あっという間にATDIのパフォーマンスが終わり、その余韻に浸っていると、隣のステージでは着々とQUEEN OF THE STONE AGEのセットが組まれていた。それにしてもバンド名長い…。2017 FUJI ROCKフェスでも大トリを務め、もはや世界規模の地名度を手にした彼ら。僕は彼らのライブを一度も体験したことがないので、あのメロウで幻術的でもある爆音を楽しみにしていた。メンバーが一人ずつ定位置につくと、大ヒットした2002年発表のアルバムSong For The Devilの1曲目で幕を開けた。
がっしりとした体格のジョシュは、いつも通りのチェックシャツとジーンズという素っ気ない出で立ち。こちらからは目視できないが、多分足元には大量のエフェクターが並べられているのだろう。続けて「ニコチン、マリワァナ、アルクホゥール」と呪文のように繰り返す初期の名曲Feel Good Hit of the Summerや、最新作のシングルカットであるThe Way You Used to Doなどを演奏。特にMCらしいものも入れず、淡々と着実にプレイしていく。よく言えばオーセンティック、意地悪く言えば普通のロックサウンドで、ちょっと意外というか肩透かしを食らったような気分でもあった。
先ほどのATDIをじっくり観ていた疲れと酔いが冷めたこともあって、しばらく後方へ移動してQOTSAを眺めていた。ニューアルバムを軸に据えながら、過去の名曲も随所に織り交ぜた豪華なセットリストだったが、ミドルテンポの曲でまったりしてしまった。時折覗かせるサイケデリックなギターアレンジ、ファルセットヴォイスを活かした美しいメロディーなど見所も多かったが、こちらの疲労もピークに…。もったいないと思いながらも、ライブ中盤になってRIOTステージから離脱。
会場から最寄り駅まで15分くらい歩いて、3人でCTAに乗り込む。ホテル近所のセブンイレブンで夕食替わりのブリトーやスナック菓子を買い込み、部屋であれこれと話しているうちに睡魔に襲われる。改めて考えると、2日目に楽しんだバンドは全体的にハードコアが多めで、しかもベテランばかりだった。帰国後にQOTSAを最後まで見届けなかったことを後悔しているが、炎天下の中でがっちりライブを観ていると、どうしてもバテてしまい、20時頃に眠気のピークがきてしまうのだ…。
伝説のHR加入のBAD BRAINSと、勢いに乗っているDEAD CROSS、中学時代からのヒーローであるG.B.Hという幅広いアクトを堪能できるのは、やはりこのフェスくらいしかないだろう。ちょっとキワモノ的、飛び道具的な存在のPEACHESも、バンド形式ばかりの中に登場すると、ちょうどいい箸休めになってくれた。期待以上のプレイを見せてくれたという点では、ATDIとDANZIGも挙げておかねばならないだろう。やはり大型フェスになればなるほど、知名度と人気のあるアーティストを優先するがあまり、まとまりのないラインナップになりがちだが、RIOT FESTは一貫してパンク/ハードコアを基本にしたブッキングという点で大きな個性を獲得している。
(追記)
前回のRIOT FESTの説明の際、ステージは合計5つと書き、4つのステージを説明しましたが、HEATHER OWENステージという一番小さい規模を書き加えるのを失念しておりましたので、ここに追記しておきます。また、今回のコラムで使用した画像は僕が撮影したものです。一部、キオの写真も提供してもらいました。写真と文章の無断での転載は固くお断りします。