本多スーサイド(VIVIAN BOYS)× TSUNEGLAM SAM(YOUNG PARISIAN)対談!

VIVIAN BOYS YOUNG PARISIAN

「俺たちガレージの曲の方が少ないんだよ」

松田 : ヤングパリジャンの一曲は本多さんに捧げられてますが、やっぱ照れたりします?
H : いや、全然照れくさくはなくて。というのもボウイがボブ・ディランとかアンディ・ウォーホルなんかを曲タイトルに入れるのと同じ流れにあるんだろうなって
T : まさにその通りです
H : だから便宜上、俺が出てるだけで、ホントにラブレターみたいなものだとは思ってないから照れくさくはなかったよ
T : さすがですね(笑)。あの曲「Rock Around Mr.Suicide」はこのSPLITのために書き下ろしたんですが、実は前のシングルを出した時にキンキーサロンの中村レザーさんが「ゲンズブールを感じました」と言ってくれて、ええ!?って。まったく意図してなかっただけにうれしくて
H : 中村レザーはね、僕は彼をほんとにすごい人だと思ってて。一目おいてる。あの人こそ“unknown legend”っていうか、トリビュート盤出されてもおかしくないくらいだよ
T : 栄光なき天才みたいな?
H : そう、ギターもすごいしね
T : max’s Kansas cityに出てるバンドみたいな雰囲気ありますもんね。で、そんな中村レザー氏がセルジュ・ゲンズブールを例えに出してくれたんで、本多さんもゲンズブール好きだろうし、いや好きにちがいないなと思って
H : もちろん好きだよ。ゲンズブールこそが人工的なさぁ……あの人まったくないでしょ、自分の心を歌うとか
T : ないでしょうね。で、本多さんはヴィヴィアンにおけるゲンズブール的な立ち位置だし、ゲンズブールの「Rock Around the Bunker」はある意味グラムロック的なロックンロールリバイバルなんで、ああいうのやりたいなと
H : でも、あの人のあれロックンロールになんの愛情もないじゃん、仕事っていうか、あれがすごいよね
T : そこですよね。そのかっこよさ。全部そんな感じですもんね。そんなこんなで、全体的にSPLITっていうことを意識しつつ……
松田 : その辺はヴィヴィアンはどうなんですか?
H : そっちはSPLITを前提ということでことを進めてるじゃん? 俺はもうそれは何も言えないよ(笑) 。まったくなにも考えてなかった
T : でも、一曲目の「Her Desire Is Dressed In Gold」はロキシー・ミュージックで今野雄二的な感じの曲ですよね。ある種グラム的な
H : まぁ、あれ聴いて何の予備知識もなしにロキシーだなって思うのはツネさんくらいしか多分いないですよ(笑)
T : そうですかね(笑)? ロキシー、近田春夫、プラスチックスだと思いましたね。うちも本多さんに捧げた曲はゲンズブールとニューヨーク・ドールズとプラスチックスを足したんで、ちょっと共通する匂いはあるなと
H : プラスチックスは好きだけど、ぜんぜんそれわかんないんな
松田 : ヴォーカルの掛け合いの感じがそれっぽいのかもしれませんね
H : それはねらってはないんだよ
T : でも、我々の「Rock Around Mr.Suicide」はヴィヴィアン・オマージュの歌い回しなはずなのにプラスチックス的になりましたよ
H : 無意識だねえ。今、2つのバンドの違いがすごいわかったんだけど、ヤングパリジャンって狙ったら狙いどおりにいくでしょ? ヴィヴィアンボーイズはそれがないんだよ
T : 因みに「Her Desire Is Dressed In Gold」はなにを狙って作ったんですか?
H : ロキシーの「Virginia Plaine」とボウイの「Boys Keep Swinging」がぼんやりあって作ったんだけど、ぜんぜんまったくそうならなかった
T : いや、うちも結果的に別モノにはなりますよ
H : でも、ある程度は狙ったとこに着地するでしょ。うちはホントにまったく違ったものになるんだよ。まぁそれが楽しみではあるんだけど……だから狙い通りになるってのは憧れすら感じる
T : 今回のヴィヴィアンは2曲ともいわゆるガレージじゃないですよね
H : っていうか、俺たちガレージの曲の方が少ないんだよ
T : そうですよね
H : どういうのをガレージって言うかによるけどね、ガレージって人によって定義がぜんぜん違ってきちゃったから
T : ま、ガレージうんぬんっていうとそうなんですが、つまりは60’s のビートバンド系のリフの曲ではないですね
H : そうだね
T : リズムもいままでなかったかんじで
H : でも、それはもう俺は関係なくて。俺が頭でイメージを思い浮かべて作るけど、トミーのベースとナオナオのドラムはそんなことおかまいなしに自分がその曲にあうようなものを見つけ出してやるから
T : 『いや、そこはそういうイメージじゃないんだ』とはか言わず?
H : それは全部おまかせにしてるんで
T : なるほど。しかしこうやって聴いてみてあらためてヴィヴィアンって特殊ですよね。ガレージ・シーンのなかでも明らかに異色ですし、かといってキャプテントリップ系でもない
H : もしかしたらそれがやっぱりナオナオにあるのかもしれないね
T : 激しい女性ロッカーやキュート一辺倒な女性ってのは昔から履いて捨てるほどいますけど、ああいうプラスチックな人はめずらしいですね
H : あぁ、ジャニスの系譜だったり
T : ナオンの野音的な感じか、カヒミカリィ的なのばっかりですもんね。だからナオナオさんはほんとに特異だしすごいなと思いますよ。本人自体はデフ・レパードとポリスが好き、ってのもなんかもうわけわかんないし(笑)
H : ホントのナオナオはそうなんだけど、ヴィヴィアンではどこにもそれ感じないもんね。その辺の公私の使い分けっていうのかな。だいたい自分を出しちゃうでしょ?
T : そうですね。うちのメンバーも解りやすく言うとドラムのHEROくん(※2017年末脱退)なんかはホントはメタリカ好きなのにそこはグッとこらえてはくれてますね。ところで、ヴィヴィアンにおけるトミーさんの役割はどんな感じなんですか?
H : まず第―はベースに関して。とにかく3人でしかやらない3人のバンドだから、俺がギター弾きながら歌うともうリフは弾けないから、トミー君のベースにかかってるんだよ。トミーくんのベースが月並みなルート弾きでやると、もう……岡林になっちゃう
T : えーと……今日は岡林がいっぱいでてきますが、これわかりやすい例として言ってます(笑)
H : そこでトミー君はジャ―・ウォーブル的なことをやってくれてるわけで。だから月並みなベースじゃだめなんだよ。ロックベース入門みたいなベースしか弾かない人もいっぱいいるじゃん?
T : いますね。トミーさんのベースはかなり独特ですもんね

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