――わかりました。で、アルバム“WAR INSIDE YOU”、聴いたときにこれはすごいなと思いました。ドゥームやストーナーだったり、プログレだったり、サイケだったり、エモだったり、オルタナだったり、色んな要素が入っているけど、どれもズバリではなくて、形容しがたいサウンドですよね。
George:2人組で、しかも8弦を使ってるから、みんなはテクニカルなものを期待しただろうけど(苦笑)。俺はエレクトリックギターのリフの持つマジックを信じてるし、たった数音の、シンプルでキラーなリフで血が沸騰するような感覚が大好きで。だから自分に正直にやった結果、バックグラウンドが素直に出たアルバムだと思う。ヘヴィなリフのなかに、エモくてメロディックなところがどうしても隠し切れなくて、そこにやれもしないDjentっぽいリズム遊びが顔を出して…全部やり切れていない、妙な立ち位置だと思う(笑)。単純に技量の乏しさなんだけど、俺自身がそうやっていろんなものを通って、極めている人を知っているからこそ、その人たちをリスペクトしつつ、自分らしさを見つけていきたいなと。
――個人的には、聴いたときにTOOLを思い出したんですよ。ヘヴィでキャッチーなリフと気持ちいいグルーヴ感があって、どんどん展開していくから、BPMに関係なく体感速度がある。すごく素直にのめり込めるんだけど、分析するとリズムにしろギターにしろ、一筋縄ではいかないところがたくさんあるというか。
George:恐れ多いけど嬉しい意見で、ありがたいです。俺自身、TOOL信者というわけではないけど、間違いなくすごいバンドだよね。ものすごくヘヴィだけどメタルメタルしてないし、4人とも素晴らしいプレイヤーでありながらテクニックを前面に押し出していない、あのバランス感覚はすごく好き。
――そこに、例えば後期のENGINE DOWNのようなエモいというか、切ないアルペジオやコードの響きがあって。ヘヴィだけど、同時にすごく繊細ですよね。もしかしたら、そういった繊細なパートのほうが肝なのかと思ったり。
George:たしかに、そういうストラクチャーが多いかも。どちらかを際立たせる相互作用というか、バランスかな。Dairoku君にも「やっぱり、Georgeはどこまでも極悪にはなれないね」って、よく言われるし(笑)。振り切るかバランスを取るかどちらかだと思うんだけど、自分は良くも悪くもなかなか振り切れないね。
――でもそのバランスの取りかたは、元々パンクやハードコア、エモのシーン出身で、そこからTURTLE ISLANDでボーダーレスに活動して、かつ通訳としてジャンルも国も関係なくたくさんの人たちに触れてきた、Georgeさんならではのものではないですか?
George:そう言ってもらえると嬉しいです。ただ言葉にうまくできないけど、音楽的にもライヴでも、どこかヒリヒリした部分は持っていたいね。すべてをOKで認めるっていうのも、今の世の中では大事なことかもしれないし、それでうまくやっていく人もいるんだろうけど、自分は緊張感のあるパフォーマンスを続けていきたいと常に思っています。