そして、フェスの中間点の山場であるDEAD CROSSのお出ましである。LOCUSTのBa/Voのジャスティン、SLAYERのDrであるデイブ・ロンバード、さらには元FAITH NO MOREのマイク・パットンである。このメンツが揃っただけでも奇跡的だが、フェス前に発表していた曲がすこぶる良かったので非常に期待していた。フェス前のインタビューで本人達は、自らの音楽をピュア・ハードコアと呼んでいたが、実際にハードコアを特徴づけるエレメント(スピード、パワー、ダイナミクス、エクストリーム)を凝縮させたサウンドと言っていいだろう。
いわゆるグラインドコアの要素を取り入れながらも、単にノイジーでファストというだけに留まらず、起伏に富んだ楽曲が素晴らしい。あくまでハードコア・ルールに則った、攻撃的なショートチューンではあるが、緩急の効いたタイトな演奏に息を飲む。そこへ声量を活かして歌い上げるようなパートと、人を食ったような奇声を上げるパート、怒涛のシャウトを織り交ぜたヴォーカルが加わる。グイグイとステージの先方まで進んで行き、彼らのライブに没頭している自分がいた。もちろん他のオーディエンスも盛り上がっているのだが、メンバーの一挙手一投足を見逃すまいと、ステージに釘付けになっていた。
あえて平坦なパートや抑制の効いたリフレインを配置することで、ブラストビートやグロウル(いわゆるデス声)の破壊力を際立たせる。曲全体として、どの楽器がどの部分でリードを取るのかということまで、精緻に計算されているようにも思える。ゆえに、凝った展開やメンバー個々のテクニックを随所で発揮させつつも、まとまりを欠くことがない。マイク・パットンとジャスティンの掛け合いも見事で、ステージアクションも含めて本当に飽きさせない。デビューアルバムの発表と連日のUSツアーの真最中でのパフォーマンスということもあり、まさに絶頂ともいえるライブを存分に楽しめることができた。