初めまして大阪で色んなバンドでドラム叩いたりギターを弾いてるZORIです!今回は大注目のフィンランドはヘルシンキのCROSSOVER THRASH、FORESEENが来日するって事で、そもそもCROSSOVERって何なの?FORESEENって?他に似たような同時代のバンドは?他にもフィンランドに同じようなバンドはいるの?という疑問に偏った知識と愛で紹介、説明をしていこうと思います。
FORESEENについて
2009年に結成。日本ではメタルマニアに人気があるRANGER(※①SPEED METAL)のメンバーが1stアルバム以降参加した事で(現在は脱退)メタルサイドでヘッドバンガーズ達の間で話題になりました。
ただしボーカルのMirko Nummelin氏の癖の強い粘り気のあるストロングなボーカルスタイルはAGNOSTIC FRONT(※②)のRoger Miret氏やCRO-MAGS(※③)のJohn Joseph氏、NEGATIVE APPROACH(※④)のJohn Brannon氏を思わせ、熱いライブパフォーマンス、モッシュを誘発させる楽曲は現代のクロスオーバーハードコアシーンを牽引するPOWER TRIP(※⑤)やRED DEATH(※⑥)等に通じるものがあります。
Mirko Nummelin氏はRED DEATHの音源のジャケット制作もしており、そういった国を超えた繋がりがサウンドに与えている影響も大きいと考えます。
そういった部分から徐々にハードコアサイドのモッシャー達からも体を動かすのにうってつけなサウンドとして人気が出ました。
過去のメンバーを含めるとかなり多岐に渡るため、現在のメンバーに絞ると
INITIATED(Doom Metal/Hard Rock)
BLACK SABBATHルーツなオールドハードロック、プロトメタルタイプ。
Rivette(Hard Rock /Power POP)
70’s~のパンキッシュ・パワーポップ的なハードロック。
Horros(Hardcore Punk/Crust)
クラストコア。若干のメタル要素もあり。
The Phonochromes(Hardrock/Pysche Garage)
60’sハードロックやサイケガレージを思わすが現代風ポップ感も。
YLEISET SYYT(Hardcore Punk)
スカンジハードコア。ノイジーではなくMOB47/PROTES BENGTタイプ。
LEFT COLD(Hardcore)
この中では最もForeseenに近いNYHCシーンと共鳴するサウンド。ややクロスオーバー。
と様々なジャンル(主にメタル、ハードロックとハードコアを中心に)のメンバーがクロスオーバーして出来上がったバンドであり、Mirko Nummelin氏が中心となっていると考えられます。Foreseenはこの中でもトップクオリティの楽曲ですね!
そもそもCROSSOVER THRASHてなんなの?って話ですが、THRASH METALとHARDCORE PUNKをミックスしたサウンドで、HARDCORE PUNKの曲やリズム、ボーカルスタイルにTHRASH METAL特有のギターリフが乗るスタイルとされ、その先祖はハードコアサイドとしてはD.R.Iの「DEALING WITH IT」(※⑦)メタルサイドとしてはS.O.D.の「SPEAK ENGLISH OR DIE」(※⑧)と一般的にされています。(ここは深堀すると長くなるのでまたいつか…)
そう考えるとFORESEENはメタルの人間とハードコアの人間がしっかり混ざりあって生み出したCROSSOVER THRASHの真骨頂であるからして、様々なジャンルのリスナーから注目されているのだと考えられます。
①Ranger – Speed & Violence (2016 FULL ALBUM)
日本でもヘッドバンガーに人気のスピードメタルバンド。FORESEENが最初に日本で注目されたのはこのメンバーがいたと事でメタルサイドから話題になった。
※②Agnostic Front – Cause For Alarm (Full Album)
NYHCゴッド。このアルバムで大胆にスラッシュメタル化し、賛否両論。良くも悪くもその後NYHCのメタル化を促進したが、クロスオーバーとしては大名盤。
※③Cro-Mags – The Age Of Quarrel 1986 (Full Album)
宗教や内部紛争等、問題の尽きないバンドではあるが、そのサウンドは唯一無二。BAD BRAINSへの愛情を激化させ、メタリックなギター、腰がうねるグルービーなリズムはそれまでの単純明快なNYの【ハードコアパンク】をAGNOSTIC FRONTと共に【ハードコア】として定義を作ったクロスオーバー大名盤。
④Negative Approach – Tied Down 1983 [Full Album]
まるで鈍器で殴られるかのような殺傷能力の高い怒号ボーカルが軽快なハードコアパンクに乗ったこのサウンドを初めて聞いた時はたまげました。全てのアングリーなハードコアは源流を辿れば彼らにたどり着く!
※⑤Power Trip – Nightmare Logic [Full album]
FORESEENのGRAVE DANGERと同年に発売されたこちらはこれまでの彼らのイメージを覆す快作。ボーカル、リフ、リズム、どれをとってもシンプルで無駄のないスラッシュサウンド、使い古された曲調もこのメンバーでやると新しい何かに変わる。耳が肥えた若者達の体を躍らせ、シーンをリードするバンドとなった。来日公演を競演させて頂きましたが、すばらしいステージングでした。
⑥RED DEATH “Permanent Exile” LP – Full Album
モダンクロスオーバーでも頭ひとつ抜けてる彼ら。かなりのハードコアマニアックスでこのLPではNYHCを主体に、ATTITUDE ADJUSTMENT等のオールドクロスオーバーからDISCHARGE、そして日本のレジェンドBASTARDにまで影響を受けており、私もかなり聴いた作品。新作は大手CENTURY MEDIAからリリース。更にメタル成分を上げ、POWERTRIP以降の同ジャンルのメジャー化へ進む。少し寂しい(笑)
※⑦D.R.I. – Dealing With It! [1985 – Full Album]
それまでもメタリックなハードコアは存在したが、クロスオーバーという視点では原点。速いとこ異常なまでに速く、モッシュパートではガッツり落し、短いながらも緩急ある展開は後のファストコアやパワーバイオレンスにも大きな影響を与えた。今、このテンションでもし再録とかされ、完璧な音質でやられたら現行クロスオーバーが束になっても敵わない。本人達も超えられない一枚。
※⑧S.O.D. – Speak English Or Die (Full Album)
ANTHRAXのメンバーと元メンバーを主体にNYHC、The PsychosのBilly Millano氏をボーカルに迎えた、クロスオーバープロジェクト。問題発言も多く、ハードコアサイドからの批判も多かったらしい。事実私が聞いても凄くメタルよりな印象ではありますが、このジャンルのムーブメントを作り可能性を世界中に広げた重要作。