金沢から放たれる,エクストリームミュージックの申し子、THE DONORの2nd ALBUM “ALL BLUES”レビュー!!

THE DONOR

レーベルオーナー 伴内(TILL YOUR DEATH RECORDS)のレビュー
2001年から金沢でメンバーチェンジを重ねながら9年間活動していたSEC DIMENSION。
DEMOのリリースはあったものの、彼らが残した単独作は6曲入りのMINI ALBUM「STRUGGLE ONE’S WAY」のみであった。
しかしながら岡山の盟友GxSxDとのSPLIT CD「FIGHTING ON THE EDGE」が国内最大のヘヴィメタル雑誌であるBURRN!に掲載されたこともありバンド名は知っているという方もいらっしゃるのではないだろうか。
(余談だが、GxSxDはTILL YOUR DEATH RECORDSから1st ALBUM、2nd ALBUMのリリースに加え、4枚組V.A.TILL YOUR DEATH vol.2にも参加してくれている。2nd ALBUMはシンガポールのPULVERISED RECORDSからのリリースで日本盤のみTILL YOUR DEATHからのリリース)
SEC DIMENSIONはNEW SCHOOL HARDCOREや今では死語となってしまったかもしれないがモダンヘビィネス寄りの音を出していた。

2010年12月に解散、バックの楽器隊の三人が新たに結成したのがTHE DONORだ。
まず挨拶代わりとも言える4曲入りのDEMOを2012年にリリース。
単独作をリリースしていないにも関わらずオーストラリアツアーを敢行、そしてSTRENGTH APPROACHやDEAFHEAVEN、Sons Of Tonatiuhの来日公演をサポートし、国内外で高い評価を得ることとなる。

2014年6月、満を持してTHORNのボーカルのジャイアン君がやっているINCLUSIVE inc.とTILL YOUR DEATH RECORDSの共同リリースという形で1st FULL ALBUM「AGONY」をリリースし、1000枚完売。
リリース後海外ツアーの話がいくつもあったにも関わらず、実現しなかったのが本当に残念でならない。
1st ALBUM「AGONY」は海外でも高い評価を得て、彼らの元には国内外数多くのレーベルからオファーが届くこととなった。

順調な活動を続け、2017年4月に発売された全20バンド収録時間五時間という4枚組V.A.TILL YOUR DEATH vol.2に参加。
THE DONORは新曲5曲提供している。
(2nd ALBUMとは3曲被っているものの、アルバム制作時に新たにレコーディングし直している。残りの2曲は今のところこのV.A.のみに収録)

同年9月30日には3LAからリリースされたV.A.「ろくろ」に参加。
(KAGEROUを提供)

そして10月4日、1st ALBUMから3年振りとなる、2nd ALBUM「ALL BLUES」をTILL YOUR DEATH RECORDSよりリリース。

スラッシュメタル、ハードコア、デスメタル、ブラックメタル、スラッジ、グラインドコアなど様々な要素を消化した彼らならではのエクストリームなハイブリッドサウンドは前作同様健在。
様々な要素を加味しつつ、決して雑多なものに聴こえないところが彼らの凄いところではないだろうか。
1st ALBUMに比べよりアグレッシブになっているにも関わらず、どこかしらポップな要素を感じさせる点は不思議でならない。

THE DONORの活動のフィールドはハードコアシーンであるのだが、彼らの強みの一つとしてメタルシーンでも確固たる知名度があるということが挙げられる。
2012年、毎年年末に東京で行なわれる総武線バイオレンスに彼らが初めて出演した時のことを今でも鮮明に覚えている。
メタルリスナーが多数詰めかけ、初めて観る人が大半を占める中で彼らの盛り上がり方は凄まじいものがあった。
そして終演後デモを購入したいという多くの人達が彼らの元に集まっていたという事実がメタルリスナーにも認められたという証なのではないだろうか。
まぁ〜その時点でデモは残り数枚で、ほとんどの人達が入手できなかったのだが 笑。

今回地元金沢でのレコ発には盟友GxSxDが出演し、そしてGxSxDの地元である岡山でもレコ発が行なわれる。
世界的な知名度を誇るデスメタルバンドのGxSxDとハードコアのフィールドを主戦場にしているTHE DONORが前身バンドの縁とは言え、今でもこうやってお互い切磋琢磨しているライバルであるということはある意味凄いことだと思う。
ありがたいことに、近いところでこの2バンドの結成当初から今に至るまでを見てこれたことは本当に感謝しかない。

THE DONORが提示した今作も、前作同様日本国内のみならず国外でも高い評価を得るに違いない。
売れて然るべき作品であることは、言うまでもなく聴いてくださった方々が一番分かってくださっているのではないだろうか。
興味があったら是非手にとってみていただきたい。
彼らの素晴らしさが全て凝縮された10曲22分を是非体感してみてください。

TILL YOUR DEATH RECORDS
伴内

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