新しいDAIEI SPRAYは新たにメンバーに加わった小野寺君(オノデラップ)の的確で、ツボをついた渋いベース、ドラマーのSAITO3のビート感も素晴らしい。ボーカルのYAGI氏も堂々たるパフォーマンスである。
ライブを観る限り、解散の危機、いわば死の淵から友人のパワーを得て彼らは強力に復活したのである。
そして、柴田氏からファーストアルバム”ISN’T BRAZING”がLIVEAGEに送られてきた。
一足先に聴かせていただきました。ありがとうございます。
まずは全員のプレーの的確さが光る。そして、ここまで全員の演奏力が安定しているバンドはなかなかいないと思う。
サウンドはやはり、DC HARDCOREとりわけ、レボリューション・サマー期の流れがあると思う。
SALAD DAYSという映画でレボリューション・サマーについてはしっかり紹介されているので、ここではザックリ紹介する。
レボリューション・サマーとは1985年の夏にアメリカはワシントンDCで起きた「暴力的なSHOWやセクシズム(女性蔑視)」に対する社会運動の名称である。
参加したといわれるバンドは第二次世界大戦にアメリカから出兵した日系人ダニエル・イノウエ(死の第442連隊戦闘団の生き残り、初の日系人上下両院議員。葬式にはオバマ大統領も参列)の息子、ケニー・イノウエ率いるMarginal Man、ignition(イアン・マッカイの弟、アレックス・マッカイ率いる), One Last Wish, Rites Of Springなどである。(shino-shit確認よろしく!)
サウンドもいわゆるMINOR THREATなどが作り上げた初期のDC HARDCOREを進化させ、複雑で多くの感情を含んだ変則コードと泣きそうなスクリームを特徴とする。
このレボリューション・サマーが起きている間にDCを離れUSツアーをしていたDAG NASTYは、ツアーが終わりDCに戻ると、一気にレボリューション・サマータイプのサウンドを取り入れた2ndアルバムを制作する。
また、MINOR THREATのイアン・マッカイは弟のバンドIgnitionに嫉妬し、EMBRACEを結成し同じくメローなレボリューション・サマータイプのサウンドを作り出す。
そう、DAIEI SPRAYはこのレボリューション・サマーのバンドたちの血を濃く引き継いでいる。
YAGI氏ボーカルのメロディーは、一日考えて分かったが、2ndアルバム時のDOWN BY LAW(ex-DAG NASTY)のデイヴ・スマリーにかなり通じるものがある。
DAIEI SPRAYとレボリューション・サマー(中期DC HARDCORE)のバンド達が紡ぎだす音楽は下記のような共通項がある。
爆裂するロックでありながら、繊細なコード。感情を吐露するボーカル。
その中でもDAIEI SPRAYは爆裂するロック感を重要視しているようだ。
そこに圧倒的なギターの鳴りを柴田氏は持ち込んでいる。
おそらくアーム付きのジャズマスターであると思うが、とにかくギター本体の木が鳴りまくっているのだ。