RIOT FEST 2017 リポート 二日目!

JAWBREAKER

HR 入りのBAD BRAINS、キター!

そしていよいよ、あのHRを迎えてオリジナルメンバーが揃ったBAD BRAINSが登場する。ホワイトハウスに雷が落ちるあのバックドロップが、嫌が応にもテンションを上げてくれる。老齢のためおぼつかない足取りでステージに登場したHRは、オーディエンスの大歓声で迎えられ、ステージ中央ですっと立ちすくんでいた。やっぱりアディダスのジャージの上下(トラックスーツとも呼ぶ)である! BaのダリルもGuのドクター・ノウもDrのアールも適当なカジュアル服でさりげなく登場するが、セッティングに余念がないのが面白い。いよいよフルオリジナルメンバーで、あのDCの伝説が幕を開けるのだ。ちなみに今回はドクター・ノウの息子もサポートギタリストとして参加している。

特にMCや前振りもなく、Give Thanks And Praiseの演奏が唐突に始まる。この曲は2007年発表のアルバムの収録曲で僕は知らなかったのだが、演奏は実にタイトかつパワフル、特にゴリゴリとした感触のダリルのベースが素晴らしい。予想していたよりもHRのヴォーカルも出ている。2曲目のAttitudeでは、当然ながらステージ前でモッシュサークルが出来上がり、芝生からものすごい土煙が舞い上がる(笑)。

61歳という老齢だから仕方がないし、そもそも全盛期のようなパフォーマンスを期待しているわけではないので、ステージを生温かい目で見守る。HRはマイクの前に直立不動して、たまに片手を挙げてリズムを取るような動作をしながら、淡々と歌い上げていく。ほとんどかつてのようなシャウトはしないが、途中に挟み込まれた“I luv I Jah”や“Jah Love”というレゲエナンバーでは、水を得た魚のように朗々と歌い上げる姿が印象的だ。僕らの周囲でもハッパの匂いが立ち込める。ジャーの思し召しであろう。

しばらくレゲエナンバーが続き、会場にゆったりとしたムードが流れる。ハッパとビールで温まったオーディエンスたちに向け、後半には初期の名曲であるPay To CumやBanned In DCやFVKを披露。HRの神がかったシャウトは味わうことはできなかったが、それでもオリジナルメンバーによる10曲を、この目と耳で味わうことができた。ヴォーカルがランディ・ブレイ(LAMB OF GOD)に交替し、あのBig Take Overをプレイ。ヒデちゃんはここぞとばかりにモッシュサークルから抜け出し、華麗なクラウドサーフィンを決める。ランディがヴォーカルのまま2曲が続き、あっという間に終演した。

高校生時代に聴き始めたUSハードコアの中でも、圧倒的な個性を放っていたBAD BRAINS。一本調子で叫ぶだけのハードコアバンドと違って、HRの伸びやかなヴォーカルは異彩を放っていた。単純にテンポが早いことがスピード感を生むわけではなく、早いテンポの中にグルーブ感が伴うことで、さらなるスピード感を表現できることを教えてくれたバンドでもある。今回のライブでその真髄を味わうことはできなかったが、少なくともフルオリジナルメンバーによる演奏を、この目に焼き付けることができただけでも大きな収穫であった。

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