LIVEAGE的視点で考えるDEFTONES対談!―後編―

ニューメタルの顔役のひとつでありつつも、エモ/ハードコア、ヒップホップほかとクロスオーバーした活動で存在感を放ち続けるDEFTONES。そのDEFTONESの魅力を、LIVEAGE的な視点を踏まえつつ解き明かしていく対談Part.2をお届け。前編では各参加者のDEFTONESとの出会いから、フィールドの違うバンドやシーンとのつながり等を考えましたが、後編ではよりDEFTONESの影響力や多様性を掘り下げつつ、最新作『OHMS』そして名作『WHITE PONY』(2000年)のリリース20周年を記念したリミックス盤『BLACK STALLION』について語ります。

改めて、本対談の参加者は以下の通り

  • Riuji Onozato:REDSHEERのヴォーカル/ベースを担当。DEFTONESと同郷のWILL HAVENが激推し&DEFTONESと同世代。
  • Ken Tominaga:SUNDAY BLOODY SUNDAYのヴォーカル/ギターを担当。日々Instagramで膨大なレコードコレクションを公開しつつ、現行の埋もれたノイズロック、オルタナを取り扱うディストロ、Unknown Pleasure Distroを運営。
  • Kyohei:arbusおよびcatrinaのヴォーカル担当。GLASSJAWのダリル・パルンボ(vo)とスニーカーをこよなく愛する。
  • YADA:DIRTY SATELLITES、BROILER、WEIGHTにてギターを担当。前LIVEAGE編集長。今回の対談では唯一の非DEFTONESファン。
  • MOCHI:DEFOTNESが好きすぎて『WHITE PONY』のタトゥーまで入れた男。9月からLIVEAGE編集長になりました。

 

MOCHI「前回からDEFTONESの多様性について話していますけど、みなさんDEFTONESをきっかけに、別ジャンルに手を出すようになった…とかはありますか?僕はDEFTONESを聴いてなかったら、アンビエントやポストロックにたどり着くのが数年遅れたと思います」

Kyohei「僕もポストロック方面を聴くきっかけになったかな。やっぱり空間系の音には興味が出たと思います」

Onozato「俺はあんまりないかなぁ。ほら、初老のおっさんだから(笑)」

Ken「ニューメタルっていう言葉は好きじゃないんだけど…DEFTONES以降のニューメタルとか、その周辺を聴くようになったよ。改めて聴くと必ずどこかしらにDEFTONESの要素が入っていて、やっぱり影響はデカいんだなって感じた。ほかにもニューウェイブ、トリップホップは元々好きだったから、そのあたりの要素をDEFTONESから感じたから好きになったのもあると思う」

MOCHI「ギターが開放弦を絡めたリフを弾くとDEFTONESっぽくなるんですよね。そういう方法論のルーツはPANTERAとHELMETだと思いますけど」

Kyohei「僕らの世代でいうと、その当時流行っていたニューメタル、ミクスチャー系統のバンドとは明らかに異質でありながらも流行りを捉えていた音だったので、DEFTONESをきっかけに聴く音楽の幅が広がった人は多かったと思いますね」

Ken「あと前回も話に出たけど、2000年以降のエモ、スクリーモ系のバンドにもかなり影響与えているよね。それでさらにリスナーの幅が広い印象がある」

Kyohei「代表的なところで言うとSTORY OF THE YEAR、FINCH、THE USEDとかですけど、どれもDEFTONESからゴリゴリ影響受けています。そもそもメロディとシャウトの両刀使いの先駆者がチノ(・モレノ/vo)じゃないですかね」

Ken「スクリーモと聴くと、正直“ん?”ってなっちゃう世代なんだけど…BOYSETSFIRE、GRADEが最初の方なのかな。そことは別の畑でDEFTONESがやっていたってことなんだよね、きっと」

MOCHI「その流れからプロトタイプとしてGLASSJAWが出てきた感じですよね。そこで確立するまでにはDEFTONES、BOYSETSFIRE、SNAPCASEあたりの影響が強いと思います」

YADA「BOYSETSFIREとGRADE、1996年頃にめちゃめちゃ聴いていたなぁ。Ebullition Recordsの激情とは違って、演奏がうまくてメタル度が高いよね。ポリティカルじゃないから批判もすごかったけど」

MOCHI「Ebullition Recordsのバンドもスクリーモって言われることがありますけど、僕ら世代のスクリーモとはメンタリティも音も違いますよね。これで混乱したリスナーってかなり多いんじゃないかなと思います」

YADA「うん、全然違うね。Ebullitionのバンドは横に繋がろうとしたし、社長のケント・マクラードはいまだに7インチレコードを1、2ドルで卸したりして、資本主義に真摯に反対しているけど、BOYSETSFIREやGRADEはDIYなシーンにいながらも上を目指していたから。いわゆる、メタラーがパンクのシーンに入ると起こる現象なのかな」

Ken「Victory RecordsとかInitial Recordsあたりのバンドは両極端ですよね」

Onozato「Ebullitionだと、STILL LIFEがいまだに大好き。思想的なことは置いておいて、曲もメロディも良くて突き刺さる」

Kyohei「僕もORCHIDめちゃめちゃ好きです。にしても、DEFTONESの話をすると色んなジャンルの色んな話が出てくるのも醍醐味のひとつかも知れませんね(笑)」

Ken「メタル方面からの反応ってどうなんだろう?」

MOCHI「やっぱりニューメタルのイメージが強いせいか、昔ながらのメタル側からの反応はあんまりですね。スケートボードとかのカルチャーと繋がったりしたスラッシュメタル以降からは変わってきますけど」

Ken「それじゃあRelapseやRoadrunner、Century Mediaとかのバンドが好きな人ならまだいける感じなのかな」

MOCHI「多様性といえば、2008年のチ・チェン(b)の交通事故の件を受けて、KORNのメンバー発案でチャリティシングルを作って、ライヴもやったんですよね。そのメンツがシングルだとKORNからDISTURBED、HATEBREED、KILLSWITCH ENGAGE、MACHINE HEADとか、ライヴだとFAR、SYSTEM OF A DOWN、CHILDREN OF BODOM、SUICIDAL TENDENCIES、THE DILLINGER ESCAPE PLANのメンバーが次々出てくるという」

Kyohei「メンツえぐいな(笑)」

MOCHI「本当に、めちゃめちゃ広いジャンルで愛されているんですよね。これがDEFTONESの存在感を表すというか、すごく象徴的だなと思うんです」

Onozato「ここに出ているバンドだけでも、ものすごく多岐にわたっているもんね。俺もチのベースはすごく好きだった。スティング(THE POLICEほか)みたいで、ツボを突く感じなんだよね。だから事故の件は本当に残念だったと思う」

MOCHI「そろそろ新譜の話にいきましょうか(笑)。まず一番DEFTONESから遠いYADAさんに、聴いてみた印象を教えてもらってもいいですか?」

YADA「う~ん、正直まだよくわかっていないんだよね。なんとなく、ほかのアルバムより入りにくいっていう印象は持ったかな。ちょっとここ最近体調崩していたから、改めて聴いてみようと思っているけど」

MOCHI「たしかに新譜はファンからはものすごく評価が高いですけど、YADAさんみたいにそこまで入り込んだことのない人には難解なのかなって気もしますよね。で、僕も新譜はかなりいいと思っています。前作『GORE』(2016年)は自分的にほかのアルバムに比べてちょっと評価低めなんですが、今回はギターのリフがものすごく立っているし、そのうえでほかのメンバーの主張もちゃんとあるのが大きいなと」

Onozato「YADAさん、新譜はまずは2曲目から聴いてみてください。セルジオ(・ヴェガ)のベースラインがいいんです。俺もコピーしちゃったくらい」

YADA「了解です!1曲目はなんというかふわっとした感じだったけど、2曲目からですね」

Kyohei「僕は『GORE』も好きなんですけど、今回も前作と同じように空間系のオープニングから始まって落としにかかる形ですよね。そのドッシリとした感じが今回はめちゃめちゃ強い印象です。それと、アルバム全体として曲の流れが今までで一番だと思います」

Ken「4曲目の“Error”が最高!名曲誕生です。歌メロ、展開、ノリ、へヴィで美しいというDEFTONESの醍醐味が詰まっていると思う。まぁ、HUM的ではあるけどね(笑)」

Onozato「まさにアルバムっていう作品だよね。曲は俺もKenちゃんと同じで“Error”が好きかな」

Kyohei「僕は“Radiant City”が特に好きですね」

MOCHI「今回は4作目の『DEFTONES』(2003年)までを手掛けていたテリー・デイトがプロデュースしつつ、チノ、ステファン(・カーペンター/g)、エイブ(・カニンガム/ds)で曲作りをするっていう、初期のやり方に戻したらしいんですよね。そこにフランク(・デルガド/sample,key)が相当ぶち込んだなって印象です。そのうえでギターとベースはかなり挑戦的になっているなと」

Onozato「ぶっちゃけ、最初に10曲目(アルバム最後)の“Ohms”が公開されたとき、どう思った?」

MOCHI「正直、これはどうかな…と思いました(笑)。曲としては悪くないけど、DEFTONESに求めているものじゃないというか」

Kyohei「僕も同じです。“え?”ってなりました」

Ken「このリフはステファンらしからぬ感じですよね」

Onozato「だけどアルバム通して最後にこの曲を聴くとさ、バッチリはまるんだよね」

Kyohei「最後に“Ohms”を持ってくるのは本当にズルですよね(笑)」

MOCHI「まず“Ohms”で不安になってからの“Genesis”で安心し、アルバムトータルで納得させられて、バンドの思惑通りに踊らされた感じですね(笑)。でも今回、ドラムがちょっとらしくない感じしませんか?」

Onozato「俺はエイブの新境地に感じたね。DEFTONESのドラマーっていうことが一番に伝わるというか、さらに裏方の職人感が増しているような気がする。敢えて主張しない良さっていうのかな」

Ken「やっぱり、ガツンってリフのときのドラムが効くわけで、歌に比重を置くとあまり前に出てこないのかな?特にここ最近のアルバムはそんな感じがする。でもやり過ぎていない感じが好感持てるし、音でいえば今回は『DIAMOND EYES』(2010年)と同じくらい良い!」

Onozato「だからこその完成度の高さだよね。なんていうか、俺たちはうるさい音楽を聴きすぎているわけよ(笑)。DEFTONESを今この作品から聴いてみる人々への刷新というか、なんなら彼等は引き算をしている印象があるね。だからすごいと思う」

Ken「今回は一番バランスがいいアルバムっていう感じがするな」

Onozato「音の緊張感も、ものすごく高いよね。ライターの行川和彦さんがブログで新譜を紹介(http://hardasarock.blog54.fc2.com/blog-entry-2306.html)していたんだけど、すごく納得のいく内容だった」

Ken「曲の良さで考えると、個人的には『恋の予感』(2012年)も好きだな」

Kyohei「アルバムタイトルはともかくとして(笑)、『恋の予感』もめちゃめちゃいいアルバムですよね」

MOCHI「海外の媒体で“この日本語タイトルの意味は?”っていう質問に“First Love”って答えていて笑いました(笑)。でも僕もチノに一度だけインタビューしたことがあって、“白でも黒でもない、グラデーションのような感情を表現することを意識していて、そのために歌詞に明確な意味を持たせないようにしているし、音も繊細なニュアンスを大事にしている”っていう言葉がものすごく印象に残っています」

Onozato「繊細なラウドミュージックって、憧れるね」

MOCHI「今回のアルバムが、これからのDEFTONEの基準のひとつになっていきそうな気がします」

Kyohei「DEFTONESにはいつまでもDEFTONESであり続けてほしいですね」

Ken「アルバム聴くたびに、次はどうするんだろうって思うよね(笑)」

MOCHI「今回ギターは9弦を使ったらしいですけど“Ohms”なんかはレギュラーチューニングでも弾けるみたいなので、次はその本領発揮ですかね(笑)。その前に12月に『WHITE PONY』(2000年)のリミックス盤の『BLACK STALLION』が控えていますが」

Kyohei「名前の由来なんだし“Knife Party”はKNIFE PARTYにやってほしかったな(笑)」

Ken「リミックス期待!!やっぱりちゃんとおしゃれに仕上げるのかな」

MOCHI「個人的にはニューメタルがやたら出していたリミックスとか、メタルコアでも若干流行ったダブステップミックスとかだいたい好きじゃなかったんですけど、この“Knife Party”を聴いたとき、トリップホップやアンビエントの要素があるバンドだからかものすごく映えるなと思いました」

Onozato「メンツも豪華だしね。SQUAREPUSHERとか、どんな感じでやるのか超楽しみ。みんなDEFTONESじゃなかったら受けない仕事だろうしね」

MOCHI「これきっかけにBlanck Massとかチェックしているので、また新しく教えてもらった気持ちもあります」

Onozato「本当に、DEFTONESは素晴らしいバンドだよ。そもそも、嫌いな人ってこの世に存在するのかな?」

MOCHI「馴染むのに時間がかかるのかもしれないですね。でも波長が一度合えば、ずっと聴き続けられるバンドだと思います」

Kyohei「初めは苦手から入りましたけど、今となっては自分の中でとても重要な存在です」

MOCHI「それでは最後、YADAさんに質問です。今回の対談きっかけに、DEFTONESに対する見る目が変わったとか、興味を持てそうなトピックはありましたか?このメンバーの圧とか関係なしに(笑)」

YADA「みんなをここまで惹きつける、すごく多角性のあるバンドだと思う。もっと時間をとって、歌詞も読みこんで一作品ずつ理解していきたいね。将来的に来日したら、みんなでインタビューしに行こうよ」

Onozato「なんだソレ(笑)」

MOCHI「あんまりDEFTONESに興味がなかったYADAさんの心を少しでも動かせたなら、今回は成功だと思います(笑)。みなさん今回はありがとうございました」

 

 

<各種リンク>

DEFTONES:https://www.deftones.com/

arbus:https://arbusjp.com/

catrina:https://catrina-tokyo.tumblr.com/

REDSHEER:https://deadsheer.wixsite.com/redsheer

SUNDAY BLOODY SUNDAY:https://sbspop8.wixsite.com/sbsband

DIRTY SATELLITES:https://dirty-satellites.tumblr.com/

WEIGHT:https://weight-hc.tumblr.com/

BROILER:https://broiler-grind.tumblr.com/