RIOT FEST 2017 リポート 3日目!

JAWBREAKER

お次はTHAT DOGである。女性版WEEZERとも言えそうなキャッチーなサウンドで、エレクトリック・ヴァイオリンとサポートギタリストを加えた5人編成。目をクローズアップしたジャケットで知られる出世作、RETREAT FROM THE SUN(1997年)の再現ライブである。20年を経た今でも瑞々しいメロディー、無駄のない曲構成と緩急のある演奏が心地いい。本人たちも演奏を心の底から楽しんでいるのが微笑ましく、HWMで熱くなりすぎたハートを、そよ風のような優しさで冷ましてくれた。

その後はスカパンクの雄、THE MIGHTY MIGHTY BOSSTONESのステージへ。タータンチェックのスーツでバッチリ決めて、ホーンセクションを従えたバンド編成を遠くから確認して、数曲を楽しんだ。それほど思い入れがあるバンドではなかったので、早々に引き上げてCAP’N JAZZのステージへ。もちろん悪くはないのだけれど、要所で休憩を入れつつ本命に備えないと、オッサンは持ちこたえることができないのだ…。ちなみに下の写真はタイ料理の屋台で注文した不思議な食べ物。具材はキャベツのみで、味付けはナンプラーのみ。$10もしたのに、激烈に不味い…。

麺

カテゴライズ不能な天才バンド、CAP’N JAZZ現る!
カオティックでありながらもメロディアス、叙情的でありながら直情的でもある。変幻自在のリズムとアレンジ、不協和音と美しい旋律。頼り気なくメロディーを紡ぎながらも、あるときは絶叫するヴォーカル。こうした相反する要素をゴチャ混ぜにしながら、強引に疾走するパンクロック。これこそが自分にとってのCAP’N JAZZの魅力である。本当に上手いのか下手ウマなのかよく分からないが、とにかく聴き入ってしまう。エモとかハードコアとか、そういう線引きを不要にした新しいパンクの形がそこにあった。

フロントマンであるキンセラ兄弟の辿ったその後の変遷…。PROMISE RING、JOAN OF ARC、AMERICAN FOOTBALLなどなど、予測不能の変節と変わらない変態性。CAP’N JAZZこそが、ポスト・エモを決定付けたベンチマークである。その後、エモの解釈はその人個人が選び取った音楽性によって色分けされるが、僕個人はその他に分派したポスト・エモの流れには興味がない。どうも自分はオーセンティックな楽曲が好みなようだ。

前置きはこれほどにして、オリジナルメンバーでのCAP’N JAZZを目の当たりにした。ステージまで数メートルしかない前方まで進んでいたため、ぎっしりだったので写真が少ないが、彼らを待ち望んでいたファンが多かったようだ。ステージに現れた彼らは、スリムジーンズにチェックシャツとTシャツという、ある意味でアメリカンロックバンドのスタンダードな出で立ち。20年を経た今でも、ルックス面での劣化が少ないというのも素晴らしい。演奏するのは、もちろん名盤Analphanetapolothologyの収録曲。

名曲Little Leagueが始まると、早々にモッシュサークルが出来上がり、左右から人がぶつかってくる。その後もOh Messy LifeやPuddle Splasshersなどをプレイすると、もみくちゃにされ、こちらも暴れたくなってきたのでモッシュピットへ乱入。ストップアンドゴーを多用し、繊細なアルペジオや囁くようなヴォーカルなどを挟み、サビで爆発するあのスタイルは、一種のカタルシスをもたらす。不協和音から爆音のコードストロークへの変化など、現在当たり前になった手法はすでにCAP’N JAZZが完成させていたのだ。

フォロワーっぽいバンドがいくつかいるけれども、やはり唯一無二。タイトな演奏とティムのパフォーマンスも完璧で、客を煽りまくる。名(迷!?)カバーであるA-HAのTake On Meのイントロが流れた瞬間、アドレナリンが噴出した僕は、キオに手荷物を預けて早速クラウドサーフィンを楽しむ。まさかJAWBREAKER以外でこれをやるとは思わなかったが…。ステージと観客エリアを仕切る通路に引き摺り下ろされると、セキュリティに「お前、2度とこういうことするなよ!」と怒鳴られたが、そんなことは意に介さず、飄々とステージ後方へ戻る。中盤以降は、ティム自らがオーディエンスの頭上へダイビングして、歌いながらクラウドサーフィン!

cap'n Jazz

ベストな選曲による珠玉の45分を前進で楽しんだ。オーディエンスのみんな協力的で、モッシュで倒れた人を抱え上げたり、クラウドサーフィンする人を前に送り出してくれたり、意外なほどに協力的でフレンドリー。もしも僕のようにクラウドサーフィンやモッシュピットを楽しみたい人は、手荷物だけは気を付けてトライして欲しい。

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