昨年の終わりから仕事が忙しくなった関係で、いろいろと更新の頻度が落ちてるな~と感じる今日この頃です。
とはいえ、在宅で仕事中ずっとサブスクをフル稼働させているので、音楽を聴いてはいます。おかげで新旧問わず、気になったものはとりあえず聴いてみるというサイクルができて、聴く量や入ってくる情報の量は格段に増えました(思い立って「今日はTESTAMENTしか聴かない!」みたいな謎の縛りプレイをやることもありますけど)。
せっかくなので、あまり手数がかからない企画として「先月これよく聴いたよ」というショートレビューみたいなものを不定期でやってみようと思います。新譜中心になるとは思いますが、リリース年もジャンルも考えず、とにかく毎回、再生回数が多かったやつをピックアップ。恐ろしく忙しかったり、インタビューなど別記事をアップした直後だったりで、できないときもあるかもしれないですが…まぁ気軽にやるつもりです。
6月は以下の4枚。このくらいの枚数がちょうどいいのかなと思いつつ、その時によって豊作だったりで枚数が変わることもあるかもしれません。
というわけでいってみましょう!
■CAVE IN『HEAVY PENDULUM』
ケイラブ・スコフィールド(b,vo)の事故死を乗り越え、盟友であるCONVERGEのネイト・ニュートンを迎えた完全復活作。前作『FINAL TRANSMISSION』はケイラブと途中まで制作していた背景も相まって、追悼盤の意味合いがあったものの、今回は純粋なニューアルバムですね。これまでのCAVE INらしいヘヴィロック~スペース/サイケ、プログレ、オルタナ的な要素をまとめた集大成的な作風を軸にしつつ、ネイトが加入することで突進力に磨きがかかったというか、エンジンがより強力になった印象。膨大かつ豊かなバックグラウンドを感じさせる緻密なアレンジが光るものの、小難しく感じさせるどころか、ゆるぎなくポップで、めちゃめちゃ聴きやすい。トータル70分という長さも気にならない仕上がりは、見事の一言。個人的にはケイラブのドスのきいた声が好きだったので、その点はやっぱりさみしい部分はありますが、とにかく「CAVE IN以外の何物でもない」アルバムであることは間違いありません。
2020年2月と、コロナが本格的に世界に蔓延するまえに来日してくれたので、個人的には現状最後に見た海外アーティストになります。スティーヴン・ブロッズキー(vo,g)は秋にQUICKSANDで来日予定ですが、早いところCAVE INとしても戻ってきてほしいですね。
■SILENT DRIVE『FAIRHAVEN』
2004年の『LOVE IS WORTH IT』の後、ちょこっとライヴをやるくらいでほぼ動きのなかったSILENT DRIVEが、いきなり正式に復活。めちゃめちゃびっくりしましたね。で、18年ぶりに出た今作(再びEqual Visionからというのも熱い)先行公開されていた“Dealy Beloved”からしてスピード感と哀愁を絶妙にミックスしつつ、ドラマティックな展開とテクニカルさをぶち込んでおり期待大でしたが、いや全体通しても素晴らしいですね。
前作はもっとゆったりとして、メロディを重視していた印象でしたが、今回はハードコア由来の突進力が強化された印象です。18年の間に筋トレでもしていたんでしょうか。とはいえ歌メロが引っ込んでいるというわけではなく、むしろサウンドがパワーアップしたぶん、デリケートなメロディも比例して強調されている。時代に流されてはいないけど、ちゃんとアップデートされています。「エモい」という言葉が乱発されるようになったなかで、本物がやってくれました。
正直復活の経緯はわからないし、ライヴもツアーでなく単発で数本しか決まっていないみたいなんですが、無理のない範囲で活発にやっていってほしいですね。
■HENRY HEARSE『-VALET-』
SNSの広告で流れて来て知った、ニューヨークのアーティスト(SNSのプロフィールには“下水道サービス”などと書いていて、詳細がほぼわからない)。ぶっちゃけ音だけ聴いたとき、MINISTRYかSKINNY PUPPYあたりの初期作のリマスターでも出るのかなと思いました。それだけいい意味で、時代錯誤で真っ当なインダストリアル~EBM(EDMじゃなくてボディ・ミュージックのほう)をやっています。
このアルバム自体は2019年のリリースですが、徹頭徹尾、感情を排除した、非人間的で乾ききったEBMを展開。インダストリアルというと、メタル要素を取り入れるかシンセポップ方面に進むアーティストが多いなか、ここまでストイックにEBMにこだわるのは逆に新鮮ですね。ただクオリティも高いし、今のシーンへのカウンターになっているとは思う(本人の意思はともかく)んですが、MINISTRYの『TWITCH』(86年)のジェネリックに留まっている部分もなきにしもあらずかな…という感じです。
2020年、22年と新曲を出していますが、どちらもこのアルバムの延長線上にある作風なので、まだしばらくはこの路線で行くみたいですね。でもロゴの質感を考えると、そのうちメタル化しそうな気も。これからの動きには注目しておきたいです。
■DECAPITATED『CANCER CULTURE』
ポーランド産テクニカル・デスメタルバンドの8作目。もう20年以上のキャリアの持ち主ですが、メンバーを交通事故で失って活動休止するなど昔から苦労が絶えず、なんか応援したくなるバンドですね。2019年にはヴォッグ(g)がMACHINE HEADに加入したことでも話題になりました。
そういったバックグラウンドを抜きにしても、今回も超かっこいい。MESHUGGAH流れのテクデスを、同国の先輩であるVADER譲りのブルータリティで加速させつつ、PANTERA以降のフィジカルなグルーヴ感もしっかり履修。基本路線はいつも変わらないのに、どれも同じな金太郎飴にならないのはアレンジ力も〇。小難しさを見せずにボカスカ連打してくる様は圧巻です。そのなかでJINJERのタチアナ(vo)とMACHINE HEADのロブ・フリン(vo,g)が参加して、勢いを殺さない範囲で歌メロを導入しているのも興味深いです。ロブはまぁ「うちの若いもんを紹介するぜ!」っつってしゃしゃり出てきた感がありますけど、JINJERはお互いのお国柄、昨今のロシア情勢等についても思うところがあるんでしょうね。
2019年は行けなかったんですが、2012年にFEAR FACTORYのサポートで来日したときのライヴがまた凄まじかったので、次々降りかかる逆境にも負けずに頑張ってほしいです。
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