激情・カオティックハードコアの日本の『今』をパッケージングした V.A.「TILL YOUR DEATH vol.3」

TILL YOUR DEATH vol.3

2016年11月9日リリース
V.A.「TILL YOUR DEATH vol.3」
税込み1200円

1.ANCHOR「物語」
2.CYBERNE「Thrash -独裁-」
3.Dead Pudding「Untended」
4.kallaqri「水仙」
5.NoLA「You’re Useless」
6.REDSHEER「Reality To Disappear In The Letter Of Unnatural Fog/DistortionsContortions」
7.URBAN PREDATOR「THE NORMAL」
8.weepray「カルマ」
9.wombscape「枯れた蔦の這う頃に」
10.明日の叙景「花装束」
11.冬蟲夏草「催奇性と道化」

text by Yoshinobu Yada, Bannai

LIVEAGEがローンチしてから2ヶ月が過ぎた。認知が広まったことで、時々、ありがたいことにDISCレビューの依頼をいただくようになった。全てに応えることはできないので、このメディアの方向性と合っているものを紹介させてもらいつつ、制作者にも原稿をかいてもらうようにお願いしている。聴く者と制作した者2つの原稿が読めれば、作品に対しての理解も深まると考えているからだ。

今回は来週リリースされる激情、カオティックのコンピレーション「TILL YOUR DEATH vol.3」を紹介したい。
かなり自分目線の偏っている文章かもしれないが一読していただけるとありがたいです。

まずはLIVEAGE 編集Yのレビュー:

1996年に私は上京した。そのタイミングで「emo」という言葉を頻繁に耳にするようになった。
調べるとどうやら日本で「emo」という言葉が使われはじめたのは1993年頃ではないかと思う。SLIME FISHERのインタビューで「emo core」という言葉が使われているのを確認している。(アメリカでは1987年頃のイアン・マッカイのEmbraceがこう呼ばれていた)
また、1996年に私はBLIND JUSTICEから変名したばかりのENVYをよく観にいくようになった。そこでも普通のハードコアとちがう「emo core」という言葉をよく聴いた。バンド名がENVYになりたての頃、ENVYは今までのNew York HARDCOREスタイルのサウンドにエモーショナルなHARDCOREをMIXしている最中で、非常に素晴らしい作品を多くリリースしている。特に1stアルバムの「breathing and dying in this place」。今でも大好きな作品だ。タフなNew York HARDCOREスタイルにemoが絶妙にブレンドされた名盤である。
そして、時は来た。ENVYの2ndアルバム「From Here To Eternity」がリリースされた。New York HARDCOREスタイルに完全に別れを告げた作品だ。そのタイミングで「激情ハードコア」という言葉が一気に日本に浸透したように感じる。
国内ではENVY, NINE DAYS WONDER, KULARA, There is a light that never goes outの4バンドがDIYシーンを確立し、新宿LOFTで開かれたENVYの企画”LAST WISH”にはこの4バンドが出演し、600名以上の観客が押し寄せた。
ENVYは叙情的なメロディーを得意とする点から「激情」と言われていた。それ以外のNINE DAYS WONDER, KULARA, There is a light that never goes outの3バンドはカオティックと呼ばれていたように記憶している。

このLAST WISHまでにも多くの激情、カオティックバンドが日本にはいたが、この4バンドは演奏力、哲学の点で抜きんでいた。そしてこういった過激な音楽でも多くのオーディエンスを集められることを証明した一夜となった。

この日を堺にENVYはより大きな舞台でLIVE活動していくこととなる。時は2001年である。

付け加えておくとNukey Pikesの後期のアルバムはすでに十分にカオティックなHARDCOREであった。しかし、上記の4バンドより少し年上であった為、上記のムーブメントととは少し時間的距離がある。Nukey Pikesは新しいUS HARDCOREが日本で展開されたネオハードコアテイル(Nukey Pikes, BEYONDS, GOD’S GUTSなど)のバンドと言われてた。

話を戻すとENVYが1998年に「From Here To Eternity」を発売してから、東京を中心に全国的に「激情ハードコア」のバンドが増えてきた。新しいハードコアの誕生である。アメリカ、ヨーロッパの激情バンドとのタイムラグも短くなり、どんどん新しいサウンドが生まれていった。…そして18年が経ち今回のコンピレーション「TILL YOUR DEATH vol.3」が発売される。
上記4バンドが撒いた種が全国で発芽し、各々の土地で独自の進化を遂げたのである。(俺達は影響されていない!というバンドも中にはいると思うが)

このコンピに収録されているANCHORやATMICFIRE BALL(現REDSHEER)などは1998年には活動していたと思う。
そういったバンドがまだ第一線で音を更新し続けていることに感動する。
また、青森のkallaqriなど新世代のバンドであるとおもうが、青森という土地でこのクオリティのサウンドを確立した事は驚きである。
そして、全バンドに言えることだが、音質、テクニック的なクオリティはもはや極限まで高められている。90年代のバンドとは比べようがないくらいテクニカルであり、音質はクリアである。
今の「激情」「カオティック」がこのV.A.「TILL YOUR DEATH vol.3」には渦巻いている。
各地で独自に進化した音達が共鳴しあい、交配しあい、また新たなサウンドの未来を作り出していくのであろう。

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