3度目の来日が迫るROLO TOMASSI!コロナ禍からの近況と6年ぶりの日本への意気込みを語る

9月に東京で一夜限りながら、3度目の来日を予定しているUKのマス/プログレッシヴ・ハードコアバンド、ROLO TOMASSI。もともと破天荒なマスコアとして登場しながらも、キャリアとともにブラックメタルやドリームポップほかの要素も取り入れることで、美麗かつ壮大、ドラマチックな作風に進化し続け、UKのシーンでも独自の立ち位置を確立している彼らが、小規模なライヴハウスで観られるまたとないチャンスとなっている。今回はここ数年日本で取り上げられる機会がほぼなかったということで、最新作である『WHERE MYTH BECOMES MEMORY』(2022年)はもちろん、バンドの近況等についてのインタビューを実施。バンドのマネージャー的な役割も担当しているジェイムズ・スペンス(key)が、ここ数年の活動を振り返りつつ、来日への意気込みを語ってくれた。

Interview by MOCHI

Translate by Hayato Imanishi(Realising Media)

――ROLO TOMASSIは2013年に残響祭で、2016年に今回と同じくRealising Mediaの企画で、過去2回日本に来ています。それぞれ、どんな思い出がありますか?
「僕たち全員、日本に行ったときのことはすごく楽しい思い出として記憶しているし、また行けるチャンスをもらえてすごく興奮しているよ。ライヴももちろんよかったけど、それ以外で特に印象に残っているのは、東京の街を歩き回ったことだね。僕たちの地元とは違う雰囲気だからユニークに感じたし、エネルギーに溢れていているなと思った」


――現時点での最新作『WHERE MYTH BECOMES MEMORY』は、2022年にリリースされました。当時はまだコロナウィルスのパンデミックにあるなかでの制作だったと思います。世界的にも異様な状況のなか、アルバムのレコーディングは大変だったのではないでしょうか?
「レコーディングの一連の流れで、いくつも通常とは違う課題に直面したのはたしかだね。エヴァ(・スペンス/vo)はアメリカに住んでいるんだけど、当時は国をまたいでの移動も簡単にはできなかったから、別々にレコーディングせざるを得なかったし。正直なところ、理想的な形での制作とは言えなかったと思う。でもいつもと違う条件のもとで取り組んだからこそ、結果的には音楽もまた一味違うものに仕上がったんじゃないかな。だからポジティブな結果になったと捉えているよ」


――加えて、2018年に加入したドラマーのアル・ポットと初のアルバム制作でもありました。先ほども触れたように、パンデミックという状況のなか、新しいメンバーとのアルバム制作ということで困難だったことや、少しでもスムーズに進めるために心がけたことがあれば教えてください。
「アルとは2018年からいっしょにライヴをやってきたから、お互いのスタイルや音楽性について、ちゃんと理解しておくことができた。これはまだラッキーなことだったと思う。加えて、アルバムではデモ音源をメンバー間で何度もシェアして、曲のプリプロダクションに多くの時間を費やすことにしたんだ。パンデミックのなかでは、一カ所に集まるのも物理的に難しかったからね。ようやくみんなで同じ部屋でリハーサルができるようになったときには、曲作りの本当に細かいところ以外はほぼ終わっていた。なので全員で実際に演奏するときには、ちゃんと良い感じの曲になっているのかを確認するだけで大丈夫だったんだ」


――『WHERE MYTH BECOMES MEMORY』は、『GRIEVANCES』(2015年)、『TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT』と続いた三部作の最終章にあたる作品だそうですね。しかも三部作というのは、バンドがもともと意図していなかったものだとも聞いています。
「僕たちはアルバムで、相反する要素とその二面性について幅広い形で言及してきた。光と闇、生や誕生と死といった感じでね。でもそのなかでも『WHERE MYTH BECOMES MEMORY』を完成させたとき、それまでの2枚のアルバムと共通のテーマがあることがハッキリとわかったんだ。それで、いつの間にか三部作になっていたと言えるね」


――『WHERE MYTH BECOMES MEMORY』というタイトルには、様々な解釈ができると思います。それまで常識とされてきたことが何かのきっかけで崩れてしまったり、大きなトラウマの克服だったり、ほかにも聞き手によって感じることは違いそうですが、バンドとしてはどのような意味を持つタイトルなんでしょうか?
「君の解釈が完全に正しいと思うよ。僕が答えるより、君の質問をそのまま見てもらえればOKじゃないかな(笑)」


――バンド自身がどう感じていたかはともかく、世間的にROLO TOMASSIはマスコアとして認知され、紹介されてきましたよね。ただしキャリアとともに表現の幅が広がっていき、今ではドリームポップやシューゲイザーにも通じるような、穏やかさや美しさも取り入れています。こういった変化が特に顕著になったのは『GRIEVANCES』以降だと思うのですが、やはりバンドとして音楽的なボキャブラリーを増やそうという意図のもとで進んだ形だったのでしょうか?
「これは自分たちで意図したとか、計算してその方向に進んだというわけではないんだ。メンバーそれぞれの個人的な音楽の好みが変化したり深まったりするにつれて、バンドの曲作りも自然に変わっていったんだと思う。僕としても、長いキャリアを積んでいけば、バンドのサウンドが進化していくのは当然のことだと思うしね。徐々に変化してきたわけだから、ROLO TOMASSIはセルアウトした、金儲けのためにポップな作風になった…と批判できる人はいないと思う。僕たちは他人からどう思われているのかを気にしないように努めているし、一般的な基準で見れば、僕たちはまだまだエクストリームな音楽に分類されるんじゃないかな(笑)」


――もちろん以前から活躍しているバンドはいましたが、近年はBRING ME THE HORIZONやARCHITECTSがチャート上位に入る等で躍進し、UKのシーンは大きく動いた印象です。ROLO TOMASSIが彼らとどの程度交流があるのかはわかりませんが、こういった状況があなたたちに何か影響したことはありますか?
「君が挙げてくれた2バンドとも、僕たちが活動を始める以前から知っているよ。でも僕たちはBRING ME THE HORIZONともARCHITECTSともまったく違う道を進んでいると思うし、今やフィールドも違うから、彼らの音楽や活動に影響されたということはないんじゃないかな。とはいえ彼らのキャリアや成し遂げたことは素晴らしいと思うし、いちファンとして最近のアルバムやライヴを楽しんでいるよ」


――別バンドのよう…とはいかないまでも、初期から音楽性は大きく進化しましたし、キャリアとともにレーベルや活動フィールドも変化していきました。また年齢とともに私生活も大きく変わり、バンドや音楽への取り組み方も変わったと思います。逆に、ROLO TOMASSIとしての活動を通して、変わっていないことや、意識して守り続けていることはどんなことが挙げられますか?
「内的、外的を問わず、バンドやメンバーそれぞれを取り巻くものが変化してきたのは、君の言う通り。それこそが人生というものだよね。変わっていないことがあるとしたら、自分たちが聴いて興奮するような音楽を作りたいという情熱と、そのためにやるべきことはすべてやろうと取り組む姿勢じゃないかな。実際、曲作りの水準も、リリースのペースもかなり良い感じをキープできていると思う。自分たちの成果を誇りに思っているし、これからも全力でパフォーマンスをし続けていきたいよ」


――SNS等を見ると、9月の日本が今年初めてのライヴになるみたいですね。2023年の最後のライヴは8月だったようですが、バンドのコンディションはどうでしょうか?
「実は最近、またみんなでリハーサルを始めたところなんだけど、今のところ問題もないし全部順調に進んでいるよ。ツアーをやるに十分なところまではもう少し練習が必要になるだろうけど、まだ時間は十分あるからね。だから心配せず、むしろ期待していてほしい(笑)」


――今回はCyclamenだけでなく、同じく日本のkokeshiが共演することになっています。kokeshiはROLO TOMASSIと音楽的なスタイルこそ違いますが、どちらも女性がフロントに立ち、ブラックメタルから影響を受けた混沌としたサウンドや、様々な声色を使い分けるヴォーカルといった共通点があります。共演を楽しみにしている日本のファンがいますが、彼らのことはチェックしましたか?感想とともに教えてください。
「前回僕たちを日本に呼んでくれたCyclamenと、また一緒にステージに立てるのはうれしいよ。で、今回いっしょにやってくれると教えてもらってkokeshiも聴いたんだけど、たしかに僕たちとスタイルは違うものの、サウンドはすごくマッチしていると思う。コントラストのハッキリした、すごく良いショウになりそうだよ」


――年々バンドの評価が上がっていることから、今回の日本では初めてRolo Tomassiを見る人もたくさん来ると思います。日本に来るのも久しぶりだし、ファンに何か言いたいことがあれば自由に書いてください。
「最初にも言ったけど、すごく久しぶりに日本に戻って、日本のオーディエンスの前でプレイするチャンスをまた手にすることができて、すごく興奮しているよ。もちろん以前から応援してくれているファンに会えるのもうれしいし、僕たちを初めてみるという人もたくさん来てくれることを祈っている。特に前回日本に行ってから、自分たちでも誇りに思っているアルバムを2枚リリースしたし、僕たちのキャリアにおいて、まさに今が最高だと思うんだ。みんなにはそれを実感してもらいたいね。とにかく楽しみだよ。すぐに会おう!」

<Live Information>

ROLO TOMASSI Live in Japan 2024

2024年9月28日(土)@渋谷UDAGAWA GARRET with kokeshi, Cyclamen

OPEN 18:30 / START 19:00

ADV:¥8000+1D / DOOR:¥8500+1D

チケット予約フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfm-I3-vV-9mp-gYN0LgLdDNJkkrX4js1iO0pVDU2LixgU4TA/viewform

<Link>

ROLO TOMASSI Official HP:https://rolotomassiband.com/

X:https://x.com/rolotomassiband

Instagram:https://www.instagram.com/rolotomassiband/

Cyclamen:https://x.com/thiscyclamen

kokeshi:https://x.com/kokeshi_jpn

Hayato Imanishi(Realising Media):https://x.com/hayatoimanishi