今年も月イチ(できるだけ)レビューやっていきましょう。今回みたいに直近のリリースだけでなく「少し前のリリースだけど最近知ったから」でレビューしたりもいいかなと。
ちょっと春頃まで忙しさからライブに行く本数も減りそうな気もするんですが、そういう発見は大事にしていきたいです。
というわけでいってみましょう。
■CAILN『Longing born from emptiness』

横浜産デス~グラインド~ハードコアバンドのEP。元旦リリースだったので、2026年最初に聴いたのはこれでした。
国内叙情派の一翼を担っていた前身バンドから一転、エモさの入る余地を徹底排除した、無慈悲さを表現する闇落ちバンドと言えるでしょう。スタイル自体は2022年にリリースしたアルバムの延長線上にありつつ、ロウというか生々しさが増した音作りになった印象で、ドゥーム・デスばりのスローパートに空間を寸断するブラストにと、迫力と落差が倍化。ブラッケンドとはまた違うドロドロした黒さと、メタルコア勃興前の極悪系ニュースクール由来の落とし(なのでモッシュパートではあるがブレイクダウンではない)で目の前の全てをなぎ倒していきます。
とにかくブルータルかつグルーブ感あふれる凶暴なサウンドですが、いわゆるスラミング的な悪さがあまり感じられないのもポイント。叙情派経由なせいなのか、あくまで悪い音を追求しているものの、なんだかんだ人間味があるし、あんまりケンカ腰じゃないんですよね。そういう意味でも、けっこう不思議なバランスのうえに成り立っているバンドだと思います。音のイメージをそのままフルテンにした感じのライブも必見です。
■REDSHEER『AFTERGLOW』

東京のポスト・ハードコア~ノイズロックバンドの2ndアルバム。2025年に毎月1曲ずつ公開してきたのが、7曲をもって完全体となった形です。合間にスプリットのリリースやコンピへの参加を重ねてきたとはいえ、アルバムとしてはおよそ10年ぶりになります。
1stでは豊かな経験を土台としつつ、おじさんの初期衝動と言える刹那的なテンションが肝でしたが、メンバーチェンジを経た今回は、より熟成されたように感じられます。UNSANEやTODAY IS THE DAYといった、一筋縄ではいかないノイジーなバンドたちと共鳴する部分を引き継ぎながらも、むやみに爆発せずむしろ抑制された雰囲気。とはいえ静かで大人しくなったということではなく、溜めて溜めて一気に解き放つかのようなダイナミックさが重視されています。ハードコア由来の強靭なグルーブを屋台骨に、繊細かつ複雑なギターの和音や揺らめくヴォーカル、実験的なドローン等も際立っており、悲痛で重苦しい雰囲気のアルバムに仕上がりました。
本作制作後にドラマーが脱退、現在サポートメンバーを入れて活動中ですが、決死の覚悟を決めたライブ含め、まだまだ今後が楽しみなバンドです。
■六根&FPCD『holy fade』

東京~横浜のハードコア2バンドによるスプリット。リリースは昨年秋ですが、年明けに見た両者のライブがものすごくよかったので、そのまま物販でCDを入手しました。
先攻の六根はギター×ドラムという変則的な編成の2人組。爆速のジャパニーズ・ハードコアやパワーヴァイオレンスを激情やネオクラストで激化させたような、ザラザラとしたひりつきがたまらない。手数に頼らずに曲を盛り立てるドラム(セットの位置関係がわかりそうな音作りも見事)含めて、人数の少なさをまったくマイナスにしない、型破りながら先達へのリスペクトを感じさせます。
後攻のFPCDは「BEATDOWN PUNK」を標榜するだけある、暴力的なビートダウンを多彩なリズムで強調していくスタイル。とはいえ安易なモッシュ用BGMにはならないというか、ノイズまみれでフラストレーションが渦巻く殺伐とした空気感に満ちていて、一体感とか空間を共有するとか、そういった同調を拒絶するかのようでさえあります。
タイプこそ違えど、典型では収まらない2バンドの存在感が光る好スプリット。これまで六根は何度か見れたもののFPCDは先日が初めてだったし、また見に行きたいですね。
■I PROMISED THE WORLD『I PROMISED THE WORLD』
テキサス州出身のメタルコア/スクリーモバンドのEP。2023年にSINEMAという名前で結成。EPとアルバムをリリース後同名バンドがいたことから、昨年I PROMISED THE WORLDに改名しての今回のリリースだそう。
すでに各所で話題になっている通り、2000年代中期の、メタルコアとスクリーモ(Skramzとの隔絶が顕著になって以降の)に強く影響を受けたというか、まんま当時のサウンドを出しています。勢い任せに喚き散らすスクリームに高い声が出しきれないメロディ、不協和音すれすれのギターのハモリや微妙に弾けてない気がするストローク、カオティックと言うには強引すぎる曲展開と、今アラフォーの人にとっては、親の顔よりも見たタイプです。進研〇ミでやったやつだレベル。Djentの浸透によって演奏、レコーディング技術ともに一気に進化する前は、インディーのバンドってこんなのばっかりだったんですよね。ギターがSchecterを使っていたら完璧だった。
なんかもう、学生時代を半ば強制的に思い出させられてエモくなってしまったんですが、気になるのは今後。あの頃リバイバルなままでいるか否か、どこかで岐路に立つと思いますが、このまま長く続けて、あり得た世界線を見せてくれることにちょっと期待したりも。
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CAILN:https://x.com/TheCailn
REDSHEER:https://x.com/REDSHEER666
I PROMISED THE WORLD:https://www.instagram.com/ipromisedtheworld/

