90年代ポリティカルHARDCORE伝説降臨!CHOKEHOLD来日レポート!西荻窪編!

CHOKEHOLD

text by Yoshinobu Yada
Photo by Mitsuhashi
place 西荻窪FLAT
day 2016/09/23(金)

正直に申し上げますと、私は、CHOKEHOLDは後追いです。
何故かというと、90年代に発生したメタリックなハードコアはそれなりに聴いていたのですが、
私、出がバリバリのメタルなんです。中学生の頃から必死にベイエリアのスラッシュメタルやフロリダのデスメタルを聴いていました。
なので、「Morning Again凄いで!」といわれても「ん〜演奏甘いし、そこまでメタリックじゃない!」というのでけっこう敬遠していました。
ただ、 Ebullitionのバンドはアートワークやメッセージがそれを凌駕する時があり、特にStruggleなどは死ぬほど聴いていました。
何故かと言うとStruggleは声が凄く変わっており、あとハードコアというには音が攻めすぎていて、非常に独特な感じでしたからね。
あとアートワークも「資本主義死ねや!」って感じで分かりやすくとっつきやすかった。
CHOKEHOLDは残念ながら、当時住んでいた八王子には届いてきませんでした。
当時は全部、口コミなのです。口コミから西新宿へレコードを掘りにいくコースなのです。

今日の西荻窪FLATのライブ、全てのバンドを初めて観ました。音源をすでに買っていたバンドもいました。そこで、強く感じたことがあります。
それは「ハードコア文化は全世界で繋がっており、音のトレンドはお互いに影響を与え合い瞬時に移り変わるが、そこが面白い」ということです。
自分なりに(甘いという指摘は覚悟しています)今のアメリカのハードコアのトレンドを紐解いてみると、

・90年代のスウェディッシュデスメタルのEntombedに影響されたハードコアバンドBlack Breathの登場で、Entombedのような潰れた音(HM-2というエフェクターが重要)のバンドが増えはじめます

・そこから突然変異的にXIBALBAというストーナーとビートダウンハードコアをmixし、超暴力的に仕上げたモッシュコアが登場します

・weekend nachosのような90年代のpower violenceのサウンドを潰して、ビードダウンパートをはさんだpower violenceバンドたちが登場します

・来日中のtrapped under iceやExpireのようなダンスを目的とするようなとにかく体がうごくビートダウンハードコアが登場し、turnstileのようなファッショナブルなバンドまで登場します

上記のようなトレンドが混ざり合っているように感じています。(もちろんトレンドに接近したり、距離を置いたりしながら、NYHCやクラスト、SxE、JAP系、激情系のバンドも存在します)
このアメリカが起こしたトレンドが世界的に拡散され、様々な国で新たに解釈したバンドが新しいサウンドを作っているのが「今のアメリカ的なハードコア」なのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、ハードコアの一番面白いことのひとつが「サウンドが世界的に一瞬で広まり、再構築され、また新たなトレンドを産む」というところではないでしょうか。
もちろん、そこにはサウンドだけではなくファッションや政治的な姿勢も含まれます。インターネットを手に入れた我々はこのサイクルを「最速」まで今、もってこれているのではないでしょうか。
90年代はアメリカでエモーショナル・ハードコアが勃発したあと、かなりのタイムラグがあって日本に伝播しました。(Swipeなどがいち早く取り入れますが)
Asthenia(現在の日本の90年代的エモーショナル・ハードコアバンド)のメンバーいわく「これからは2000年初頭のニュースクールサウンドがトレンドになるんじゃないかなぁ」との事です。
ファッション、フード、色々ありますが、トレンドのサイクルは回っていきます。
個人的に追っている、欧米のPOPS(テイラー・スウィフトなど)は去年までは80年代のエレポップ(EDMに接近しつつ)が主流でしたが、今はまた違うサウンドを模索しているような感じになってますね。

ではレポートスタート!今回は三橋くんに写真を取ってもらったので写真多めでFuck’n GO!!!(懐)

1バンド目:super structure

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super structure

super structure

この企画の企画者のsuper structureです。Coffinsに加入したアタケ君が昔からやっているバンドですね。バンド名はFall Silent(90年代後期のブルータルなハードコア)から来ていると思われます。
super structureはFall Silentの影響ももちろんありますが、上記にあげたようなトレンドもサウンドにしっかり取り入れているように感じました。
特にpower violence的に爆発するようなパートがあり、ビートダウンもあり。しかし、非常に演奏力があり、しっかりした屋台骨を感じました。
ドラムの方は音の正確さ、大きさ、バネなど素晴らしいですね。
楽曲はプログレッシブに構成されていて、目まぐるしく展開が変わります。
シンガロングパートなどもあまりなく、とにかく、暴力的かつヘイトに突き進む感じでかっこよかったです!
個人的にはギターの方のVICTORY RECORDSの1996年ラインナップのTシャツが胸熱でした(笑)

2バンド目:friendship

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friendship

friendship

このバンドの音源は買って聴いていました。色んな人から、アンプの持ち込み量が凄いと聞いていたのですが、実際に見ると凄い!
オレンジのヘッドとキャビを山ほど積んで、ドラムセットも持ち込みです。
しかし、メンバーの顔つきや体格からみると20代前半のようで、その情熱に感服しました。(20代前半でバンド哲学をある程度、完成させているというのが個人的にはEnvyやNDW, There isを彷彿させました)
サウンドはけっこう形容しがたいです。power violenceのようでもあり、スローなパートもあり、でもモッシュ的ではなく。。。アートな感じもあり。
とにかく気合いの入りまくった凶暴なハードコアでしたね。
ここで、ちょっとした事件が。
ボーカルの方が、客席にふいにタックルをしてきたのです。(よくありますよね)
私はこのバンドはそういう感じではないなとおもって油断していたのですが、まっすぐ私のほうにタックルは飛んできました。
「ああ、やばいな、このボーカルの方の体格、スピード、下手したら、肋骨いくかな」と思った瞬間。
私の腹にすっぽりボーカルの方が入りこんだのです。で、ぽよ〜んとV時的な角度で跳ね返ってゆきました。
私、今、体重76キロなんですが、ハート様(北斗の拳)のような事をしてしまいました。。。夕ご飯に食べた「凪のラーメン」の麺が命を救ってくれました。

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