――普段からRyujiさんと話していると、自分より後の世代の音楽の話題も頻繁に出てきますよね。「KILLSWITCH ENGAGEはジェシー(vo)派だ!」みたいな(笑)。新しいものに敏感とか、意識的に新しいものをチェックするようにしているところはありますか?
Ryuji:自分の周りで誰も聴いていなくて、でもかっこいいバンドを探し出すのが好きだったな。色々なレコード屋に知り合いがいて、新しいものを探せる環境だったのも大きいと思う。それと、この年齢になっても、今の時代に流行っている音楽も一応耳にするようにはしている。聴きもせず、昔の感覚だけでしゃべっていてもかっこ悪いしさ。だったら今の音楽もわかったうえで、自分の好きになれるバンドを探して判断するっていう感じかな。
――新しいものや、未知のもののなかから好きになれるものを探していく感覚は、BBの自主企画のNoise Slaughterにも生かされているんでしょうか?
Ryuji:例えば日本ではアンダーグラウンドと言われる音楽でも、アメリカやヨーロッパではけっこう知られていて、それで飯を食っているバンドマンだっているわけじゃん?そういう音楽を、ただ興味ないから、知らないからアンダーグラウンドって言葉で片づけてほしくないっていう気持ちがある。Noise Slaughterは、そういう音楽を少しでも広げるきっかけを作れればいいなと思うのね。若手のバンドでも、俺にはない新しい感覚を持っていて、おもしろいと思ったら応援してやりたいし。それに、周りのバンドマンが「これはRyujiさん好きだと思いますよって情報をくれたりするから、気になって、タイミングが合えばライヴを観て、Noise Slaughterに誘うこともある。
――BBは2010年にスタートしたそうですが、これは今の四人が集まって、本格的に動き出した年ということでしょうか?
Ryuji:そうだね。その数年前から俺とSakamoto/gは他の連中とスタジオに入って、曲作りはしていて。お互いインダストリアルとか、THE JESUS LIZARDみたいなオルタナも大好きで、そういう音楽の話で盛り上がっていたのよ。それで遊びでいっしょにやってみるかってなった。
――そこにマイナーリーグのリズム隊が加わったのは、どんな経緯で?
Ryuji:Masaya(Komamura/B)は、たまたま会ったときに「ピック弾きのベーシストで、いい奴がいたら紹介してくれ」って話したら、次の日くらいに「興味があるんで自分にやらせてください」って連絡が来て、それで参加した。その頃いた別のドラマーがちょっとBBの曲についていけないから抜けることになって、じゃあ新しいやつを探そうということになったときに、Masayaから「Yoichi(Hirono)が叩きたいって言っていますよ」って話が出てきた。俺はもともとDESSERTのころからマイナーリーグとはつながりがあったから、Yoichiのいいところも悪いところもある程度はわかっていたつもりだからね。あいつは変拍子はほとんどやったことなかったけど、慣れさせてYoichiのいいところをうまく引き出せれば、BBの曲にもよりドライブ感が加わるんじゃないかなって思った。この4人が揃ったのが2010年かな。
――BBを本格的に始めるにあたって、Ryujiさんのなかで「こんなバンドにしたい」とか「こういうことをやりたい」っていう構想みたいなものはあったんでしょうか?
Ryuji:俺の中で、例えばこんなバンド、音が好きだからこうなりたいっていう、大元になっているものがないんだよね。とりあえず自分でフレーズを作って、それが「〇〇ぽい」って思っちゃったら、その時点でボツにする。もちろん世の中にこれだけの曲があるんだから、似たようなフレーズなんてものは多々あるとは思うけどね。
――Ryujiさんが作ったフレーズを、メンバーの意見も取り入れながら発展させていくかたちですか?
Ryuji:メンバーには、曲作りのなかで「あんまり面白くない」とか「しっくりこない」とかあったら、遠慮なく言ってくれと伝えている。疑問の残るフレーズを完成させても意味がないし、その時間ももったいないから、新しく作っていったほうがいいだろうしね。逆にメンバーが考えたことに対して、俺から変えてもらうこともある。スタジオでは俺は第三者としても聴いている立場だから。あとは曲を作っているのが自分だから、ある程度頭の中で世界観が固まっている部分も大きいんだろうけど。そこに近づけるなり、メンバーの意見でさらに膨らむときもあるよ。どの曲に関しても、ヴォーカルが一番気持ちよく歌えるものがベストじゃないかな?ことを他メンバーの共通認識としてあるみたいだから俺としては助かるね(笑)。曲が完成してライヴで演奏していても、俺がちょっとでもノリがいまいちだなと感じだしたらライヴでやらなくなるし。あとは時間がたってからボツにした曲から生かしたいフレーズを抜き出して、新しく作り直すこともある。今回アルバムに入っている“Greed”なんかは2014、5年ころに数回やった曲を、別の曲に再構築したものだし。