「人を喜ばせるために音楽を作りたい」。ソロとして歩き始めたVelladonが語る、未来への決意。

――“Velladon”という名前とステージや写真におけるイメージには、どのような由来とコンセプトがあるんでしょうか?

Velladon: 名前の意味ですが、まず「ヴェラ」は、女性的で優美な響きがほしくてつけました。古代ローマ、共和政ローマの時代の”Villa”という建築様式の影響です。”Villa”は有閑階級の象徴でもあり、優美で、余暇を楽しむ豊かさがあって…流麗なメロディのようにしたい、という気持ちを込めています。次に「ドン」は、幼少の頃から大好きだった昭和の怪獣たちにあやかっています(テレスドン、パンドン、モグネチュードン等)。また「ドン」は瞬間的、かつ大きな衝撃音・轟音のオノマトペです。「ヴェラ」は優美な響きで水平方向の運動を、「ドン」は垂直方向の運動を表現…というところです。「ヴェラ」は、この上なく西洋風に、「ドン」は、この上なく日本人風に読むのが理想です。
イメージについては、David Bowieや若かりし頃の美輪明宏さんの影響が大きいです。性別や年齢を超越する、まるで美意識が具現化したような存在に憧れています。

――Velladonさんの作る音楽からは共通してブラックメタル、ノイズ、クラシック、アンビエントといった要素が感じられます。特に影響を受けたものとして、どんなものが挙げられますか?

Velladon:ブラックメタルはBurzum、ノイズはCoil、クラシックはバッハ、ショパン、現代音楽ではフランス6人組や伊福部昭、アンビエントではブライアン・イーノの影響が大きいです。

――なかで、ブラックメタルは特に重要な要素だと感じています。ヘヴィメタルのサブジャンルでも異質な存在であるブラックメタルの、どのような部分に影響を受けているんでしょうか?

Velladon:実は、僕はメタルにあまり興味がなく、好んで聴くことがあまりありませんが、ブラックメタルは別でした。ブラックメタルは音質も音階も自由な表現が多く、魂や怨念を込めることに重きを置いています。バンドではなく、ひとりで制作するアーティストが多いのも、作品の純度を上げていると感じました。ブラックメタル原理主義者の思想とはわかりあえないものの、音楽の表現には大いに共感しました。僕のブラックメタル作品『Black Metal Demo』への、Deathspell Omegaのミッコ・アスパの「ほかのバンドを思い起こさせない、非常にユニークで独創的な作品だ」というコメントは、とても嬉しかったです。

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