LIVEAGEメンバーが選ぶ2020年ベスト!

MOCHI
YADA
テル
yu mikawa
MUNEHIRO MACHIDA
TAKAHASHI

 

◆AKSK

2020年は新型コロナウイルスの影響で本当に例年とは全く違う一年になりました。僕の方は相棒のMOCHIと開催予定だった「Under the Surface」2公演がその影響を受けて延期。この情勢は来年も変わらず続くんじゃないかと思ったりしてます。
その中でも自分にできる事をやるしかないという思いで、HELLO FROM THE GUTTERの松田社長からのお声かけで、国分寺Morganaドネーションコンピ『DENY THE END』の監修をさせていただき(上の画像参照)、そのレコ発ライヴから同じくMorganaをドネーションする為のイベントとして「DENY THE END」を定期的に開催させてもらうことになりました。
そして、この現状の中でも数多くの名盤と出会えたのは本当に幸福だと思います。その中から特に好きな10枚をここに選びます。

01. Discharming man『POLE & AURORA』

狂乱の2020年の最後の最後に届いたDischarming manの5thアルバムは今年を象徴する大名盤になった。これまでのDischarming manを総括するだけでなく、最もラウドで美しく生々しい音だけを鳴らしている純度100%の感情の塊。
エモだオルタナティブだって言葉すら最早不要。蛯名啓太という男の中に流れる北海道エモの血肉が剥き出しになっている。
間違いなく一生聴く作品。

02.DEFTONES『OHMS』

やはりDeftonesは格が違った。ニューメタルの先駆者であり唯一無二の存在が放った9thアルバムはここ10年で1番の出来。
チノのボーカルは相変わらず最高なのは勿論だけど、今なお新しい要素を取り込み、過去作の反省を活かし進化を続けるのは流石としか言えない。チノも50歳を迎えたが、本当に元気な限り新しい作品を作り続けてほしい。Deftonesの代わりなんて存在しないのだから。

03. Starlingraid『Dialectics of Dystopia』

異形のグノーシスコアことStarlingraidの10年越しで突如リリースされた2ndアルバム。
今作では遂にインストになり、フレーズこそキャッチーな物が随所に散りばめられているが、それによって更に混沌とした音に仕上がっている。カオティックハードコアだとかスラッジといったカテゴライズも最早不可能。聴けば聴くほどに、この音をどう形容して良いかわからなくなる。あまりにも混沌とした世界に向かい続ける今の時勢とあまりにリンクしてしまうのは一つの皮肉なのかもしれない。

04. THE OCEAN『PHANEROZOIC II : MESOZOIC | CENOZOIC』

ドイツのポストメタルバンドTHE OCEANの8thアルバム。ISISが去ってからの10年間。ポストメタルというジャンルはある種の停滞とともに終わりを迎えたとも言えるが、決してポストメタルが死なずにいたのは、数少ないバンドがその進化の精神を受け継いだからこそ。
THE OCEANはISIS以降というポストメタルにおいて最も重要なバンドであって、2010年代のポストメタルは結局THE OCEANの一人勝ちだったと確信した一枚。王道を突き進み続けたからこそ生まれた傑作だ。

05. SPOILMAN『BODY』

ex.ロクトシチのカシマ氏が2019年に結成したSPOILMANの1stアルバム。
やっている事はモロにスティーブ・アルビニ直系の硬質かつジャンクなオルタナティブロック以外何者でも無いが、すり抜け方が本当にセンスに溢れている。吐き捨てる様なボーカルなのに何故か歌メロを想起させる辺りの日本的な感性が実はこのバンドのオリジナリティの核だと思う。

06. SPRAIN『AS LOST THROUGH COLLISION』

ロサンゼルスのオルタナティブロックバンドの1stアルバム。激情ハードコアという言葉も最早形骸化してしまったが、このバンドは在りし日の激情ハードコアを思い出させるだけでなく、SLINT、HOOVER、UNWOUNDといったバンドを想起させ、異様な緊張感と熱量を放つ。決して目新しい音は鳴らしてないが、90年代のあの空気を現在に甦らせる。ただ激烈だ。

07. LITURGY『ORIGIN OF THE ALIMONIES』

ポスト・ブラックメタル界屈指のカルト的バンドLITURGYの5thアルバム。主要人物ハンター・ハント・ヘンドリックスがトランス女性である事をカミングアウトし、進化する自らの肉体をテーマにした作品であるが、LITURGY史上最も宗教的かつ実験的かつ壮大な作品となった。何度聴いても圧倒される異形さ。最早ポスト・ブラックメタルじゃなくて、ぶっ壊れたオペラだ。あまりにも孤高過ぎる最果ての音楽。

08. 痛郎『No Title』

活動休止と再開を繰り返しながら2019年に10年越しの復活を果たしたHardcore jazz punk痛郎の30年に及ぶキャリア初の1stアルバム。プログレッシブかつ叙情的な唯一無二の世界観、過去作品のライヴ盤に収録されていた往年の名曲だけでなく新曲も収録し、1stアルバムにして集大成とも言える内容に。常に唯一無二であり続けた痛郎だけが鳴らす青き熱情がここにある。

09. PSP Social『サラバ未来世紀』

激ナード型若手オルタナティブロックバンドによる2ndアルバム。メンバーのディープかつメイアニックな音楽とアニメに対する愛を軸に、現代の喪失感を90年代末期〜00年代初頭のオルタナティブロックを経過し、2020年のリアルとして鳴らす。ノイジーだけど歌心に満ちたPSP Social感を確立した快作になった。moreruと共に今後の日本のシーンの最右翼になるのは間違いないだろう。

10. SUNDR『SOLAR SHIPS』

2017年に初来日を果たし、2018年にはREDSHEERともスプリットをリリースしたオーストラリアのポストメタルバンドの2nd。THE OCEANとは全く違うやり方でポストメタルを突き詰めた今作は、ISIS以降の失われた10年を終わらせる作品だと言える。極限まで減らされた音数、クリーンな音すらもヘヴィに聴かせる引き算の美学。間違いなく未来に向けた音楽だ。

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