22年の歳月を経て咲いた、愛の花。Swarrrmが新作“こわれはじめる”で示した、グラインドコアの到達点とは?

Swarrrm

――ブラッケンドハードコアやネオクラストといった音楽を初めて聴いたとき、どう思いました?自分たちに近い感覚を感じたとか、こんな方法論があったのかと驚いたとか…。

Kapo:自分たちに近いと思いました。ただ最初にそれらのバンドを聴いたときに一番に感じたのが、メロディックハードコアの要素も少しあるということでした。そこが新しいなとも思いましたね。

――2016年に結成20周年を迎えただけでなく、2017年にはTsukasaさんの加入から11年となりました。改めてバンドの歴史の長さを感じますが、こういった年数的な節目というのは、多少なりとも楽曲の制作や活動への取り組みに影響を与えていますか?

Tsukasa:節目とか年数を考えて作ってはいないけど、メンバーの存在が大きいと思います。

――今回のインタビューにあたって、可能な限り過去の音源を聴き直してみたのですが、当初からあった独自性と先見性には驚かされるばかりでした。98年の時点で、今も掲げている「Chaos & Grind」という言葉をEPのタイトルにしています。Swarrrmはもちろんグラインドコアをやるという意識の元でスタートしたバンドだと思いますが、典型から外れ、混沌としたスタイルに進んだことには、どんな理由があったのでしょうか?

Kapo:Swarrrmは96年に結成したのですが、最初にスタジオに入った日から曲作りをしていました。その時点で変拍子を入れたり、リズムをずらしたりしていましたね。ただそれも作曲者である僕の音楽的嗜好であり、これといった理由はありません。最初にグラインドコアに興味持ったきっかけが、DISCORDANCE AXISでしたし。

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――Tsukasaさんのみ東京出身で、は、2001年までHellchildに在籍していましたよね。その後Atomic Fireballとして、Swarrrmとスプリットもリリースされています。当時すでにSwarrrmは異彩を放っていたかと思いますが、Tsukasaさんからは、Swarrrmはどんなバンドに写っていたんでしょうか?

Tsukasa:その頃から、他のバンドとは違う音だと思っていました。

――僕が初めて聴いたSwarrrmの作品は“偽救世主共”(2003年)だったのですが、無秩序なサウンドと化物のようなヴォーカルのインパクトが本当に強かったです。しかしTsukasaさんが加入して以降、苛烈かつ混沌していつつも、日本語と歌を生かした、より温かみと人間らしさが目立つサウンドになった印象です。この変化は以前からKapoさんやメンバーのなかに「進みたい方向性」としてあったのでしょうか?

Tsukasa:今までもずっと、何かをしてはいけないという制約も、コンセプトもありませんでした。自然とこうなりましたね。

Kapo:何も決めていないし、メンバー間で方向性等を話し合うこともありません。ベストを尽くしてきた結果です。

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