残酷なまでに無垢な美しき真夜中の音楽、しののめメンバー全員ロングインタビュー!

・「呼吸」もCDとMVでアレンジ変わってますね。

眞保:CDの方は僕一人でのアレンジでしたが、そっちはバンドアレンジでやってみたらどうかなと思ってアレンジを変えましたね。

・今日初めてライヴを観て、やっぱり音源よりもバンド感が出ていると思いました。
ある種の生々しさや無作為さを強く感じましたね。

眞保:我々は器用なタイプではないので。

・僕がそもそもジャンルって括りが好きな人間では無いのですが、しののめはシューゲイザーやギターロックって括りで語られたりもすると思うんですよ。
でもそれは触りでしかなくて、寧ろしののめの音楽は一つのスタンダードですらあると思ってます。純粋に良いメロディと良い歌と刺さる言葉で成立してる音楽だなって。それと同時に本質的な意味でオルタナティブであると感じます。
鬱ロックだとかいうくだらないカテゴライズだったりとか、わかりやすいセンセーショナルな言葉だったりとか、そうした作為的なSNS映え狙いみたいな打算がしののめには無いのが本当に好きなんですよね。

眞保:そうした計算はないですね。少しはなきゃ
駄目じゃないかって話はしたりしますが。結局そんな計算は必要ないからやらないだけですね。

・僕はそうした打算で作られた音楽が溢れている現代に対して、しののめは「本当はそうじゃないだろ!」って暴いてる気もします。

眞保:音楽って本来は芸術的なものだと思ってるんですが、そうした芸術的な音楽が相当減っているように感じてます。

・音楽って芸術の中でも一番人に伝わりやすいものでもあると思うんですよね。
感情や思想を音と言葉でダイナミックに表現出来るのが僕の中の音楽なので。

眞保:表現の手段として音楽をやっているだけなので、必要のないものは削ぎ落とされているのかなって。

・しののめは核がしっかり見えるからこそ、響く人には本当に響く音楽をやっていると思います。

眞保:そうであり続けたいですね。

・久間さんはしののめのオリジナルメンバーですが、久間さんから見たしののめってどういうバンドなのでしょうか?

久間:「みんなおいでよー!」って感じではないけど、「ロウライト」に関しては辛い気持ちの夜とかに優しくはないけど朝まで付き合ってくれるアルバムみたいな感じなので、バンドも基本的にそんな感じですね。優しくはしないけど突き放しもしないみたいな。

・駆け込み寺みたいな。

久間:「大丈夫だよ!元気出してよ!」みたいな感じじゃないけど、朝まで一緒にいてくれるみたいな感じはしてます。

・真夜中に聴くと本当に映えるバンドですよね。

久間:そんなバンドだと思っています。別に昼間っぽいバンドではないので。陽が出てない時に聴くバンドって感じはあります。

・「しののめ」ってバンド名もそれを表してますよね。

久間:最初に曲を作った時から夜っぽい曲が多かったので。

眞保:夜っぽいバンド名にしたいなって感じで決まったよね。

久間:それで大体バンド名は略されるから四文字くらいでって感じでバンド名は決まりました。

眞保:エゴサが異常に難しいバンド名。

・真下さんの加入はアルバムレコーディング後ですよね。

久間:一年がかりでアルバムどうにか完成させたんですけど、アルバム用のアートワークの写真の撮影でまた時間がかかって、そんな時に加入しました。

眞保:色々ギリギリになってしまったんで大変でしたね。真下さんから見るしののめはどんなバンドですか?

真下:良いなって思うところは想像の余地があるところですね。
歌詞とかはちゃんと具体的な言葉で書かれてはいるんですけど、曲からイメージが浮かぶ様な曲が多くて。
元々、私と久間ちゃんが美大の先輩後輩の関係なんですけど、私は絵を描くのが好きなんですが、音楽以上のものをくれると言うか、インスピレーションが膨らんで良いなって。二人の歌声も大好きだし。
私はこういう暗いバンドをやるって思ってなかったんですけど、今はやるって決めて良かったですね。

眞保:真下さんが加入して最初のスタジオは衝撃だったらしいです。

真下:最初に眞保君に呼ばれてスタジオに行ったんですけど、何曲か曲をコピーして合わせるってなって、その時は久間ちゃんは体調が悪くてあんまり歌えなくて、眞保君はギター弾いて歌い始めるけど全然やる気がないんですよ。
そんな雰囲気だったので「この異様な雰囲気はなんだろう?」ってなって、眞保君に聞いたら「あんまりカバーやる気でないんですよね…」って。そして凄く辛い空気が流れてましたね。
私は高校生の時からドラムをやってるんですけど、バンドってもっと楽しいものだって感覚だったんですよね。だから「バンドって楽しい…よね?」ってのを投げ掛けるところから始まった感じです。そしたら二人は「楽しいって何だっけ?」みたいになって。

眞保:真下さんが加入する前はピリピリしてたので。

久間:当時はお腹が痛くなって携帯見たら眞保君から連絡が来てるとかあって、それを予知してお腹が痛くなる感じでした。

眞保:スタジオの時、全く私語無かったよね。

久間:みんな下を向いてお酒を飲むだけみたいな。それで曲合わせてピリピリした空気が流れてまたお酒に逃げるみたいな。
そんなのを数年やっていたので、真下さんに問いかけられた時に楽しいの概念の振り返りから始まりました。でも今は楽しいですね。

眞保:最近はスタジオでの私語が多すぎるかなって。でも最近は明るい…のかな?

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