22年の歳月を経て咲いた、愛の花。Swarrrmが新作“こわれはじめる”で示した、グラインドコアの到達点とは?

Swarrrm

――今回のアルバムを聴いて、過去最高に日本的というか、和の要素が強いことに驚かない人はいないと思います。ブラストビートをぶち込んだグラインドコアでありつつ、メロディは演歌や歌謡曲、四畳半フォーク的でもありますよね。そういった和の要素については、意識的に取り込んだものなのでしょうか?

Kapo:現時点で、僕がかっこいいと感じるフレーズを組み合わせて曲にしているだけです。僕としては和の要素を持つロックをかっこいいと感じることはあまりないですし、意識的には取り入れてません。ただもしそう感じられたとしたら、Tsukasa君の日本語の歌詞等から来るものなのではないかと思います。

Tsukasa:意識的にやっていたら、もっと分かりやすくできると思います(笑)。

――どの曲も混沌としていつつ、聴き所やフックが明確であり、簡潔で聴きやすい印象です。ディストーションを抑え、コードの響きを大切にしたギターや、がなりながらもメロディを歌い上げるヴォーカル等、激しくもデリケートなアプローチがかなり目立ちますし、喜怒哀楽が何層にも重なった、言葉にしにくい感情が表現されていると思いました。より多くの人に響く、開かれた楽曲を作ることは、頭にあったのではないでしょうか?

Kapo:さっきも行ったように、Swarrrmは第三者に向けてではなく、自分たちが楽しめるものを作る為にやっています。なので、自分がそういう曲を演奏したかったから、ですね。曲が完成した時点では、Tsukasa君が歌い上げるのか、初期のように喚き散らすのかはわからないので、完成形はレコーディングが終了するまで見えないんです。

――どこで読んだかは忘れてしまったのですが、過去のKapoさんのインタビューで「ブラストビートにこだわっている」という発言を見たことがあります。しかし今回は“血が叫ぶ”にはブラストビートが入っていませんね。

Kapo:“血が叫ぶ”にも、ブラストは入ってますよ(注:1:10~1:25あたり)。リハーサル時には後半にももうちょっと入ってたのですが 意図的なのか忘れたのか、減っています。どのアルバムでも、ああいったブラストの使い方をした曲は入っているし、僕らにしかできない使い方なのでは、とも思っています。

――なるほど…ブラストビートについては、恐らく僕が曲に対して持った第一印象のせいで気付かなかったのかもしれません。“血が叫ぶ”は、跳ねるようなリズムと清涼感さえあるメロディが目立っていて、アルバムのなかでも特に驚いた曲だったんです。Swarrrmが、もはやグラインドコアからも解放された…と言えるのではないかと思いましたし。

Kapo:僕らがよく使うキーワードに「Your rule is not my rule」というのがあるのですが、 これは「あなたの思うグラインドコアと、私のグラインドコアは違う」といったところです。“血が叫ぶ”も、自分としては充分にグラインドコアです。

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――さきほど曲作りについて「現時点で僕がかっこいいと感じるフレーズを組み合わせて曲にしてるだけ」と言っていましたが、そのときにKapoさんがハマっているものや、好きなものからの影響がハッキリ出ているのでしょうか?また、新しい音楽やバンドには積極的に触れてみるようにされていますか?

Kapo:極端に言えば、新しい音楽にしか興味がありません。音源を買うのも、新人バンドか、毎回変化を感じられるバンドの音源がほとんどです。ロックで言えば、新しい音楽というのは、新しい価値観、編集、ファッションかなと考えています。ただ、自分の音楽に反映はされていないと思います。自分がSwarrrmでやるべきなのは、フックのあるリフを隙のないアレンジで、うるさくワイルドに演奏することと思っています。

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