春先から連続でインタビューやったり、DEFTONESの来日で全通したりしていたらいつの間にか6月。レビューやるの1月ぶりですね。というわけでここ数ヶ月で聴いていたアルバムから選んでいます。
もっと取材やらライヴ行ったりやらしたいんですが、しばらく仕事が忙しくなりそうなんですよね(BUTCHER BABIESもINCANTATIONもCURRENTSも観たかった)。とはいえ様子見つつでもがんばりましょう。
■NEUROSIS『AN UNDYING LOVE FOR A BURNING WORLD』

アメリカのポスト・メタルの始祖的存在の、10年ぶり12作目。
2022年に結成メンバーであるスコット・ケリー(vo,g)が引退を宣言(しかもメンバーに何も言わず)したことで物理的に活動が不可能となり、事実上解散と思われていたところ、事前アナウンスもなく、突然リリースされたアルバムです。
新メンバーにISISやSUMACで知られるアーロン・ターナーを迎えた本作、6作目以降顕著だったフォーク/アコースティック要素が大幅に削ぎ落とされ、代わりに苛烈で閉塞感のある、神経をジリジリと焼くようなヘヴィさとノイジーさが復活。NEUROSISの3~5作目に人生を変えるほどの影響を受けたというアーロンが、積極的に曲作りに関わっているだけある作風です。新メンバーを迎えての復活作であることや、長らくレコーディングを手掛けたスティーヴ・アルビニが亡くなったことで、制作環境を変えざるを得なかったことも大きいでしょう。とにかく並々ならぬ気迫に気圧されるばかり。とはいえ全編圧殺リフの応酬ではなく、悲哀に満ちたメロディをはじめとした引きのパートもたっぷりで、長尺さを気にせず一気に聴ける…というか、再生したら絶対に最後まで聴き通さざるを得ない力があります。
まさかの復活だけでなく、過去作を踏まえて次に進んでいて、新しい代表作になりえる1枚。よく戻ってきてくれました。こうなると今の編成で、過去曲もたっぷりのライブが見たいですね。40年超のキャリアにして、まだまだいけます。
■AT THE GATES『THE GHOST OF A FUTURE DEAD』

スウェーデンのメロディック・デスメタル第一世代のバンドの8作目。昨年9月に亡くなったトーマス・リンドバーグ(vo)が参加した、最後のアルバムでもあります。
どうしてもトーマスの遺作…という点に目がいきがちですが、アルバムとしての出来栄えもすこぶるいいの一言。スラッシュメタル発展型の疾走感はもちろん、切っ先鋭いリフにゴシカルなメロディ、吐き捨てるような、泣き叫ぶようなヴォーカル…と、もともと持っていた各要素を曲ごとにバランスよく強調。リフを刻みながら疾走する上でアルペジオを鳴らすのが、けっこう再結成後のAT THE GATESらしい曲作りだと個人的には思っているんですが、これが健在なのもうれしいところ。8曲目ではプログレ的なニュアンスを感じさせる展開をしてみたりと、ちょっとしたひねりもあり。実は世間的な「メロディック・デスメタル」の典型と絶妙な距離感があるというか、AT THE GATESからしか得られないものがあるんだということを思い出させてくれるアルバムです。この辺は一部メンバーが被っているTHE HAUNTEDとはちょっと違う点ですね。やっぱりAT THE GATESの場合は解散時期があったこともあるのか、いい意味でメタルコアとの親和性やアメリカ的な空気が薄いのが大きいのではと思います(でもトーマスは国を問わずハードコアの影響が多かったり)。
リリースに際してのメンバーのインタビューを見ると、まだトーマスについて語るのもかなりつらい様子だし、バンドの今後については決まっていないとのこと。こればかりは仕方のないことだし、どちらにせよ、本人たちの納得できる選択をしてほしいと思います。
■SEVENDUST『ONE』

アメリカのニューメタル/オルタナティヴ・メタルバンドの15作目。
すでにデビューから29年も経つベテランですが、基本的に2、3年に1枚という制作ペースを保ち続け、メンバーチェンジも一時期のギタリスト脱退~出戻りのみ。ニューメタルの波が終わって以降も時代に流されず、やるべきことというか、求められていることをちゃんとやり続けてきた、とにかく安定感のあるバンドです。
今回も、基本的な路線は変わりません。ドラムとギターを同期させたグルーヴとバネの強いリズム&リフ(ブレイクダウンとは違う)を土台に、黒人ヴォーカルの暑苦しい歌で引っ張っていくスタイルは相変わらず。ただ近作に比べると、リズムに対するリフの当てはめ方が少し変わったというか、トリッキーさが減った印象。少し曲がシンプルになった分、筋肉質な歌声とメロディが際立っているようにも思えます。2000年代中盤くらいまでの、怒号混じりの攻めの姿勢もよかったですが、この円熟味もまたよしな、さすがのアルバムです。
もともとの音楽性に加え、ずっとスタイルを変えずに続けてきただけあって、沈みはしないけど大きなブレイクもせず、そして日本では知名度がいまいち低いままでずっと来てしまった感があるSEVENDUST。もう全員50歳越え、なかには還暦が近いメンバーもいるので、キャリア的にも終盤を意識していると思うんですよね。一度くらいは来日してほしいですが、どうだか…。、
■POISON THE WELL『PEACE IN PLACE』

アメリカ、フロリダ出身の叙情派ハードコア・バンドの、17年ぶり6作目。ちょうど久しぶりの来日ツアーを終えたばかりですね。
個人的にはカオティックすれすれの展開多めで、叙情成分は他の同系統とされるバンドよりも控えめというか、あくまで要素のひとつという印象だったんですが、久しぶりにライヴを観て、音源以上に泣きのメロディが強く感じられて驚いたところでもあります。ただアルバムを重ねるごとにバランスを変化させてきており、前作なんかはサザン~ストーナーにサーフミュージックの匂いまで漂ってくるような感じでした。そのときになぜかLOUD PARKで来日。裏がARCH ENEMYとMEGADETHで、さすがにアウェイ過ぎたのを覚えています。その後は数年に1度集まるくらいでほぼ休止状態だったものの、2020年より再集結し、コロナ禍明けより制作されたのが本作です。
内容的には、ほの暗いトーンが全体を支配しつつ、キャリアが長いだけある落ち着きを感じさせるアルバムです。さすがに初期のような劇的(というか強引)な展開はない代わりに、随所で見せる歌メロやクリーンなギターが、滑らかな起伏とドラマ性を生み出しています。それ以外にも前作で見せた土っぽいグルーヴやリフの組み立てを見せる場面もあったりと、ハードコア~メタルコア一辺倒ではないバックグラウンドの豊かさを発揮。ぶっちゃけモッシュ向きの音楽性ではないんですが、ちゃんと過去作から地続きで、それでいて独自の方向に進化したアルバムです。かつてはDEFTONESとツアーしたり、前述の通りLOUD PARKに出たりで、色んな所に出ていけるポテンシャルが十分あるはずのバンドなんですよね。時間こそ空いたけれど、そのぶん年輪とともに地力を証明したと言えます。今度はあまり間を空けずに「次」を聴かせて、見せてほしいですね。
<LINK>
NEUROSIS:https://www.neurosis.com/
AT THE GATES:https://x.com/AtthegatesGBG
SEVENDUST:https://x.com/Sevendust
POISON THEWELL:https://x.com/POISON_THE_WELL

