極限まで磨き上げた刃をふりかざす、スラッシュメタル新基準!IN FOR THE KILL渾身のニューアルバム『Branded To Kill』レビュー!

バンドにとって一つの到達点、代表作としてだけでなく、今後越えていくべき壁たりえるアルバム。IN FOR THE KILLがおよそ7年ぶりにリリースした2nd『Branded To Kill』は、そんな存在になるのではないか。

結成以来、SLAYERやEXODUSから受け継いだ殺傷力、PANTERA譲りの豪胆なグルーヴ、VISION OF DISORDERらハードコア勢にも通じるむき出しの感情表現を混ぜ合わせることで、スラッシュ/エクストリーム・メタルの理想を追いかけてきたIN FOR THE KILL。前作ではミッドテンポのグルーヴを押し出した曲も随所に配置していたが、今回は全編を通して「速さ」と「切れ味」が極限まで磨き上げられている。

本人たちとしても、速いスラッシュメタルをやることが念頭にあったそうだが、デスメタルやハードコア等の要素を内包しつつ、余計な枝葉を削ぎ落とすことで、過激さと残虐性がより強調されている。かといってただ速いだけ、激しいだけの出オチにはならず、刻みまくるギターはじめ、各パート音を詰め込みながらもアンサンブルにムダがない。実際のBPMに関係なく、とにかく体感速度と情報量が異常なのだ。

冒頭から一気にトップスピードで駆け出し、暴虐の限りを尽くしながら切り進んでいく様は圧巻の一言。後半で少しだけテンポを落としつつサザングルーヴ(AWAKEDのMAZZYが、渋みと旨味を加えている)を見せたかと思えば、最後にもう一度ギアを上げて畳みかけていく、全体の構成も見事だ。ちょっとしたフィルやキメの入れ方、絶妙に加速度をつけていく展開まで、キャッチーに聴かせるための工夫が細かく凝らされており、耳にザクザク突き刺さってくる。

もうひとつ興味深いのが、これだけ激しく凶暴な音に仕上がっていつつも、いわゆる「治安の悪さ」をほとんど感じさせないこと。Ina(vo)のヴォーカルも以前のようなドスのきいたものではなく、噛みつくような叫び声で、より日本語詞がハッキリ聞こえる歌い方に変化しているが「全員殺す!」という見境のない怒りや武闘派の威圧感はない。むしろ「あいつ殺す!」という形で、矛先が明確になっている印象だ。

「たぶん年齢的なものだと思うけど、全方向に発する怒りみたいなものはあまりないんです。それと今までは、世の中を俯瞰で観察するような歌詞が多かったので、そろそろ人対人、みたいなものを書きたかった。またヴォーカルにとって”厳つい声”ばかりが求められる、エクストリーム・メタルというシーンにいる僕らですが、曲を聴くと同時に詞を味わう、という音楽の楽しみ方を表せたら素晴らしいなと考えています。その考えが、声の出し方や言葉選びにも影響しました。日本語詞であることにこだわる理由でもあります」

とは、Inaの談。アルバムへの感想がサウンドだけでなく、歌詞への共感の声も多いことから見ても、Inaの目論見と挑戦がアルバム全体をより引き締め、奥行きのあるものにしたのは間違いない。結果的に、スラッシュ/エクストリーム・メタル以外の何物でもないのに、規格を突破したアルバムとなったのが『Branded To Kill』だ。

手の内を広げるのではなく、自身のやりたいこと、やるべきことを7年かけて研ぎ澄ませたIN FOR THE KILL。それこそLAMB OF GOD、THE HAUNTED、SYLOSISといった猛者たちにも引けを取らない、頼もしい存在感がみなぎっている。これで血が沸かなければ嘘というもの。各種メタルが豊作な2024年において『Branded To Kill』は、トップの座を争うアルバムだ。

<Live Information>

IN FOR THE KILL:ONE-MAN LIVE

5/12(sun)新宿ANTIKNOCK

open 18:30/start 19:00

前売り ¥2,500+1D/当日 ¥3,000+1D

メール予約:info@iftkjp.com (公演日、予約者名、予約枚数記載必要)
Livepocket:https://t.livepocket.jp/e/inforthekill

<Link>

Official HP:https://www.iftkjp.com/

X:https://twitter.com/INFORTHEKILLJP

Instagram:https://www.instagram.com/inforthekill_jp

Spiritual Beast:https://spiritual-beast.com/releases/iucp-16367/