本多スーサイド(VIVIAN BOYS)× TSUNEGLAM SAM(YOUNG PARISIAN)対談!

VIVIAN BOYS YOUNG PARISIAN

本多スーサイド(VIVIAN BOYS) × TSUNEGLAM SAM(YOUNG PARISIAN)
進行: 松田(HELLO FROM THE GUTTER)
2017年10月21日 新宿某所にて収録

YOUNG PARISIANとVIVIAN BOYS、一見なんの共通点のなさそうな2バンドだが、まるでボウイとイギーのようにいつしか共鳴しあうようになった。そんな二バンドのSPLITが2017年、HELLO FROM THE GUTTERよりリリース。VIVIAN BOYSの本多ス―サイドとYOUNG PARISIANのTSUNEGLAM SAM、レーベルの松田での対談をここに記載する。

「有名人ってのは冷たいもんだなって思いましたよ」

本多スーサイド(以下H) : 対談始める前に聞きたいことがあるんだけど、越路吹雪好きでしょ?
ツネグラム・サム(以下T) : いや、そこまで思い入れはないですね。高英男が大好きです。男のシャンソン歌手が好きなんですよ
H : そうなんだ、今日ライヴ観ててすごいそう思ったんだよね。でももう(ツネグラム・サムは)キャムプ感がすごいよね
T : それは凄い褒め言葉です。キャムプ感は目指してますので。ただ自分に決定的にかけてるのはデカダンですよ
H : あぁ、、、、
T : デカダンになりきれないんですよ。自分、そんな暗くないし友達もけっこう多い方ですし(笑)
H : 性格がひねくれてなくて面倒見がよすぎるからじゃない?
T : いやそんなこともないけど、たしかに面倒見のいいデカダンってなかなかいないですもんね(笑)。さて、松田さん今日の進行をおねがいいたします
松田 : はい、ではそもそも二人の出会いはいつなんですか?
T : インテグレイテッドスリィの時に対バンしてますよね
H : もうその時点で注をつけないといまやわかんないと思うけどね
T : インテグはヴィヴィアンの前身バンドにあたるバンドで本多さんとトミーさん(B)がいたんです。 勝手な意見だけど、ガレージシーンとはまた違うとこに存在するバンドで、なんだか青い部屋を中心とするアートパンクみたいな集団にみえて
H : いや、それはねらってた。ギャルドパンクだよね、アヴァンギャルド。ぜんぜん成功しなかったけど
T : で、ある日対バンしたんですよ。その時に楽屋で私に本多さんが俺もボウイが好きなんだよって話しかけてくれたのに、けっこう冷たく「あぁ、そうなんですね」みたいに話を終わらせたらしく(笑)
H : 「STATION TO STATION」が好きなんだよ、って言ったら「あぁ、いいアルバムですね」って、そこで話が終わって
T : 嫌な奴ですねえ(笑)
H :  有名人ってのは冷たいもんだなって思いましたよ
T : あはは。ぜんぜん有名人じゃないですよ
H : いや、有名だったよ。有名人はそういうもんだからいいんですよ

YOUNG PARISIAN写真:Romi Mori

T : んなことないですって(笑)。で、その後、ヴィヴィアンになってから観てもうすっかりトリコになっちゃって。アートワークも見た目もかっこよくてすっかり惚れこんじゃいましたね。あとは「ヒートウェーヴ」の日本語歌詞もでかかったです。他の曲の歌詞もタイトルも全部かっこいいし、本多さんの歌詞はかなり好きですね。今回の2曲もすごく好きですよ。私は日本で歌詞が好きな人はジョニー大倉、菊さん、遠藤ミチロウ、本多スーサイドですよ
H : ジョニ―大倉はやっぱ最高っすよ。テーマはなんでもいいんだよね。ジョニー大倉だってただの恋愛の話だけど、言葉の使い方とかうまいしね。「レディセブンティーン」が一番好きです
T : 本多さんは歌詞の面では誰に影響うけてるんですか?
H : 音楽に影響うけてるのはハッキリあるけど、歌詞は誰からってのはないね。本とか映画とかかな。ある特定の詩人から影響うけてるとかはないね
T : 勝手ながら思うのは、お互いの歌詞の共通点は洋楽の和訳読んでるみたいな歌詞ですよね
H : あぁ、それはあると思う。片桐ユズルの訳した「ボブ・ディラン全詩集」ってのがあって、あれはけっこう高校生の時に読み込んでたからね
T : 自分は今野雄二の帯文とかライナーに影響をうけてますね
H : だから、そこがキャムプですよね。商品広告の影響も強いでしょ? 文学とかじゃなくて。そこがデカダンになれないって話に繋がるのかもね。デヴィッド・シルヴィアンの歌詞とか、すごい文学だもんね
T : ですねえ。あんな風にはなれないですね。歌詞もアートワークも好きだけど、ヴィヴィアンは佇まいも好きですねえ。最初観た時、本多さんはもう岸田森にしか見えなくて
H : 荒木一郎ってのは言われたことあるけどね(笑)。岸田森って今の若い子とかわかるのかな?
T : 逆に知ってたりしますよね。昔は簡単に『怪奇大作戦』とか『呪いの館 血を吸う眼』は観れなかったけど、今はDVDとかネットで簡単に観れたりするし
H : サブカルチャーの常識ってのが、今はどこまで通じるのかぜんぜんわかんないよね。たとえばURCのフォークとかにしても……。あ、ジャックスとかはどうなの?
T : 大好きですよ
H : いや、俺もすごい影響うけてるんだよ
T : ジャックスもちろん好きです。はっぴいえんどとかはまったくですけど
H : 俺ははっぴいえんども好きだけどね
T : そうなんですか。ジャックス影響受けてるんですねえ。あえてそういうのは避けてるのかと思ってました
H : でも、それは歌の部分だけどね。俺は高い声は出ないからさ、かなり影響をうけてる
H : ジャックスは「マリアンヌ」とかよりも「時計をとめて」とかの方が今となっては好きです
H : そういうポップな方がいいの?
T :  いや、そういうわけではなくずっと聴いてるとあっちの方が狂って聴こえますよね」
H : あぁ、気持ち悪いよね
T : ヴェルヴェットアンダーグラウンドでいえば「Run Run Run」より「Sunday Morning」の方が狂ってるでしょ?
H : それはそうだよね。ジャックスはミチロウ経由?
T : いや、日本のロックの最初みたいに言われてたんで。あ、CDでしたよQ盤かな?
H : じゃあ、聴きたいなと思ったらすぐ聴ける環境だったんだね。俺の頃はまだCDなんか存在してなくて。探しても全然どこにも売ってなくて、えとせとらレコードでやっと見つけて2万6千円した
T : おぉ、そんなしたんですねえ。ジャックスって「ジャックスを聴きたい!」って気分でしか聴けないですよね。すごい激しいのとかドロドロしたサイケっぽいの聴きたい時とかではなく、ジャックスはジャックスを聴ききたいって気持ちでしか消化できない
H :  ジャンルわけできないもんね。あれを無理やりサイケとかいってもしょうがない。ぜんぜん違うもんだよ。あんまり人には言ってないけど、俺は早川義夫にはすごい影響うけてる。初めてジャックスを聴いたのは渋谷陽一の「サウンドストリート」に(遠藤)ミチロウが出てて、ちょうどスターリンが「虫」を出した時だったんけど、そこでミチロウが自分を好きな曲をかけるコーナーがあって。パティ・スミスの「PUMPING」とU2の……
T : えっ、U2?
H : ミチロウに言わせるとアイルランドは東北だって
T : ははははは
H : U2の「40」って曲と・・・・・・ジャックスの「マリアンヌ」を
T : それを聴いて衝撃をうけたんですね
H : そうなんだよ
T : 意外といえば意外なルーツ話がきけました

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