フランスからの強力なニューカマー、YAROTZ!『Erinyes』でシーンに殴り込みをかける!

ちょっと思ったんですが、みなさんフランスのバンドって、パっとどのくらい思い浮かびますか?
ここ10年くらいではGOJIRAやALCESTなんかが筆頭株で、ほかにはDEATHSPELL OMEGAやPLEYMO、YEAR OF NO LIGHTあたりでしょうか。よく思い出せばもっと出てくるはずだし、「あ、フランスだったんだ」というバンドもいると思いますが、アメリカやUKに比べると、絶対数は少ないと思います。HELLFEST(2000年前後にアメリカでやっていたハードコアの祭典じゃなくて、フランスでやっているもっと総合的なメタルフェス)なんか開催している割には…というのが正直なところ。超詳しい人はともかく、このくらいの認識の人がほとんどじゃないかという気がします。
でもそんな人たちにも、ぜひ今回覚えておいてほしいバンドが、YAROTZです。

2018年に結成したYAROTZ。当初はTHE THIRD EYEという名前で活動していたものの、ほどなくYAROTZに改名。現在はファビエン(vo,g)、ヴィンセント(vo,b)、エンゾ(ds)の3人で活動しつつ、同じくフランスの出世頭、GOJIRAのクリスチャン・アンドリュー(g)もサポートメンバーとして参加しているとのこと。
自らを「Heavy Metal Punk」と称し、NAILSからCHELSEA WOLFEまで影響を受けたというだけあって、凶暴ながら繊細さも併せ持った楽曲が魅力です。
そんな彼らが3/23にリリースする初のアルバム『Erinyes』がお目見えとなりました。

スタイル的には、CONVERGEやBOTCH以降の、いわゆるカオティック・ハードコアというのが最もイメージが湧きやすいと思います。とはいえ整合感のあるサウンドメイクや、瞬発力がありつつも確かで安定したテクニックからは、モダンでプログレッシヴなデスメタル的側面が強い印象です。
聴いていて驚くのが、曲の構成力・アレンジ力。目まぐるしく展開が変わっていきながらも散漫にならず、聴かせどころというか、ツボを押さえた曲作りがなされています。随所で引きのパートというか、ポストロック~メタル由来の静的なパートを取り入れつつも、ダラダラと引き延ばしたりせず簡潔にまとめることで、かえって曲に加速度をつけているのも見事。とにかく緩急のつけ方がうまい。
ねじ曲がったリフと怒号をまき散らしながら駆け抜けたかと思えば、ドゥーミーにへばりつく様なスローチューンで落としにかかり、そこかしこに泣きのフレーズとメロディを忍ばせてあり…と、9曲40分一気に聴かせるというか、気が付けば終わってるような感覚です。でも丁寧に練りこまれているから、聴くたびに発見があるんですよね。無駄な脂肪がないうえに文武両道という、かなりの強キャラです。

メンバーが参加しているGOJIRAや、前述のCONVERGEをはじめとするDeathwish人脈、BOTCHはもちろん、日本ならPALMやNoLAあたりが好きな人には間違いないバンドです。というか、どれか1曲を聴いて「おっ!」と思ったなら、全曲気にいると思います。それくらい充実の、捨て曲なしのアルバムです。これでデビュー作というのが、本当に驚きます。

この『Erinyes』、もちろん各種サブスクやbandcamp等の配信で聴けますが、Abyss Gazer Recordsが日本国内でのCD取り扱いを行います。プレス数は限定とのこと。アートワークはPresence of SoulのYuki(vo,g,key)の描き下ろしです。

YAROTZ、現時点でまだツアーの予定は組まれていないようですが、6月には本国のHELLFESTに出演予定。おそらくこれからヨーロッパを中心にのし上がっていくであろう存在なので、まさに打って出ていく今の段階からチェックしておいて、数年後に自慢しましょう。僕はします。

 

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Official HP:https://yarotz.com/
facebook:https://www.facebook.com/YAROTZ
instagram:https://www.instagram.com/yarotzband
bandcamp:https://yarotz.bandcamp.com/
Abyss Gazer Records:https://abyssgazerrecords.tumblr.com/