MIRRORキモトのいつだって生涯原液 ~ コイめ・オオめ・カタさはフツーで ~ vol1

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俺と妻とバンド

今回、コラムを書いてもらえないかという依頼がありまして、コラムってのは世間的にある程度の認知度およびソレに伴う影響度があるひとが、好きなトピックに対してやたらナナメにドヤ斬りしていくアレだと思ってましたが、色々調べたら、別にどうでもいいらしいですね。なので、そのテンションでならと、引き受けさせて頂きました。

私、今年齢38才、妻子ありの趣味はバンド、普段は平凡なサラリーマン。
21才頃よりバンドを組んでオリジナル曲を作ってはたまにライブをし、何年かに1度のペースでCDを作っては売ってという緩やかな活動をして…という生活を続けてきて、今、齢38才。

唯一の趣味といえるバンド活動を行う上で、最も重要なことは【妻の理解・許容・許可】だと、個人的には思っております。むしろ、ソレ1択。ロン、ソレです、チーピンペンチャン待ち。
その妻から発せられた私のバンド活動に対しての様々なアイロニーたっぷりな発言の一部をこの場を借りて紹介させていただきたいと思います。
同じ境遇の方には共感を、まだ若いバンドマンの皆様にはあなたの未来予想図の、ある一例的な参考になればと思います。この想いは俺だけじゃないし、君だけでもない。もうひとりじゃない(ちなみに、僕の親友の父親が隠し持っていたAVのタイトルが”もうひとりじゃない”だった件でリアルサッドエモ)

1.「ねぇ、それでもバンドやるの」
これは、ひとりめの子が生まれて間もない頃に、風呂入ってる時に言われましたね。初めての子ということもあり、育休的にバンド活動を止めていたんですが、自分ではそろそろ練習位は入り始めてもいいかなぁ~なんて軽い気持ちで言ったんですけど、妻も初めての育児で色々大変だったのに、は?自分だけ?やりたいことやる?バンドをやる?頭、大丈夫?馬鹿?的な。
ソレに対して色々考えたアンサーが「バンドやめてもサ、他のことに刺激求めて新しいこと始めちゃうと思うけどサ、今更サ、新しい趣味なんて見つからないしサ、そしたらバンドに費やしてたサ時間とサ同じだけサ、パチスロとかサやっちゃうようにサなるかもサしれないぜサ?それならサ、バンドのほうがサ良くない?」でした。サの過剰なまでのインサートぶりが緊張感物語るライクSLINT。まぁ、全然アンサーになってない感、わかります。あのときの妻の呆れ冷めた顔は墓場まで持っていきたい。Grave dancers union by SoulAsylum的。

2.「いちいち確認しなくていいから、家族との時間よりも優先してでもやりたいライブなら受ければいいんじゃないの?」
これもなかなかドス利いてますね。ライブオファーを受けたら基本的には応えたいと思っていたのですが、家庭をほったらかして全部オッケーです!とはいかず、都度、確認するようにしてたんですけどね、そのある時にコレ言われましたね。多分、アレっすね、毎回毎回うっせぇよクソがテメー的なウザさでしょうね。(いますよね、いちいち確認して同じようなことで承認取りたがる部下コーハイ、確かにアレはアレっすよね)ダメっつったらフジロックのオファーも断るのか?的な事も言われた曖昧な記憶。まぁ、ぶっちゃけ断りますけどね。嫁>フジロック。で、その場のアンサーとしては「家族とバンドはそもそも比べるものじゃないからねぇ…たはは…」と逃げの一手。でも、よく考えたらそうですよね、貴重な家族との時間を割いてライブをするわけなので「キサマにとってそのライブは家族との時間よりも大事なんだよな、キサマ」ですよね。過剰脳内変換。まぁ、最近はオファー自体も殆ど無いですし、お断りするときは大体がメンバーや自分の仕事の都合上の理由が殆どですので、断ったライブ=出るに値しないという誤解はされないようにと思いますが、まぁ、バンドと家族との時間どっちが大事ですかと問われれば、断固42.5ゲーム差で家族です。はい。余談ですけど、ライブの日って1日ソレに持ってかれる感じですけど、個人的には昼間に2,3バンドリハなしトータル3時間でオツカレしたぁ~打ち上げは行きたいひと行って、自分はコレがコレでナニがナニなんでお先にドロンしますね~で夕飯18:30には家で家族といただきユンピョウみたいなライブが理想。

3.「フッ笑、別にパパがスゴいわけじゃないから」
コレは正に正論ですね的な。長女は私と真逆でメジャー嗜好強くて、テレビに出てる人=スゴいひと・有名人という見方をするんですよね。で、ある日、某音楽番組見てたら某バンドのバック演奏者として私の知ってるカレが出てたんですよね。なので、娘に「このおにいさんはパパのおともだちなんだよね~」と言ったら「え!本当に?パパってスゴい!」的なキラキラしたやりとりしてるところに表題のサシコミを冷ややかな笑顔とともにされましてね。ええ、おっしゃる通りすぎてみっともなくてね、何も言えなかったですね。他人のフンドシ喜んで巻いて相撲取ってる感。あ、ちなみにこの間、たまたまそのカレに偶然会ってそのクダリ伝えたら「娘さんに喜んでもらえてなんかありがとうございます」みたいな感じでハニ&カミしてくれて、ほっ&こり。

4.「ていうか、趣味の域は超えてるから」
バンドやってるとツアーに出たり、リリースしたり、あとは普段のライブも見知らぬお客さんからお金を頂いてたりするわけですよね。ありがとうございます。で、ある時、「バンドは俺の唯一の趣味なんだから多目に見てよ」的なことを軽く言ったらソレ言われましてね。つまり、アンタのやってることは世間一般的な意味合いでの趣味の域を超えている、と。趣味だと言うのなら趣味の範囲としてやりなさいよ、どうなのよ?的な。ですよね、趣味ってもっとライトな感じですよね。ミルクティー飲みながら手芸しちゃいながら結局マンガ読んで昼寝しちゃう片足ユザワヤ入れてる感。よく考えるとコレもなかなかドス利いてますし、妻の方がよほど俺よりシッカリしたバンドマン意識高い系。アンサーとしては【はにかみ笑いで話題変えて撤収】でしたね。

5.「レコーディング?え?どうして?なんのために?」
コレは結構最近言われたヤツですね。バンドやってると曲もそろそろ何曲か出来たし、そろそろレックしよっか?リリースはどうする?なんて気取ってんじゃねぇぞテメーコノヤローなやりとりをしちゃいますよね、当然顔で。そんな当たり前は当たり前のテンションでいて、なんのため?のクエスチョン斬新。なんのためにをやるかを説明a.k.a稟議上申しましたが、自分が当たり前と思っていることを、第三者に説明、理解させることで、自分でもよりその本質に触れて意義・意味を再確認出来ましたが、コレを冷めた半笑い気味で言われると結構パンチありますね。

6.「コレってCDの音?え、ライブ音?いつからそんなに演奏上手くなったの?」
コレは嬉しさ半分・悔しさ半分の感じでしたね。ライブ演奏を録音していて、ソレを自宅のPCで流していたときに言われたんですよね。完全上から見下し系のオドロキ発言的な。まぁ、我々のバンドのライブはガチャ&ガヤがセオリーでしたからね。驚くのも至極納得。自分よりブスでイケてないと思ってた女が実はもう処女じゃなかった時の女のソレに近い感じ、ないし、高校生の時にアイツだけは童貞ダロと決め打ってたアイツが実は年上女子大生とレコメンドしてた時のソレ。まぁ、でも、薄くでも認められた感あって嬉しかったですが、妻いはく、この界隈の近いバンドではBALLOONSの演奏力が断トツらしいです。流石、わかってらっしゃる。

7.「やめてって言ったらやめるの?やめないんでしょ」
はい。つまり、そういうことです。悟られてます。ナンダカンダでも、理解・許容=諦めという名のガンジス川のような穏やかな心の広さで僕のバンドマンとしての日々があります。感謝。

結論:理解ある女房=憤り・諦め・悟った最終型。

では、また次のコラム宜しくお願いいたします。

(追記)
これはあくまで、とあるバンドマンの一例であって、必ずしもこうとは限りません。悪しからず。