スウェーデン産ポスト・メタル新星、KOLLAPS\Eのデビュー作が日本流通スタート！

<a href="https://kollapsemusic.bandcamp.com/album/phantom-centre">Phantom Centre by KOLLAPS\E</a>

ときどきバンドやレーベルから「よかったら音源を聴いてほしい」とDMが届くことがあります。国内はもちろん、どこで見つけてきたんだか、海外から連絡がきてビックリするケースも。もちろん全部聴かせていただきますし、そこから長く続く関係が生まれたりもします。
今回はそんな中から、日本とちょっとした縁のあるバンドをご紹介。その名もスウェーデンのKOLLAPS\E（コラプス）です。

KOLLAPS\Eはスウェーデン南にあるヘルシンボリ出身の4人組。90年代から別々に活動をしていたメンバーが集まり2018年に結成され、2019年に現メンバーが揃い、いざ本格的な活動を…と思った矢先に、コロナ禍によって方針を見直さざるを得なかったそうです。そこからライヴではなく曲作りに集中することを決め、2021年に『THE PANDEMIC SESSION』と題したEPをリリース。ここからさらに曲を増やし、今年1月に『PHANTOM CENTRE』をリリースしました。

彼らのサウンドをカテゴライズすると、ポスト・メタルになるでしょう。たしかにNEUROSISのほかに、同郷の先輩格であるCULT OF LUNAやBURSTの影響を強く感じさせます。特に引っ掛かりのあるリフや空間／音響的なアプローチにはCULT OF LUNA直系と言える部分もあるし、オーストラリアのSUNDR、フランスのTHE OCEANとも近似値が近いサウンドです。しかしメンバーとしては、音楽性の形成については補足があるようです（以下、発言はすべてダニエル・ワレンボーグ／vo,gのもの）。
「NEUROSISやCULT OF LUNAといった、いわゆるポストメタルと言われるバンドは、KOLLAPS\Eの影響源であることは間違いない。でも自分たちとしては、BREACHの名前も忘れられないよ。もし彼らを知らないなら『IT’S GOD ME』（97年）をぜひ聴いてみてほしいな。ほかにもいろいろな音楽やアート、映画、場所からも着想を得ることがあるよ」
BREACHは90年代に活躍した、スウェーデンのポスト・ハードコアバンド。HIS HERO IS GONEをさらに暗黒に叩き落したようなサウンドで、クラストやエモバイオレンス方面にも通じる部分もあります。これを現代的かつプログレッシヴに発展させつつ、アンビエント等の要素を加えることで、KOLLAPS\Eが生まれたと言えるようです。
加えて、ミドル～スローテンポでじっくりと音を構築していきつつ、むやみに激情をまき散らしたりしない抑制されたサウンドもポイントと言えそうです。4人という、ポストメタルとしては決して大所帯ではない編成も手伝ってか、足し算、引き算両方を慎重に計算したような印象。なかでも“Uhtceare”の巧みな構成と叙情美は、特に耳を引きます。アルバム全体としては5分程度にまとめた曲が中心ですが、おそらく長い曲をじっくりと展開させることに長けたバンドだと思います。今後より長い曲で情景描写するようになると、大化けするかもしれません。

本作は各種ストリーミングやbandcampでチェック可能ですが、CDは3LA、およびOtonashi Recordsで取り扱っています。本人たちはすでに新曲の制作にも取り掛かっており、今年～来年には次の音源を出したい、とのこと。早々に進化した姿を見せてくれると思うので、ぜひこれも何かの縁と思って、応援してあげましょう。

ちなみに彼ら、会話しているとけっこう日本贔屓のようなのですが、その理由はなんなのかをダニエルに聞いてみました。
「僕は子どもの頃から日本の映画が好きだったし、日本の音楽シーンを知ってからは、その豊かさにさらに引き付けられたんだ。それと昔、ATOMIC FIREBALLのイタル（ds）とよくやり取りをしていた時期があってね。彼らの大ファンだったから、若い頃に作っていたZINEでインタビューをさせてもらったこともあるよ。日本にはずっと魅了されていたし、行きたいと思っていたから、KOLLAPS\Eでぜひ実現させたいね」
ATOMIC FIREBALLは、現在REDSHEERやSWARRRMで活躍するメンバーがかつて在籍したバンド。まだインターネットも今ほど手軽なツールではなかった当時の、アンダーグラウンド・シーンの熱量を感じさせるエピソードです。こうして世界は繋がっていくんですね。