LIVEAGEメンバーが選ぶ2020年ベスト!

明けましておめでとうございます!

2021年最初の記事は、LIVEAGEには珍しく年間ベストアルバム企画をお届けします!せっかくなので普段記事を書いているライター陣だけでなく、ほかのメンバーもそれぞれセレクトしてみました。リリース年・ジャンル・作品形態は不問とし、純粋に「2020年によく聴いたベスト作」という観点で選んだので、いろんな媒体がやっている年間ベスト企画とは少し趣が異なっている部分があります。メンバー間でも、「あ、こんなのあったんだ」と発見がありました。少し長いですが、最後までチェックして、気になった作品はぜひチェックしてみてください。

各メンバーのページには以下からも飛べます。

MOCHI
YADA
AKSK
テル
yu mikawa
MUNEHIRO MACHIDA
TAKAHASHI

2020年に体制変化があったLIVEAGEですが、2021年も変わらずよろしくお願いいたします!

◆MOCHI

月並みな言い方になりますが、2020年はコロナの影響もあって公私ともに困難な1年でした。ライヴも片手で数えるくらいしか行けなかったし、会いたかった人にも会えなかったし、2度やるはずだった企画はお流れになったし(上の画像は6月にやるはずだったもの)…今回は、そんな中でも心の支えになってくれた作品をセレクト。もちろんほかにもたくさんあるんですが、キリがなくなるので泣く泣く10枚に絞りました。今年もすでに何枚か楽しみなリリースがあるので、それを支えに頑張ります。

01. DEFTONES『OHMS』

個人的に世界で一番好きなバンドの9枚目です。ぶっちゃけ最初にタイトル曲が発表されたとき、これまでと曲調が違いすぎて「大丈夫か…?」と思ってしまったのですが、蓋を開けてみればこれまでの集大成的な内容で、思わず大ガッツポーズ。シンプルだけどフック満載なリフ、エロさたっぷりのヴォーカル、湿り気と浮遊感を付加するプログラミングと、とにかく求めるものが詰まったアルバムです。最初は違和感のあったタイトル曲も、アルバム通してだとこの上なくハマるんですよね。このアルバムのおかげで、2020年の人生点数が30点くらい上がりました。

LIVEAGEでは対談を実施。前編後編ともにどうぞ。

02. CITY OF SOULS『SYNÆSTHESIA』

DEFTONESが新譜を出さなければ、これが1位でした。ニュージーランドのプログレ~ポスト・ハードコア/ニューメタルバンドの1stなんですが、DEFTONESやTAPROOT、A PERFECT CIRCLEあたりの歌心と実験性を中心に、ポストロックやシューゲイザーのテクスチャーを加えることで、重層的なサウンドを演出。それでいて情報過多にならず簡潔にまとめあげた、奇跡的なバランス感覚が素晴らしい。まだ小さな国のローカルバンドの立ち位置ですが、BRING ME THE HORIZONやARCHITECTSあたりが好きな人にも刺さりそうだし、ちょっとしたきっかけでバカ売れしそうな予感がします。以下の“Tying Tongues”は、2020年ベスト曲のひとつです。

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03. Arise in Stability『犀礼/DOSE AGAIN』

国産プログレッシヴ・メタルコアバンドの9年ぶり2nd。数度のメンバーチェンジを経て前作よりも曲が長尺&複雑怪奇化しながらも、極限まで贅肉をそぎ落としつつ、鳴らされるすべての音に意味が持たされているので、聴き疲れは一切なし。よくDREAM THEATERやMESHUGGAHからの影響を指摘されますが、機械的な冷たさではなく汗臭さや熱さを感じるあたり、根っこにハードコアが息づいていることがよくわかるんですよね。10年に1枚の名盤と言っても過言ではないと思います。

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04. MISERY SIGNALS『ULTRAVIOLET』

ミルウォーキー州のメタルコアバンドの5作目。オリジナルヴォーカルのジェシー・ザラスカ復帰作でもあります。前進バンドを経てメタルコア第一世代の少し後に登場し、北欧メロデスの影響は少なめ、SHAI HULUD流れの叙情派ニュースクールをよりプログレッシヴに進化させた、後進への影響力も強いバンドですね。前作は少し実験的な要素がありましたが、今回は名盤として人気の高い1stと3rdに寄せた原点回帰の側面がありつつ、キャリアに裏打ちされた曲の練度が魅力。さすがに初期ほどの瞬発力はないものの、1曲1曲が濃密で聴くたびに旨味がにじむ1枚です。

05. SUNDR『SOLAR SHIPS』

オーストラリア産ポスト・メタルバンドの2nd。元々CONVERGEやCULT OF LUNAの影響が強いバンドでしたが、一気に超進化を遂げました。以前のような劇的な展開はないものの、どの曲も主要なフレーズをくり返しながら少しずつ変化・発展させていくことで、息をしているかのような生命力を感じます。シンプルながらもドラマ性とカタルシスがあり、アルバムトータルの統一感も文句なし。未だにNEUROSIS、ISISの王座が揺るがないポスト・メタルに大きな楔を打ち込んだと思います。将来「俺、SUNDRは昔から知ってるぜ」とドヤる所存です。

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06. STORM OF VOID『Kids.EP』

東京の8弦ギター&ドラム超絶ヘヴィロック・デュオの新EP。新曲2曲とカヴァー曲の3曲入りです。これまでの音源で見せた重戦車サウンドはそのままに、展開もリフもより多彩かつキャッチーになるだけでなく、グルーブの図太さ、そこはかとなくエモいコードやメロディといった全要素マシマシで、とにかく充実感のあるEPになりました。HELMET初期の名曲“Unsung”も、原曲を大切にしたカヴァーでなおよし。ただライヴは音源の100倍かっこいいので、また早く観たいですね。

07. ULCERATE『STARE INTO DEATH AND BE STILL』

ニュージーランド産プログレッシヴ・デスメタルバンドの重鎮による6作目。元々DEATHSPELL OMEGAのようなカオティックなブラックメタルとも近似値が高いバンドでしたが、今作は1曲目を再生した瞬間から貫禄というか、「魔王」とでも言いたくなるラスボス的存在感です。じっくりと広がっていく暗黒世界のなかに、淀んでいながらも繊細なメロディが塗りこんであって、ドス黒くもドラマティック。デス/ドゥーム/プログレとメタルの耳はもちろん、意外とブラックゲイズ方面にもアピールするんじゃないでしょうか。人間離れしたものを体感したければオススメです。

08. Low Watt Gurgler『The Desolation Soundtrack』

大阪の…なんでしょうね、このバンド。2019年にリリースした初音源で、当初は一般流通なしのカセットテープ50本のみの限定生産だったのですが、コロナウィルスによるレコ発中止等を受けてか、bandcampで投げ銭リリースとなりました。鳴らされるはMESHUGGAHやKING CRIMSONあたりの影響をノイズ、スラッジ、ジャンク等でねじ曲げた、高性能だけど歪な機械のごとき無慈悲&不気味すぎる異形サウンド。色んな方向への枝が尖りまくっているのに耳にへばりついて離れない、まさに特異点だと思います。

09. flica『Tapsskog』

マレーシアのポスト・クラシカル/エレクトロニカアーティストの新EP。デリケートなピアノとしめやかに割れる電子音が絡み合った奥ゆかしい音が心地よく、ここ数年ずっと聴き続けているのですが、今回は管楽器等これまでとは違ったレイヤーを重ねています。少しWorld’s End Girlfriendに近いタッチがありますが、シンプルかつノスタルジックなスタイルは相変わらず。派手さはないけど、染み入るとか寄り添うとか、そういった言葉がぴったりの作品です。過去の作品もすべてハズレがないので、本当におすすめですよ。

10. HUM『INLET』

イリノイ州出身のオルタナバンドの22年ぶりのアルバム。昔、過去作を聴いたときはあまりピンとこなかったのですが、これはめちゃめちゃ響きました。HELMETの系譜にある重量級リフ、シューゲイザー由来の気だるいメロディ、とろけるような陶酔感たっぷりのウワモノといった要素の高次元での噛み合わせに、ようやく自分の耳が追い付いたんですね。DEFTONESも多大な影響を受けたと公言するのも納得です。シューゲイザー、オルタナ、エモ、ハードコアと、どのモードで聴いても耳が幸せになる1枚でした。

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