—-ROUAGE、Laputa! DEATHROのアルバム「PROLOGUE」では谷口さんがギター・ソロ的なパートを弾いますよね。個人的にはGOD’S GUTSぽさが自然に出てると思ったのですが、DEATHRO君的にはイメージにはハマりましたでしょうか。
先の質問でバレてしまいましたが、今回のギターソロ、単音フレーズはすべて小野寺君によるものでした(笑)ただ先日、彼がベースを担当するDAIEI SPRAYのライブを観てGOD’S GUTSのDNAは間違いなく入っていると思いました。
自分がソロでメロディーがあってビートがきいている音楽をやろうとしたときに、自分が観てきた、聞いてきたバンドの中でいいメロディーを書くバンドとしてGOD’S GUTSやNAHTは一つの指針として間違いなくありましたね。
あとはGOD’S GUTSのベーシストがギターでリフを弾いているので(笑)
でも、そういう影響を感じていただけるのは光栄です。
— DEATHROのアルバム「PROLOGUE」はかなりシンプルなパンクロック的な録音になっていますよね。個人的に氷室京介を意識したゴージャスで綺羅びやかなアリーナサウンドで来るのかとおもったのですが、どういったアルバムを目指していましたでしょうか。
デモを制作する段階からある程度方向性は見えていて、いわゆるJ-ROCK的なサウンドを、それとはかけ離れた質感で聴かせるというのが一つありましたね。ちょうどデモを作っているときに聴きこんでいた、SUPER CHUNK/SEBADOH/SONIC YOUTH/Swervedriver/WILDFLAG等のローファイなガレージ/オルタナティブな質感の演奏に、どまんなかJ-ROCK/BEAT ROCK的なコード進行、メロディラインが乗る作品にしたいと思って制作に臨みました。あとは2000年代のSTROKESやKINGS OF LEONの1stアルバムを聞き返して、比較的ドライで各パートがしっかり分離している音作り&ミックスを意識しました。
ある年齢以上の人が期待する、いわゆるJ-ROCK的な過剰なリバーブやコーラスがかかった音像は絶対に避けたいと思いましたね。
— なるほど。DEATHROでは”ORIGINAL KEN-O STYLE”というサウンドを試みているとききました。この”ORIGINAL KEN-O STYLE”とはいったいどんなサウンドなのでしょうか。
これは毎回ライブの入場SEで使っている実兄でもある、幽閉 a.k.a ZERO磁場のラップから拝借させてもらいました。ソロになってから自分が住んでいる神奈川県央地域といういわゆる郊外と呼ばれる場所から音楽を作って発信していく意味を強く感じていて、語弊があるかもしれませんが、自分が好き好んで聴いてきたJ-ROCK/BEAT ROCKて発祥が福岡や群馬ということからもわかるように、郊外の人や、車社会の人達が強く惹かれる音楽なのかなと思ったんですよ。今回のアルバムだと「BOYS&GIRLS」や「SUBURBS」なんかが結構その辺を意識して書いたんですけど。自分なりのオリジナリティやリアリティを今やっている音楽で表現しようとしたときに、自分が住んでいる地域のローカリズムを、これまで以上に反映させたいなと思ったんです。単線のJRしか走っていない駅前は錆びついていて、大きな国道沿いに大型チェーン店やショッピングモールが軒を連ねる風景。それは神奈川県央だけじゃあないと、ツアーに行くたびに感じて、体現すべき文化がないのなら俺はそこに生きる事の焦燥だったり、空虚さだったり、それに飲み込まれまいとしている姿を発信していきたいという思いから、ORIGINAL KEN-O STYLE J-ROCKを標榜しています。
— 氷室京介のLAST GIGSをかなりの公演数観に行ったと聞きました。私は2日めの東京ドームに行ったのですが、氷室京介は素晴らしかったのですが音響が酷くて、その日の事を「氷室風呂」と例えました。PAが東京ドームをまったくコントロールできておらず、ドラムもなにも聴こえず、氷室京介とお風呂に一緒に入ってるようにリバービーな氷室の声が響いていました。ゲネプロ的な事をLAでやりすぎたのが原因かと思っています。軽くというか、かなりPAに関しては怒りを感じました。氷室京介は最高の漢を魅せてくれましたが。DEATHRO君はLAST GIGSをどう感じました?
LAST GIGSは大阪京セラドーム2日目・ナゴヤドーム・東京ドーム2日目・最終日を拝見させていただきました。個人的には引退を表明して、ラストライブとなるはずだった「25th TOUR GREATEST ANTHOROGY –NAKED-」の横浜スタジアム2日間を観て、骨折&ゲリラ豪雨の中「ANGEL」を歌っている姿を見て、もうこれ以上求めるものはないし、ゆっくり休んでほしいと思っていた自分にとっては、まさしく思いがけない同窓会をプレゼントしてもらった気持だったので、賛否両論あった選曲も含めて全公演楽しみました。
— DEATHRO君にとって氷室京介とはどういう存在なんでしょうか。
話がかぶってしまいますが25th TOUR GREATEST ANTHOROGY –NAKED-」の横浜スタジアムで、骨折&ゲリラ豪雨の中「ANGEL」を歌っている姿を観て「ROCKが服を着て唄っている」と思いました。自分が生涯初めて能動的にCDを買ったアーティストが氷室京介でよかったと思っています。
— 逆に布袋寅泰ですが、個人的にはけっこう最近は姑息な面が見えるので、嫌い(音楽は素晴らしいですが)なのですが、DEATHRO君は布袋寅泰はどうですか。
とくに興味がありません。
— そうですか。。。DEATHRO君はボーカルアクションは氷室京介に影響をうけているとおもいますが、氷室京介の最大の特徴である「タチツテト」の発音を真似ていませんよね。そこはこだわりがあるのでしょうか?BOOWYの”BEAT SWEET”という曲なら「俺がなんでもかなえツェあげる」の箇所です。
影響受けているといわれますが、ソロになってからの歌い方に関してはほとんどないと思っています。デモの歌入れをしていく中で、どの歌い方が自分の声をカッコよく聞かせられるかを模索して、今の歌い方に落ち着きました。自分で歌モノを真剣にやるようになって、あの歌い方でピッチを全く崩さず歌えるというのは本当にすごいことだと、改めて思い知らされました。