メタルコアの過去と未来をつなぐホープ、その名はGraupel!アルバム『Bereavement』リリース記念インタビュー!

普段LIVEAGEを見ている人のなかには「メタルコア」と言われてもあまりピンと来ない人も、少なくないかもしれない。メタルコアは、90年代のメロデスやニュースクール・ハードコアを新たな解釈で正面衝突させたスタイルとして2003年頃にシーンに登場し、世界中で大きなムーヴメントとなった。15年近くが経ち、今やプログレあり、エレクトロあり、ブラックミュージック的歌いまわしあり…とすっかり様変わりしてしまったが、もともとはハードコアの伝統を踏まえた、硬派なサウンドだったのだ。
この度初の全国流通盤となるフルアルバム『Bereavement』をリリースするGraupel(グラウペル)は、ニュースクールやデス/ブラックメタル/激情へのリスペクトを込めつつも、現代的なサウンドメイキングでブラッシュアップした、懐かしくも新しいメタルコアを鳴らす若き5人組だ。全員20代前半とは思えぬ耳とセンス、テクニックを持つ彼らの姿を暴くべく、バンドのボスであるYuu Kakimoto(g)と、パワフルな声で楽曲を引っ張るSota(vo)にインタビューを敢行した。

text by MOCHI
photo by Ryuji Segawa

――結成は2014年だよね。ついにアルバムリリースということで、感慨深いというか、思うところはあるのでは?

Yuu Kakimoto(g/以下Yuu)「バンドを組もうと、メンバーを集めだしたのが2014年ですね。今ではJulien(ds)しか残ってないですけど。その年の11月くらいにGraupelっていう名前に決まって、動きだしたのが2015年です。過去にもDead Horse Paintとかいろいろバンドをやってきましたけど、フルアルバムを出すのは初めてなので、やっぱり感慨深いです」

――Yuuは北海道出身だよね? 地元のバンドというか、シーンはどんな感じだったの?

Yuu「僕は函館出身なんですけど、札幌もよく遠征で行っていました。地元にもバンドは来てくれましたよ。ArbusとかArise in Stability、Vulcherなんかは自分が企画をやってときに来てもらったし、東京に出てきてからも仲良くしてもらっています。ほかにも北海道にはHELLNEもいるし、青森のkallaqriも当時からの付き合いです」

――東京で自分のバンドを始めるときに、考えていた方向性は?

Yuu「メンバー募集のときにはVeil Of MayaとI Killed The Prom Queen、Misery SignalsにDeafheavenなんかを足してあれこれしたバンド…ということで出したんですけど、結局人が全然集まらず(笑)。いろんな人たちに声をかけて、出たり入ったりを繰り返しながら始めました。二代目のヴォーカルのときに、最初の音源として今とは別ヴァージョンの“Etherial”を公開したんですね。そうしたらメンバー探しもだいぶスムーズにいくようになって、“Horizon”のあたりで、ようやく固まってきました」

Sota(vo)「僕自身、四代目のヴォーカルですからね(笑)」

――Sotaのヴォーカルはサウンドの肝のひとつだと思うけど、どんな経緯で加入したの?

Sota「僕は完全に公募です。前任のベースが大学の同期なんですけど、そいつが“Graupelがヴォーカル募集してるよ”って教えてくれて、僕もちょうどバンドをやりたいと思っていたときだったので、紹介してもらったんです。とはいえ、ほかの人たちと同じでオーディション的なことをやって、それで加入しました」

――初期は「Tokyo Progressive Blackened Metal Core」って名乗っていたよね。ブラックメタルからはどんな形で影響を受けていて、曲に反映されているの?

Yuu「例えばheaven in her armsなんかは歌謡曲的なコードをよく使いますよね。僕はそれとは違って、EmperorやDissectionのような、北欧のブラックメタルの冷たいコード感のアプローチはしたいなと思っていました。ほかにもAlcestみたいな、いわゆるポストブラックも好きですね。ブラックメタルを聴き始めたのは、けっこう最近なんですよ。僕がサポートでギターを弾いているStill Grieving OverのSHOWA(vo)さんとか、isolateのAndo(vo)さんとは仲良くしてもらっていて、そういった人たちからいわゆるネオクラスト系のバンドを教えてもらい、遡ってブラックメタルにたどり着いた感じですね。ほかにも大学のサークルにFuneral MothやPresence of Soulのメンバーがいたんですけど、彼らもブラックメタルが好きで、スタジオでいっしょにやってみたりとかもしていたし。それでかっこいいなと思って、自分でも取り入れていきました。意図してというよりは、やりたいことを組み合わせていったらここに行き着いた感じですね」

1 2 3 4