赤道を越えて共振する魂の記録。SUNDRとREDSHEERによる、日豪激烈スプリットがリリース!

Text by MOCHI
Translation by Sachiko Yasue
photo by Zo Damage

2017年8月にツアーを行い、初めて日本の地を踏んだオーストラリアはメルボルンのポスト・メタルバンド、SUNDR(サンダー)。日本各地で好事家たちに爪痕を残した彼らが、東京のREDSHEERとのスプリットEP『 SUNDR : REDSHEER 』をリリースする。互いへの愛と尊敬を表明しながら、壮絶な新曲で正面衝突する好スプリットだ。今回、フロントマンとしてSUNDRのイメージを決定付けるスコット・カーティス(vo)がスプリットについてはもちろん、自分たちのこと、REDSHEERのこと、そして今後について、じっくりと語ってくれた。ちなみに昨年のSUNDRの来日が、初夏にLIVEAGEにてインタビューを掲載したFortitude Artist Services発足のきっかけになったとのこと。国境も赤道も越えて、地下世界はこうして繋がっていくのだ。

――まずは去年の8月に行った初の日本ツアーについて。振り替えってみて、どう感じる?

スコット:マジな話、僕の人生は変わったよ。初のアルバムのツアーの一環ということで日本ツアーの機会を得たんだけど、あのときの僕たちはまだオーストラリア以外をツアーしたことがなかったんだ。本当に大きな出来事だったし、同時に最高の決断だったね。いっしょにやったどのバンドも素晴らしくて、自分たちはまだまだまだって思い知ったし、情熱と努力を注いでる姿を見られた。バンド人生の大きな糧になったよ。ツアーそのものもちゃんとオーガナイズされていて(Fortitudeに感謝!)、お客さんの反応も最高だった。僕たちは、日本の人たちは信じられないほど親切で、勤勉だという証人だよ。最高の友情を築けたし、また行くのが待ちきれないね。

――SUNDRは、まだそこまでキャリアのあるバンドではないよね。いつ頃、どんな流れで結成したの?

スコット:結成は2015年だね。もともと僕とトロイ(・パワー/g)、アダム(・トゥルカート/b)でハードコアをやっていてさ。ずっとちゃんとしたドラマーがいなかったから活動もうまくいかなかったんだけど、それでも曲を書き続けて、なんとか前進しようとしていた。最終的にダン(・ニューマン/ds)が加入して、SUNDRは始まったんだ。僕たちは、エモーショナルでヘヴィな音楽を作ろうとしていた。自分たちにとってもリスナーにとっても、幻想的かつカタルシスを得られるような、ね。方向性は最初から一貫していたけど、自然に進化していったと思うよ。

――バンド名の読み方は「サンダー」だよね。言葉の響きからは雷を思い出すけど、どんな意味が?

スコット:「Sunder」という、分断とか、分裂を意味する言葉があってね。これを北欧の古い綴りで書くと「SUNDR」になる。僕たちの歌詞や曲のほとんどは、いろいろなものが壊れてしまったり、つながりが断たれてしまうことがテーマだから、ピッタリだと思うよ。

――SUNDRの曲からはISISやNEUROSIS、CULT OF LUNAといったカオティックなハードコアやポスト・メタルの影響が感じられるね。それとブラックメタルを思わせるギターのもの悲しげなコードがありつつ、ブラストビートや過剰なディストーションでのヘヴィさは押し出していないように思う。音も詰め込まずにすき間を生かしている印象だし、じっくりと長い時間をかけてストーリーを描くような楽曲作りを意識しているように感じる。

スコット:君が挙げてくれたバンドからは、間違いなく影響を受けているね。今の曲のアプローチにたどり着いたのは、日本やヨーロッパのクラスト系のバンドの影響も強いよ。幻想的なサウンドは、ドゥームやスラッジ、ポスト・メタルから来たものだね。僕たちはいろいろなジャンル、時代の音楽に刺激を受けているけど、個人的には、作り手のパーソナリティが反映されたものが好きだな。その人の進化や創造性が音楽と繋がることで、アートにより重みが増すんだ。これは僕がSUNDRで挑戦していることでもある。メンバー同士でも聴いている音楽をシェアして、知識や興味の幅を拡げるようにしているよ。どんどん作曲の自由度が増していると思う。この3年間、僕たちは幸運にもいろんなバンドと対バンすることができた。とんでもなくヘヴィなドゥームバンドや、インダストリアル、ハーシュノイズとか…みんな独自の方法論のもとで、ヘヴィで、ダークで、激しい表現を追及している。ものすごく刺激されるよね。僕たちにとって、作曲は書き直しの繰り返しなんだ。大抵はトロイのギターから始まるんだけど、しっかりした構造のときもあれば、ちょっとしたリフをみんなで発展させることもある。曲をみんなで練り上げていくとき、僕からみんなに歌詞の断片を伝えて、テーマを共有する。曲と歌詞のストーリーを、一緒に作り上げていくんだ。全部台無しになることも少なくないけどね(笑)。

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