この歳になって思うのは、好きでやっている数少ないうちのひとつのことだから、ストレスなくやりたい・やっていたいということ。純粋に、自分のやりたい音楽を自分たちの手で自分たちのバンドで鳴らすということにストレスを与えずにやっていく方法はなんなのかということを考えての今。
まぁ、そういうバンドだから、メジャーにしても、インディにしても第三者の資本を投入するに値しないバンドであると理解しているし、現状の自分たちのスタンスは変えられない、無い袖振れないでしょ、という悟りの境地にすらある。よって、フリーな立場である。ねるとんでひたすらケータリング食ってる的立場。
来年には、バンドとしての2ndアルバム音源を作ろうという話にもなっている。この話はかれこれ3,4年している。もはや、出す出す詐欺的。現に出されていない俺たちの2nd。セカンドヴァージン。
これが、メジャーでもインディでも、管理されていれば、リリースに向けてのスケジュールも組み敷かれ、リリース後のツアースケジュールも作られ、それをこなすためにメンバーそれぞれの生活に無理を強いなければならないのだろう。とすると、バンド活動そのものがストレスになってくるわけで、そのストレスが一定の線を超えてしまえば、メンバー脱退や解散という結果になるのかもしれない。
俺は、それは望まない。今は、そういうの望まないlikeタマ舐めなくてもいいから的。
逆に、そういう、リリースやツアーを定期的に行っているバンドのことを単純にスゲェなぁとも思うし、そうしていたバンドがそのペースを緩めたからといって、やる気ねぇなぁとも思わない。むしろ、なんかそうしなきゃいけない理由があんじゃないの、無理せずやればいいんじゃね、と思ってあげたい。
ライブに頻繁に行けていたお客さんも、歳を取れば、やがて家庭を持ったり、仕事を持ったりして自身の時間を昔ほどライブに行くことに割けなくなるだろう。時間的余裕だけではなく、単純にライブ見に行くよりももっと楽しい物事を見つけて、そこに時間を費やすようになるかもしれないだろう。それを全て価値観というのだと俺は思うし、それをいちいち否定・議論する必要もないと思っている。
長い事バンドをやっていれば、お客さんの顔ぶれが変わっていることにも当然気づく。最近、あの彼・彼女よく来てくれるよね、とか、最近、昔はよく来ていた彼・彼女はめっきり来なくなってしまったなぁ、とか。そう思っているときに、そのめっきり来なくなった人が来てくれたりすると嬉しい。
大体が「いやぁ、なかなか最近忙しくて来れなかったけど、久しぶりに見たMIRROR、やっぱ良かったです、楽しかったです、なかなか頻繁には来れないけど、また行きます」なんてことを言われると、俺は決まってこう返す。
「まぁ、うちらもこんな感じで細々(ホソボソ)とやっててアレだけど、ちょこちょことはやってるから、無理せず、来れそうなときは遊びに来てよ、来るときは気軽に連絡ちょうだい、お互い色々大変だろうけど、まぁ、頑張ってというか、踏ん張ってこう、よろしく」と。
お互いにお互いの事情があって、そのお互いの価値観で成り立ってる場所・時間。
そんなスタンスでやっているバンドの音に興味は無いと言われればそれまでですが。
そんなスタンスでやっている我々にも、声をかけて誘ってくれる若いバンドもいてくれて大変ありがたく思う。十数年前の自分がそうであったように、バンド!バンド!バンド!というようなギラつき具合が眩しくもあり、羨ましくもあり、そういう若さ溢れる連中と触れ合える機会を大事にしたいと個人的には思っている。エネルギッシュで年齢もひと回り以上離れている若者の前で、上記のようなアレコレを抱えながら今日に至っている我々が音を放つこと、とても刺激的である。そして、おじさんの灰汁とも言える汗・汁を併せて放つ。とても刺激的である。そんな若者達も数年後には我々が歩んできた苦悩を迎える局面に立つかもしれない。
やめなくてもいい音楽。
音楽、やめなくてもいいし、やめてもいいし。
そういう風に、拡大解釈してみたら、また少しは何かが違うのかなぁと思ったGotch氏のblog。
バンド解散理由やメンバー脱退理由に興味津々になる風潮よりも、バンド結成秘話に興味・関心を持たれる機会が多いほうが健全だと思う。
みんな、等しく歳を重ねていくわけで、それはバンド側もお客さんも。
俺も頭禿げ散らかしてるし、スリーサイズ105センチだし、膝関節も痛いし、自分の作ったフレーズも飛んじゃうこともあるし、この文章を書いている今、猛烈に腰が痛い。
とりあえず、来年こそはアルバム音源リリースするぞ、ということを書き記し、今年最後のコラム(風)を〆たいと思います。