Neighbors』

日本の4ピース・バンドの5作目。アニメの主題歌でたまたま“ラプス”を聴いたんですが、繊細かつ抑制された音がめちゃめちゃ響きました。インタビューを読むとTHE SMASHING PUMPKINSやAMERICAN FOOTBALLの名前を出しており、フィールドが違うだけでなかなかオタクの感性だな…と思った次第(変則チューニングも導入しているとのこと)。旧作品を聴いてみるともっとJ-POP寄りな作風だったのが、今作はJ-POP感を維持しつつもオルタナ~エモ的な音作りや進行が色濃く出ており、謎のバランス感覚がの上に成り立っているんですよね。良い意味でメジャー感の薄い淡々とした作風ですが、メジャー故にこれまで届いていなかったのかも。もったいないことをしたなと思います。

■PUPIL SLICER『BLOSSOM』

UK、ロンドン出身のマスコア/カオティック・ハードコアバンドの2作目。THE DILLINGER ESCAPE PLANやBOTCHからの影響を軸に、CODE ORANGEやVEIN.FM等にも通じるインダストリアル要素を加えるという、現代マスコアの必須科目をしっかりと押さえつつ、ポストブラックやシューゲイザーの影響も混ぜこませるという、ありそうでなかなかなかった手法を確立したアルバムです。陰鬱でメランコリックなパートを挟み込むことで、無慈悲で機械的なマスコアと互いに引き立たせるだけでなく、騒乱よりも不気味な静けさを強調。UKのバンドならではの湿り気と相まって、無個性になりがちなマスコアを数段上に押し上げています。デビュー時は存在自体に気付いていなかったんですが、この段階で見つけられてよかった、今後が楽しみなバンドです。

今年もすでに期待のリリースやライヴ等がありますが、なんにせよとにかく穏やかに、トラブルなく楽しめますよに。

本年もよろしくお願いします!

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STAIND:https://twitter.com/staind

SYLOSIS:https://twitter.com/Sylosis

ORBIT CULTURE:https://twitter.com/orbitculture

SEVENDUST:https://twitter.com/Sevendust

WILL HAVEN:https://twitter.com/willhavenband

SLEEP TOKEN:https://twitter.com/Sleep_Token

WORLD END MAN:https://twitter.com/WORLDENDMAN

SeeK:https://twitter.com/seekjpn

Homecomings:https://twitter.com/homcomi

PUPIL SLICER:https://twitter.com/PupilSlicer