赤道を越えて共振する魂の記録。SUNDRとREDSHEERによる、日豪激烈スプリットがリリース!

――SUNDRはヴォーカル、ギター、ベース、ドラムがそれぞれ一人ずつという、シンプルな編成だよね。さっき挙げた影響源に比べると、明らかに人数が少ない。ギターやキーボードの音を重ねることができないという制限は、曲作りやパフォーマンスに影響していると思う?

スコット:僕たちの間でも、ときどきもう一人ギタリストなり、なにか別のパートなりを加えるか話し合いになるよ。でもこの4人で生み出すダイナミズムこそが、今の僕たちにはベストだと思う。それぞれに埋めていくスペースと創造力があるし、僕は4人で曲を作って、レコーディングして、ステージに立つのが好きなんだ。全員の力が発揮できるし、これからそれぞれがどんなアイデアを持ってくるのか、それが最終的にどんな形になるのか楽しみだよ。将来的に、やっぱりメンバーを増やすべきと思うときが来るだろうけど、そのときは、まずこの4人でどうするべきかを考えるべきじゃないかな。

――ブラックメタルからの影響を指摘したけど、SUNDRの楽曲は激しくありつつも、冷たさよりも血が通った温かみを感じるサウンドと空気だよね。先にあげたバンドよりも等身大というか、人間味を出すことは意識しているのかな?

スコット:その通り!僕は人間性というのは、その人のむき出しの心の現れだし、音楽にも反映されると思っている。いつもヴォーカルや作詞で、自分のアプローチをより洗練させられないか考えているし、今までのどの作品でも、自分のパーソナルな面を正直に表現しようと挑戦してきた。バンドとしても同じだよ。僕たちの楽曲は、ネガティヴな感情の導線みたいなものでさ。自分の最奥の根源の部分から、自分の不安やフラストレーションが流れ出てくるんだ。曲をプレイするために必要なことだし、僕はリハーサルでも本番でも、同じような感覚に陥るんだ。

――REDSHEERとは、昨年のツアーのうち東京の1公演をRiuji Onozato(vo,b)が仕切ったことで知り合ったんだよね。でもそのときは共演はしていないわけで。今回のスプリットのリリースには、どうやって話が発展したの?

スコット:Riujiとは、日本に行く前からメッセージを交換していたし、そのときにREDSHEERの曲を送ってもらったりしていたんだ。残念ながら彼以外のメンバーのスケジュールが合わなくて、日本では一緒にプレイできなかったけどね。Riujiは僕たちを本当に歓迎してくれて、ツアーのなかの1日を最高のものにしてくれたし、次の日の朝までもてなしてくれた。そして何杯ものビールの向こう側で、お互いに音楽をやる理由で繋がることができたんだ。あれから、Riujiとは親友としてやり取りをし続けてきた。僕たちはREDSHEERの大ファンだし、今回スプリットをリリースするのを、本当に名誉なことだと思っている。収録する2曲をRiujiが初めて聴かせてくれたとき、マジで吹っ飛ばされたよ。この2曲は大きな不安がベースにありながら、最終的に、聴き手の胸からそれを剥ぎ取ってしまうような感じだね。ものすごい努力の結果生まれた曲だと思うし、この生々しくて正直なサウンドで、REDSHEERは完全に新しいレベルに到達したと確信した。Riujiの人間性がハッキリと現れているようにも思うよ。

――SUNDRの2曲は、今回のスプリットのために書き下ろした新曲なのかな?

スコット:僕たちは今年、次のアルバムに向けて制作をしていたし、いろんな素材を作ってもいたんだけど、作業がめちゃめちゃ遅くてさ。ぼんやりとした締め切りを忘れて、REDSHEERとのスプリット2曲に集中するのが一番いいと思ったんだ。僕はアルバムのために書き溜めていた歌詞を18分(スプリットの2曲分)に濃縮することで、よりシンプルで直接的なアプローチができたと思う。今回はいつもと違って、バンド全員でライヴレコーディングをやってみたんだけど、曲のドラマ性をより強調する結果になったね。最初の音源から、ずっと同じエンジニアと組んでいるんだけど、彼が僕たちがどんなサウンドを目指しているのかを完全に理解してくれていたのも助かったよ。

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