明けましておめでとうございます。先日PIG CITY来日に関する記事をあげましたが、振り返りがてら恒例の年間ベストアルバムもやっていきます。
選出にあたり、勝手に定めたレギュレーションは以下の3点。基本的には毎年同じです。
・2024年12月~2025年11月にリリースされたアルバムを選出しています(12月付近にリリースされた明らかにアルバムは聴ける回数が少なくなり、フェアでないため)
・月イチのレビューで取り上げたかは問いません(インタビュー等でレビューができないタイミングだったケースもあるため)
・音源リリースに伴ってインタビューをしたかどうかも問いません
・選出したアルバム内でランク付けはしていません。思いついたもしくは書き出した順番です
というわけでいってみましょう。
■WE LOST THE SEA『A SINGLE FLOWER』

オーストラリア、シドニーのポストロック/メタルバンドの5作目。インストゥルメンタルのポストロックとして、特段珍しくない表現手法ではあるものの、ドラマティックな楽曲の構築力と、常に冷静かつもの悲しい雰囲気が一貫して続きます。溜めて溜めてドーン!みたいなカタルシスは薄いものの、トリプリギターという大所帯も存分に生かした丁寧な作りで、70分じっくりと浸るには最適のアルバムでした。
■View From The Soyuz『Ubiquitous』

東京のハードコア・バンドの1st。オールドスクールなメタルコア~エッジメタルを現代的にアップデート&広いフィールドに打って出られるだけのキャッチーさを持たせながらも、根っこは頑なというか、売れようとしたのではなく結果的に売れてしまった…という奇跡を実力で成し遂げたバンド。それでいてまだまだいけそうというか、次もその次もピークが待っていそうというか、とにかくのし上がっていく未来しか見えない力を感じさせるアルバムでした。
もしかしたら10年後くらいに「VFTS以前・以降」という区切りとともに語られるかも。
■ABIGAIL WILLIAMS『A VOID WITHIN EXISTENCE』

アメリカのブラックメタル・プロジェクトの6枚目。リリースの報を見た時は「まだやっとったんけ」くらいにしか思わなかったんですが、聴いてみるとこれがめちゃめちゃよかった。シンフォニックなブラックメタルを、エクストリームなデスメタルで鍛え直しつつ、コンパクトかつわかりやすく仕上げた、全編凶暴なアルバム(そのぶんラストの叙情性が光る)。いまいちメンバーも音楽性も安定しないので次がどうなるかはわからないし、そのせいでいまいち注目されない気がするんですが、これができるんなら今後も期待して待っていたいですね。
■DEFTONES『PRIVATE MUSIC』

アメリカ、カリフォルニアのニューメタル/オルタナティブメタル・バンドの10作目。これまでのアトモスフェリックなスタイルをしっかり踏襲しつつ、いつになくコンパクトな内容&起伏のあるポップな歌メロを取り入れた、即効性強めというか入りやすいアルバムになりました。TikTok等での謎大バズりや、影響を受けた後進の躍進といったトピックもどこ吹く風で、新しい要素でマンネリを防ぎつつ、ファンを裏切らないバランス感覚はさすがの一言。あとの問題は来日ですね。TOOL来日の波に乗ってくれ。
■ORBIT CULTURE『DEATH ABOVE LIFE』

昨年10月にLOUD PARKで初来日を果たした、スウェーデンのメロディック・デスメタルバンドの5作目。典型的なイェテボリ・サウンドにならず、モダンなグルーヴやインダストリアル的なプログラミングで武装することで、どことなくFEAR FACTORYやSTRAPPING YOUNG LAD等を思い出す、メカニカル&スケール感の大きな出世作になりました。実際にライブを見た印象だと、音の説得力と貫禄に対し、ステージ運びはまだ追い付いていないように感じられた部分もありますが、むしろ伸びしろ。色んな意味で今後に期待ですね。
■明日の叙景『Think of You』

日本のポストブラック・メタルバンドの3作目。冬をイメージに据えながら、J-POP由来のポピュラリティをより強化することで、冷たさや寒々しさよりも人間味のある温かみを表現。「君が笑ってくれるなら、僕はJ-POPにもメタルにもなる」という、どっちつかずと言われかねないスタンスも、サービス精神ゆえでしょう。とはいえ中心になっているのはブラックメタル経由のエクストリーム・メタルなので、「なぜこれが売れるのか?」と「そりゃ売れるよな」が混在する、不思議な感覚になりました。しばらく観ていないので、そろそろタイミング合わせて…と思っています。
■Vildhjarta『Dar skogen sjunger under evighetens granar』
※文字化け予防のためタイトルから記号は省いています

スウェーデンのプログレッシヴ・メタルバンドの3作目。敢えて間を持たせるフレージングによる先読み不可能なリズムと、静謐ゆえ逆に不気味なアトモスフェリックなパートを挟み込むことで、MESHUGGAH以降のプログレメタルをより複雑怪奇にしたサウンドを、ある種極めたアルバム。宗教画を思わせるアートワークも相まって、誰にも到達できない領域まで行ってしまったように思えます。果たしてこれ以上がいけるのか…とも思いますが、本作がまだ噛んでも噛んでも味がしてくるので、今はこれに浸りつつ、次を待ちましょう。
■BLEEDING THROUGH『NINE』

アメリカ、カリフォルニアのメタルコア・バンドの9作目。ニュースクール・ハードコアにシンフォニック・ブラックやゴスの要素を注入したサウンドで、MAメタル等東海岸側とは一線を画す存在として認知されてきましたが、今回は女性キーボーディストのヴォーカルを大量導入することで、ブルータルな作風はそのままに、音のレイヤーも雰囲気も増えており、新境地を開拓。ひたすら制作もツアーを繰り返してきただけある固い基盤と、チャレンジ精神が結実した好盤でした。「2026年も日本に行く!」と息巻いていたので、待っています。
※リリース時のインタビューはこちらから
■JINJER『DUEL』

ウクライナのプログレッシヴ・メタルバンドの5作目。2010年以降のグルーヴメタルやDjentを踏まえた弾力のあるリズムに、変幻自在かつ妖艶なヴォーカルを搭載…という意味ではこれまでの音楽性の延長線にありながら、各フレーズの練度が格段に高まり、薄味の瞬間がまったくない高密度のプログレ・メタル作。2025年2月に行われた来日公演も素晴らしく、これまでのちょっと地味な感じが払拭されたように思いました。国の情勢上、活動するのも大変なことは想像に難くないのが、歯がゆいところではありますね。
■ARCHITECTS『THE SKY, THE EARTH & ALL BETWEEN』

UK産メタルコア・バンドの11作目。エレクトロニクスの割合を増やした直近2作が連続で本国チャート1位を獲得。また前作リリース後「メタルをやりたい」とジョシュ・ミドルトン(g/SYLOSYS)が脱退したことでどうなるかと思いきや、むしろメタル成分を改めて増強させるという勝負に出た1枚。エレクトロニクス多めの時期に学んだアレンジ力もあってか、ヘヴィで音もギッチリだけど焦点がハッキリして聴きやすいのもポイントですね。どうしても予定が合わないとのことで今作で取材できなかったので、来日の噂に今からワクワクしています。
2025年はインタビューを4本+1本を卒業生のYADAさんから寄稿してもらう形で、記事を公開できました(ほか外部で1本)。2024年は9本あったのでちょっと減った感がありますが、ちゃんと下調べのうえで取材しようと思うと、まぁこのくらいがよさそうな気もします。
Xでも書きましたが「音源があがったら/リリース見えたらやりましょう」という話をしている案件がいくつかあるので、今年もマイペースでやっていきたいですね。
冒頭に書いた通り、今年はPIG CITY来日についての記事がスタートでした。もしニュース掲載等のご相談があれば、お気軽にどうぞ。あくまで個人の嗜好に左右されちゃいますが、いいなと思えばやります(相互フォローでないとDMに気付かない場合があるので、その際はリプライしてください)。
というわけで2026年もよろしくお願いします。
<LINK>
WE LOST THE SEA:https://linktr.ee/welostthesea
View From The Soyuz:https://viewfromthesoyuz.ryzm.jp/
ABIGAIL WILLIAMS:https://abigail-williams.com/
DEFTONES:https://www.deftones.com/
ORBIT CULTURE:https://www.orbitculture.com/
明日の叙景:https://asunojokei.com/
Vildhjarta:https://ffm.bio/vildhjarta
BLEEDING THROUGH:https://www.bleedingthroughofficial.com/
JINJER:https://jinjer-metal.com/
ARCHITECTS:https://www.architectsofficial.com/

