MIRRORキモトのいつだって生涯原液 ~ コイめ・オオめ・カタさはフツーで ~ vol6

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その数時間後、妻とカップラーメンを啜りながら緩やかな会話をしていたところ、妻からサシコミが。

「ところで、今年、今度のライブはもう決まってるの?どんな感じ~?」

穏やかなそれまでの空間が急に張り詰める。脳内BGMはボスステージに入る瞬間の切り替わりのソレをイメージしていただけると幸い。ラスト1機。
以前のコラムでもお伝えしたように、この局面での話の進め方・言葉の選び方次第で、その後の数時間から数日、ともすれば、ライブ当日までの時間が冷戦状態に成りかねない危険性を孕んでいる。

問われた小生は
ボキ「ああ~ライブね、何本か誘いは貰っててサ、まぁ、メンバーにも確認中なんだけどサ、でも誘ってくれてるバンドが若手なんだけどサ、結構頑張ってるバンドでサ、彼らのレコ発みたいなんだけどサ、うちらみたいなオジサンバンドでも気にかけてくれてるみたいでサ、うちらのコピーとかもやってたことがあるみたいでサ、それで誘ってくれてっていうのはやっぱりサ、嬉しいし、応えたいかなぁとは思ってんだけどサ、ほら、俺も若い頃にサ、年上・目上の憧れのバンドを自分達の企画に誘いたいなぁ~ってキモチもあったしサ、だからそういう・・・」
ココで全てのコトバを言い切る前に妻からのオブリ的サシコミ
妻「で?!どうすんのっ?」
ビクンとなる小生。軽めのアクメ。
ボキ「し、仕事の都合次第なんだけど・・・どうしたらいいかなぁ・・・てのはあるんですけども・・・どうしますかね・・・」
妻「は?だから決めればいいでしょ、どうにかしようがあんの?え?」と冷めたご様子。

カップラーメンからも湯気が消えている。

・・・(サイレントエモの夜明け)からの…

ボキ「…つらかったよね」

まさかのココの局面で自然と出てきた「つらかったよね」フレーズ。我ながら正気の沙汰とは思えぬ言葉のチョイスlike好きでもないコに大好き言えちゃう自分の良くも悪くも無責任が俺の責任by高田純二インスパイア。

ダメ押しで「つらかったよね、ソレは」

もはや、2度目は言ってる自分ももはや半笑い気味のつらかったよね。

しかし…まさかの展開が!

妻の瞳からひとしずく涙がこぼれる・・・!嘘でしょ?!マジで?!

こぼれる涙を誤魔化すようにカップラーメンを啜る妻。
そして一言、「なんかぁ・・・長女が生まれたばかりのころに同じようなやりとりしたことあったでしょ(※コラム第1話参照)、で、なんかそのときのことを今ふっと思い出したんだよね・・・あぁ・・・あの時ってそういう感じ(情緒的にアレ)だったのかなぁって・・・さっき見たアノ“つらかったよね”がまさかこういうふうに利くとは自分でも思ってみなかったわ」と、頬笑みながら涙を流すというトレンディドラマのトップ女優が演技でしか見せないであろうシーンがまさに目の前で繰り広げられるlikeダブル浅野的に.もはや、ライブ云々とかどうでもいい次元でのトークへ発展。

コレね、ぶっちゃけ、イケると思いましたね。

「つらかったよね」

の多用。キラーリフ感ありますよ。とりあえず、女性(妻)とぶつかるときって、前述の通り、男は目の前の問題点の具体的解決に取り掛かろうとするじゃないですか。じゃあ、こうすればいいの?ああすればいいの?そうすればいいの?じゃあ、それでこの問題は解決ね?OKね?もう怒んないでね?怒ってる?怒ってない?俺?俺は怒ってないよぉ?うん、全然だよぉ?ごめんね(最後にとりあえずの“ごめんね”)で〆ようとする姿勢。あわよくば仲直りセック○スにありつけて感無量あるよね~的。もはや、ベタオリ・ド安めでも構わないから、和了れる手なら和了っとけ的likeいや~もう少し粘れば三色見えたでしょ~的でも気にしない。

恐らく、ソレが妻達は気に入らないのだろう。目の前で、自身をただ文句を垂れる人のように扱われて苦情処理されている感じ。

大事なのは、情緒に触れること。そっと、さりげなく、情緒に触れること。(で、情緒ってナニ?)

フェザータッチ&ダムドタッチで情緒を刺激、つまりそういうこと。羞恥に揺れる柳腰的。

どうやら、私達男性はいささか勘違いというか、遠廻りというか、無駄な気遣いをすることに一生懸命になっていたのかもしれない。家事・育児に積極的に参加し、物理的・視覚的・現実的な結果・成果を出すことで妻から認められたい、もしくは、認めさせたいという路線での承認欲というか、ね?コレでどうかお願いしますよ、ね?どうか!という感じ。そうまでしてもご機嫌ナナメな奥様から逃げるべくナニかに逃避行。酒・ギャンブル・女・スーパー銭湯。

だが、そんなことよりも我々がまずすべきことは

とりあえず~情緒に触れてこっか

だったご様子。(現場の、とりあえずココからココまでマスカーね、的)

そのための魔法の言葉a.k.aつ ら か っ た よ ね

これを今年は使い切っていきたい所存。つらかったよね押し。ひたすらつらかったよね責め。つらかったよね縛り。1日1つらかったよね。つらかったよね始まりのつらかったよね終わり。情緒不安定なの?と問われるほどに二言目にはつらかったよねインサート。

これは、是非とも周囲の家庭内でビクつきながら音楽活動をしているバンドマン、もとい、妻にワケもなくビクついている夫達にトライしてみて頂いて、その成果を聞いてみたい案件。ただし、そもそも論として『つらくさせてる原因はテメーだからな?』を忘れずに“つらかったよね”ヘヴィユーザーに。

仮に、全く効果が無く、むしろ、導火線に火点けた的展開になっても、私には一切の責任はございませんので、悪しからず。

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