「せっかく岸田森に似てるのに」
松田 : 今回は2バンドの二面性を出そうとしたんですけど、そういう風になってますね
T : まぁ、ヴィヴィアンはいつも通りだろうなと思ったので、パッケージとしてまとまりが出るように選曲もジャケもヴィヴィアンに寄せましたね
H : だからそこがね、さっき言ったったように“いい人”であって、デカダンになりきれないとこなんだろうね。オーガナイザーっぽくなっちゃうっていうか
T : 自分の中の裏方が騒ぎ出すんですよね。意外かもしれませんけど、ライヴにおいても“俺が俺が”とかないですもん、役割として出るとこは出てるだけで
H : 俺はもともと“俺が俺が”っていうタイプでした(笑)
T : それはもうCRAZY SKBにも負けてなるもんかみたいな?
H : いや、あのバンドはわりと頼まれてやってたからまたちょっと違うんですよ。やっぱナオナオと出会ってからは、もういいやってかんじになって。ナオナオが光り輝くことが重要で俺たちはもういいんですよ
松田 : アートワークもナオナオさんだけで他のメンバーいないですからね。今回もナオナオさんとツネさんだけで
T : あれも決して私の自己顕示欲じゃなくて、全体のバランスを俯瞰してみてそうなりましたね
H : 誤解されるかもしれないけど、ヴィジュアル系とかのバンドでヴォーカルしか写ってないのとかとは違うもんね
T : 自分が目立ちたいとかじゃないんですよね。メンバーにもそこは解ってもらえてると思います。ところで、ナオナオさんって空っぽのモデルではなく音楽家じゃないですか。でも、ああいうジャケットに映るときは、ささっとモデル的な人格に豹変して空っぽになるんですよね
H : 自分のバンドメンバーをあんまり褒めてもしょうがないけど、ナオナオは一回自分を空っぽにして、そういう役柄になることができる能力があるんだよね。好きだからやるとか嫌いいだけどやるとかそういうのはそこにはない。だからヴィヴィアンボーイズをいくら聴いてもナオナオの魂とか心とかはわかんないと思う
T : なるほど。今回の撮影もほんとすんなり”なりきって”スムーズにいきました
H : 以前、ヴィヴィアンの「欲望アクション」時に撮影をナオナオさんの家でしたんですけど、あの人、待ち合わせに寝坊してスッピンで髪を振り乱して自転車でやってきたんですよ。でも、家に着いたら「ちょっと待ってて顔つくるから」って、もう5分くらいでいつものナオナオさんになって。カメラ向けたらもうぜんぜん違う人なんです
T : 完全に女優ですね
H : その切り替えがすごいなって
T : だから今回の撮影も楽しかったですよ。場所をおさえてる時間に限りがあったんで心配だったんですけど、すぐに終わりました
H : ふたりとも照れないしね
T : あんなメイクしてはにかんでたら、逆にみっともないですからね(笑)
H : 俺は音楽やってるときは平気だけど、ああいう撮影とかむりだねえ。照れちゃって。だから俳優とか絶対できない、ステージだけです。
T : せっかく岸田森に似てるのに(笑)