残酷なまでに無垢な美しき真夜中の音楽、しののめメンバー全員ロングインタビュー!

・そもそもしののめの音楽に楽しい要素が全くないので。しののめはやはり真夜中の真っ暗な部屋の片隅で体育座りで聴くのが礼儀だと思ったりします。

久間:ロウライトが完成した当時は宇都宮に住んでて、丁度寒くなり始めた頃だったので、取り敢えず窓開けて正座して聴きましたね。そして「これだ!」ってなりました。

・しののめの持つ暗さって日常生活や人生の中で失ってしまった物に対する後悔というか…どうしても拭いきれない物悲しさや喪失感を歌ってるバンドだと思います。
しののめって僕の中で感情なり景色なり時間なりを想起させる音ってのがありまして、だからこそしののめをジャンルで括りたくないですね。

眞保:ジャンルなんて手段でしかないですから。シューゲイザーっぽい音作りとかは多いですが、それはあくまで曲の表現方法として使ってるだけで、僕はたまたまギターが弾けるからギターを弾いてるだけですし、たまたま僕の表現方法が音楽だっただけです。
パンクバンドだから奇抜な格好をして過激なことを言うってのは僕にとっては手段であって目的ではないですね。

・パンクバンドだからって全ての曲でポリティカルなメッセージを放たないとダメとかってルールは僕もないと思います。

眞保:音楽はあくまで表現の手段と考えてるので、そこが他のバンドとのノリの違いかなって思います。

・眞保さんが具体的に表現したいものとは何でしょうか?

眞保:色味だったりとか、冬の寒さだったりとか、内向的なところだと自分が思ってる事とか、そうしたものをどうやって音楽に昇華してこうかってところを考えてやってますかね。

・「楽園」という曲の歌詞に「生きる事は素晴らしくない」ってあるじゃないですか?あの曲を初めて聴いた時に「本当はそんな風に思いたくない!」って足掻いてるように思いました。

眞保:本当はかなり期待してるのかもしれないですね。人生そのものが絶望的だと感じてるので「救いはないものか?」という気持ちはすごくありますね。
何の考えもなく肯定されてるのに違和感を覚えたりとかあって、「自殺ダメゼッタイ!」とか「生きていれば良いことあるから生きましょう。」とか何の根拠もなく言ってる事が、みんなそれを何の疑いもなく受け入れてるのが本当に怖くて、だから触れちゃいけない部分を暴くというか…そういうノリはあるかもしれません。
音楽というかロックというかそうしたものがポップスとなんら変わらなくなっちゃったって感じもありますね。

・それこそ作為的なものが増えてしまったのかなって。

眞保:大量に売らないと回らなくなったんでしょうね。だからわかりやすくて作為的で消費されるものが増えてる傾向があると思います。

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