「いい加減、自分で頭を張らなきゃって思った」――George BodmanがSTORM OF VOID、そして自らのわがままと責任を語るインタビュー!

STORM OF VOID

――STORM OF VOIDが始まったのは2013年ですよね。僕もその年の初頭に、Georgeさんから「新しいバンドで8弦ギターを弾くことになったんだ」と教えてもらったのを覚えています。当時はPERIPHERYとかがけっこう売れて、MESHUGGAHの流れで多弦ギターを使う、いわゆるDjentが流行していた頃でした。そんななかでSTORM OF VOIDの初EPを聴いたときは衝撃的でしたよ。FC FiVEやenvyのメンバーといっしょに、こんなヘヴィだけど新しいアプローチでやるのかって。

George:たしかにあの時期、8弦といえばMESHUGGAHって感じだったよね。もちろん彼らのことは以前から聴いていて衝撃的だったし、この方法論は真似できないものの、すごくいいなと思っていた。8弦は、サポートしてくれているESPの人が、普通の6弦ギターといっしょに「もう1本、スペアのギターを選んでいいよ」って言ってくれて。それで壁にずらっと並んだギターを見たら、HORIZONっていうシリーズの、DEFTONESのシグネチャーの8弦があってさ。実は全然DEFTONESに興味はなかったんだけど、HORIZONといえばHELMETのペイジ・ハミルトンが使っていたシリーズっていうイメージで、それは弾いてみたいし、8弦ならなおさら面白いだろうなと思って選んだ。実際はスペアの役目は果たさないし、死ぬほど弾きずらかったんだけど(笑)、ヘヴィな音を出すツールとしてはすごいなと思ったね。

――じゃあ、自分から8弦を手に入れにいったというよりも、本当にたまたま手に取る機会があったからというか。

George:その8弦よりも先に、昔から憧れていたSUNNのアンプを集め始めていたのね。昔からMELVINSのバズ・オズボーンのギターリフとトーンが大好きなんだけど、彼と同じモデルのアンプを見つけて、これは欲しいと。それで集めたSUNNのアンプと8弦を組み合わせて鳴らしてみたら「おぉ~…」みたいな(笑)。ぶっちゃけ、SUNNって独特のクセがあって、決して使いやすくないし、いわゆるいい音のするアンプではないのね。普通にロックバンドをやりたいなら、絶対に手を出しちゃいけない(笑)。で、いざTURTLE ISLANDのスタジオに持って行ったら、音がヘヴィすぎてダメって使用NGが出ちゃって。

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――せっかくすごい組み合わせの機材を手に入れたのに、使いどころがなかったと(笑)。

George:それでどうしようかなと思っていたら、Dairoku君もついにLED ZEPPELINのジョン・ボーナムと同じドラムセットを手に入れたんだけど、やっぱり音がでかすぎてenvyでは使えなかったっていう話を聞いて。二人ともZEPPELINは大好きだし、20年くらい前から「いっしょに何かやりたいね」ってずっと話していたから、お互いの機材を持ち寄って、スタジオで鳴らしてみたのが始まりだね。

――話を聞いていると、すごく初期衝動ですよね。欲しかった機材が手に入ったから、でかい音で鳴らしたい!とか(笑)。

George:たぶん、やっとそれができる年齢になったんだよね。最近のご時勢とか、家族のことも考えてなんだろうけど、やっぱりやりたいことやったもん勝ちだし、残りの人生で自分のわがままをどこまでも実現していこうと考えるようになって。以前やっていたバンドでは俺はサポート的な役割だったし、TURTLE ISLANDでは船長の決めた方向に、みんなでアイディアを出し合いながら向かっていく、大海賊みたいな感じがすごく楽しかった。でもSTORM OF VOIDは責任というか、いい加減自分で頭を張らなきゃって思ったのね。

――GeorgeさんとDairokuさんの二人でスタートしたところに、FC FiVEが解散したTokuさんが加入して活動してきたものの、アルバムのレコーディングの際にTokuさんが抜けて、また二人編成に戻りましたね。なぜTokuさんは抜けることになったんですか?

George:これに関しては俺ばかりが発言の場が与えられてしまっていて、彼に対してフェアじゃないから、割愛させてもらおうかな。ただケンカ別れではないし、俺のわがままを彼が飲んでくれたとだけ。もちろん大好きな友だちだし、これからも仲間の1人であることに変わりはないです。

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