――Lo!のサウンドはカオティックなハードコアですが、目を大きく見開いたサムの、何かにとり憑かれたかのようなパフォーマンスも印象的です。個人的にはKILLING JOKEのジャズ・コールマン(vo)なんかを思い出したりもしたんですが、そういったニューウェイヴやゴス、インダストリアルなんかからも影響されてるんでしょうか?
サム「まさにその通りだよ。ガイコツが出てくるようなダークな世界観には、かなり影響を受けてきた。君が指摘したKILLING JOKEをはじめ、NINE INCH NAILSやMARILYN MANSON、SKINNY PUPPYなんかの、シアトリカルなパフォーマンスを取り入れたゴス・ロックだね。ほかにもMINISTRY、FEAR FACTORY、PANTERA、IMMORTAL、CRADLE OF FILTHみたいなヘヴィなバンドも大好きだ。しっかりとしたコンセプトを持ちつつ、パワフルなグルーヴがあるものに惹かれるよ。ヘヴィであることはもちろん、脳裏に刻み込まれるようなグルーヴのある音楽は、聴いたり観たりした後でも、ずっと頭から離れないだろ? 俺たちも、そういった強烈な印象を残す音楽やライヴを常に意識している。時間とお金を使ってライヴを観に来てくれるオーディエンスを、手ぶらで帰らせるわけにはいかないからね。音楽に自分のすべてを賭けること、常に100%の力を出し切ることを徹底しているんだ」
――2013年にオランダでRoad Burn Festivalに、2017年にはドイツでEuroblast Festivalに出演したそうですね。いわゆるドゥームメタルやストーナー・ロックが多数出演する前者はわかりますが、テクニカルでモダンなプログレッシヴ・メタルが中心の後者はかなり意外です。自分たちのホームの外側にアプローチしてファンを増やすというのは、意識していることなんでしょうか?
カール「自分たちと同じシーンにいて、通じ合える部分のあるバンドといっしょにやるのも、もちろん楽しいよ。とはいえ、そのシーンから外に出て挑戦していくのも大切だし、同じように楽しいんだ。そこまで“新しいファンを獲得するぞ!”って意気込んでいるわけじゃないけどね。ただぶっちゃけると、Euroblastの出演に関しては、たまたまでさ(笑)。去年のヨーロッパ・ツアーの初日にブッキングされたんだ。でも普段とは違う毛色のフェスだし“よし、やってやろうぜ”って感じだった。実際、普段とは会場の空気もかなり違ったけど、そのときに俺たちのことを初めて観た人が“なんだ、このバンド?”って驚いてくれるだけでも、大きな価値があるんだ」
サム「そう、そのときに観てくれた人に何かしらのインパクトを与えることができれば、将来的にファンになってくれる可能性は充分にあるからね」
――そのツアーが、昨年のアルバム『VESTIGIAL』だったんですね。
「というか、ツアーの日程が先に決まっていたんだよね。それでせめて何かしらレコーディングは終わらせておかなきゃ、と思って作業していたんだけど、実際にはツアーの3日前にはアルバムとしてリリースできるくらい早く完成したんだ(笑)。それでツアーに出たんだけど、なにせリリースから3日しか経ってないだろ? ライヴに来てくれたファンも、まだアルバムを全然聴きこめていなかったんだ。そういったわけで、結果的にリリースツアーという形になったけど、その状況は少し不本意だった。だから今度のツアーでは、みんながちゃんとアルバムを理解したうえでライヴを観てもらえるはずだし、もっといい結果を期待しているよ」