数曲を楽しんでいたが、疲労が溜まってきてしまったので、VIPエリアに戻って休息を取る。芝生の上で寝転がっていると、これまた名盤のGreen Mind収録曲The Wagonが遠くから聞こえてきた。ステージから離れたことを少し後悔しつつも、JAWBREAKERを万全の体勢で観るためにもここは我慢することにした。陽がとっぷりと落ちる頃、ほぼ同じ時間帯にM.I.AとPROPHETS OF RAGEが別のステージで演奏を開始。僕はまず、PORを観にメインステージへ。要はザック抜きのRATMであるのだが、ヴォーカルとラップを担当するのはPUBLIC ENEMYのチャックDとCYPRESS HILLのBリアルである。フェス前に公開された音源とヴィデオで確認していたが、これがなかなか良い!
分断されたアメリカの大統領としてトランプが就任した現状で、メッセージ色全開の曲をプレイ。熟練した演奏はもちろんのこと、チャックDとBリアルの掛け合いも違和感を感じさせず、ザックとは違うスムーズで厚みのある印象だ。2人のMCの役割分担がしっかりなされているので、意外なほどに聴きやすい。完全に予想通りだったが、RATMのカバーも披露。3曲目に披露したTake the power backでは、オーディエンス全員が大合唱して拳を振り上げる。そもそもヘッドライナー級のビッグネームなのだから、当然と言えば当然か。
ワーミーペダルを駆使したトム・モレロギターのギターは、芯が図太く鮮明で、セカンドギターの必要性を全く感じさせない。それはもちろんベース&ドラムの確かな演奏力があってのことだが、ひとつひとつの硬質なリフを効果的に聞かせつつ、ファンク的な要素を付け加えているのがいい。RATMはザックのカリスマ性ばかりが先行してしまいがちだけれど、やっぱり残り3人の演奏力とアレンジ力があってこそ。極限までに余計な装飾を削ぎ落としながらも骨太なサウンドは一貫している。地下鉄の駅でアルバム告知のポスターを見かけることもあり、プロモーションもしっかりしていたことも付記しておこう。