SURVIVEが配信限定シングルをリリース。20年以上駆け抜け続けたバンドの新境地を、司令塔NEMOが語る。

1998年の結成以来、音楽性を変化させつつ、海外ツアー等も積極的に実施。20年以上に渡り活動を続けてきたSURVIVE。そんな彼らの次なる動きとして、配信シングル『the Road to hell is paved by goodwill』がリリースされた。キャリア中期から舵を切ったスラッシュメタル路線を突き詰めつつ、オーケストラを本格的に導入し、より重厚なサウンドを創出することで、新境地を拓いた楽曲だ。このシングルについてはもちろんのこと、10月にクラブチッタで開催する「Metallization Ⅱ」について、司令塔であり唯一のオリジナルメンバーであるNEMO(vo,g)に話を聞いた。

Interview by MOCHI

photo by Ko-ichi Mukoyama

――新型コロナウィルスによって4月に緊急事態宣言が発令、自粛期間となってから、NEMOさんはバンドのYou Tubeチャンネルでギターのカヴァー動画を公開していましたね。ライヴ等の活動ができないなかでのことだと思いますが、バンドとしては自粛期間をどのように過ごすことにしていたんですか?

「焦らないで休もうって話したね(笑)。昨今の音楽業界って、俺たちは常にライヴをやったり、SNSで何かしらネタを発信したりしないと、すぐに忘れられてしまう。だからやり続けなきゃならないから、休みがなかったんだよね。だから、疲弊して活動休止するくらいだったら、これをいい機会として、何もしない期間にすることも必要なんじゃないかって話になったSNSもうまく使えればいいと思うけど、結局ネタがなくなると、無理やりにでもネタを出すようになる。本来はただの宣伝ツールでしかないのに、そこに注力しすぎると、なんのためにバンドをやっているのかわからなくなってきちゃうからね。皮肉な話だけど、おかげでだいぶリラックスして過ごせた」

――NEMOさんは2017年に心不全、2019年にくも膜下出血で緊急入院していましたよね。どちらも命に係わる病気だったと思いますが、それらを経て人生観や今後のバンド活動への考え方に変化はありましたか?

「当たり前だけど、自分の命は永遠じゃないんだっていうことを、ハッキリと突き付けられる形だったからね。これから自分に何ができるのか、どうすれば長くやり続けられるのかっていう考え方が強くなった。昔はすごく躍起になって、ある意味殺気だってやっていたのが“よそはよそでいいんじゃない?”っていう感じで、現実を早く受け止めるようにはなったかな。自分がやるべきことが見えてきたし、それに向かってやるだけだから。でも絶対に見失っちゃいけないのが、あくまで俺たちはアーティストだということ。CDを何万枚も売ったけど、20年後に忘れられているのと、数千枚しか売れなかったけど、20年後にも愛聴者がいてくれるのと、どっちがアーティストとして幸せなのかといったら後者だし、自分たちがやってきたことを煮詰めていくしかないよね」

――くも膜下出血から復帰後、ドラマーとして元UP HOLDのGOROさんが加入しました。もちろん昔からの仲ではあったと思いますが、加入はどんな経緯で決まったんでしょうか?

「前のアルバム『Immortal Warriors』(2019年)のPVで、ドラマーとして参加してもらったのね。そのときに、“コイツ、やたらデカい音出すな”って思って。もちろん昔から、歳も近いし好きな音楽も共通項があったし、同世代特有のノリも通じるし。それにうちらの曲にはダイナミズムだけじゃなくて、現代的なタイトさやアグレッションも必要だから、小手先だけうまい人じゃなくて、昔のスタイルのドラマーを、現代的に仕上げていくのが最適だと思った。それで時間もかかったけど、GOROにやってもらえることになった」

――加入にあたって、GOROさんに要求したことはありましたか?

「現代的なエクストリームミュージックのドラムの手法は、いろいろと取り入れてもらったね。例えばバスドラムの連打とか、普通に踏み切ろうとしても絶対に無理なスピードの曲も多いわけ。だからより踏みやすいペダルを使って、より速く踏める奏法も身に着けてほしいっていう話をして、トリガーも導入した。トリガーをインチキだって嫌う人もいるし、GOROも最初は嫌がっていたけど、負荷を減らして合理的に演奏するためには必要なことなんだよね。でも、昔から培ってきた経験をもって、現代的な手法を取り入れたら最強だと思う。今は2020年だっていうことを受け入れないと、アーティストとして終わっちゃうからね。例えば老舗の路面店のショップなんかは、老舗だからって明治時代のものを扱っているわけじゃなくて、時代とともに進化していくわけだよね。俺はそういうバンドこそ本物だと思うところがあって。頑なさも重要だけど、自分たちの看板の中で、現代のものも持ち込んで、自分たちの歴史をちりばめて表現したいと、常に思っている」

――SURVIVEは音楽性が大きく変化してきたバンドですよね。初期はSOULFLY的なトライバル要素を取り入れたヘヴィロックでしたが、4作目の『SURVIVE』(2006年)からスラッシュメタルに進みました。その後ブラックメタルやデスメタルの要素も取り入れつつ、MACHINE HEADやTRIVIUMにも通じる、大作主義的な現在に至ります。起伏の大きい楽曲作りというのは、時代とともにたどり着いた方向性だったんでしょうか。

「もともと大作主義ではあった。俺はすごくMETALLICAに影響されてスラッシュメタルに入った人間なんだけど『…AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)なんかも長い曲が多いよね。あれをずっと聴いて育ってきたから、尺が短い曲は情報量が少ないように感じちゃう。だから曲が風景とともに進んでいくというか、スケールが大きくて映画のような曲が好きだから、こうなっていったんじゃないかな。実は『HUMAN MISERY』(2015年)までは、ものすごく長い時間スタジオに入って、ジャムりながら作っていたのね。やっぱり大作になればなるほど曲作りに時間がかかっていたけど、GAKU(g)が加入して、ようやくPro Toolsを取り入れてからは、格段に早くなった。ちょっとしたアレンジの変更も、すぐに試せるからね」

――今回の配信シングル『the Road to hell is paved by goodwill』は、「善意によって舗装された、地獄への道」という意味になりますね。

「今の時代背景から、いろんなことを考えたんだよね。地獄への道がなんなのかっていう定義はないけど、もしかしたら生きていくだけで地獄かもしれない。でもうまくいけば、善意の何かで道が開けていくのかもしれない。俺が込めたのは“地獄に落ちるのなんか簡単だ”っていうこと。自分に自信がなくて常に被害者でいたら、どんなにいいことがあっても、そいつはずっと被害者のまま。地獄に落ちたとき、どうやって自分を奮い立たせるのかっていう問いかけであって“俺たちに限界はない。拳を振り上げて、新しい場所に到達していけ”っていうメッセージなんだよね」

――『Immortal Warriors』の一部でも使っていましたが、今回は大々的にオーケストレーションを導入していますね。

「オーケストラはもともと好きだし、メタルの混沌としたリフやビートとも合うものだから、いつか入れたいなとは前から考えていた。オーケストレーションはGAKUにサンプリングで作ってもらったんだけど、最初に聴いたとき、コイツは天才だなと思ったね。曲自体も、一見シンプルだけどものすごく細かい音を詰め込んでいて、カオティックに展開していく感じで、今までにないものだし、SURVIVEの在り方とオーケストラとして、ひとつの完成形だと思う」

――バンドサウンドとオーケストレーションは、どのように組み上げていったんですか?

「もととなるギターのリフがあるうえで、俺がGAKUに “こういう音が入っていたらかっこいいよね”とか、イメージを伝えるから、それをどんどん膨らませてもらって、確認しながらかな。俺が“ラスボスが空から降りてくるような感じで…”感覚的な言い方をするから、難しかったと思うよ(笑)。でもそれを汲み取ってやるのは本当にすごいと思う。だから細部まで俺が考えた通りの形ではないけど、最初からイメージに大きなズレはなかったんだよね。GAKUとはいっしょに曲を作ることも多いから“NEMOならこういう音を求めてるだろう”って、なんとなく読めるんだろうね」

――ヴォーカルについては、これまでのエモーショナルな歌声ではなく、むしろ感情を排除したようなものになっています。

「歌は、最初からああいうのをイメージしていたんだよね。オーケストレーションは分厚く感情的だけど、俺には感情がないかのようにしたかった。これまでと同じような感じだと暑苦しすぎる気がして(笑)」

――今回、VENOM Inc.のトニー“デモリッション・マン”ドーラン(vo,b)が参加しています。VENOMは様々な問題で別れてしまったバンドではありますが、スラッシュメタル以降のジャンルにおいて重要な存在です。NEMOさんにとって、VENOMおよびトニーはどんな存在ですか?

「俺はメタルを90年代に入ってから、METALLICAをきっかけにハマったのね。で、METALLICAのメンバーが昔の写真でVENOMのTシャツを着ていたり、インタビューで影響を受けたって話をしているわけ。それでどんなバンドなんだろうと思って買ったのが『PRIME EVIL』(1989年)で、まさにトニーが加入して最初のアルバムだった。その後、UNITEDのHallyさん(吉田” Hally “良文/g)の家に仲間と集まった時、HallyさんがVENOMのライヴビデオを手に入れたから見ようぜってことになって。それで初めてトニーの姿を見たんだけど、“こいつデモリッション・マンとか名乗っているけど、絶対いい奴だな”って思ったね(笑)。それから30年くらい経って、VENOM Inc.とツアーすることになって“デモリッション・マンだ!”ってなったんだけど、話してみたら思った通りにいい人でさ。俺たちのことも気に入ってくれたし、ヨーロッパを一緒に廻ったときも、ものすごくよくしてくれたんだよね。だから俺にとってはヨーロッパにいる友だちの一人だし、ぜひ参加してほしかった」

――“the Road to hell is paved by goodwill”から、オーケストラとともに再録された“Rules Of Lies”につながっていきます。これは『HUMAN MISERY』収録の曲ですが、なぜこの曲を再録することになったんでしょうか?

「実は“the Road to hell is paved by goodwill”のルーツにあたるのが、“Rules Of Lies”なんだよね。この曲は最近のライヴでは同期でオーケストラを入れながら演奏していて、俺たちがオーケストラを意識し始めたきっかけの曲でもあるから。いまだに好きな曲だし、今のバージョンとして残しておきたかったし、ライヴに来てくれている人なら“やっとあのバージョンが音源で聴ける”って思ってくれるんじゃないかな」

――5年間ライヴで演奏し続けてきた曲を再録して、やはり以前とは違いますか?

「歌い方とか、サビまでの持っていき方は変わったね。過去の音源ではもうちょっとモッサリしていたけど、今回はシャキっとタイトに入ってくるし、感情も乗っている感じがする。5年もやると曲が育っていくんだなって思ったね。それに、GAKUがとにかくレコーディングに長けている人間で、俺が自分の感性だけでやっていたところに、テクニックを理論的に助言して、いろんなものを引き出してくれるし。歌も技術を得たことで楽しく歌えるし、コントロールできるようになったね」

――9/12(土)にこのシングルのレコ発を行った後、10月18日(日)には川崎のクラブチッタで「Metallization Ⅱ」を開催します。「Metallization」は昨年からスタートしたイベントですが、これの開催理由やコンセプトを教えてください。

「日本のメタルシーン底上げ。それだけだね。日本はシステムのせいもあって、どうしてもライヴハウスが村になってしまって、同じような志を持っているバンド同士でも、なかなかつながりが持てなかったりする。だからクラブチッタという大箱で派閥もなく集まって、本当の意味でのショーをやり合うことで、純粋にバンドを楽しめる場所を作りたかった。それに、お客さんが目の前にいて、エネルギーをダイレクトに伝えられるライヴハウスだけじゃなくて、大きな会場でライヴをひとつのショーとして成立させるのも、プロフェッショナルなバンドのやり方だと思う。大箱になると、ちょっとした動き一つでも伝わりにくい。それを計算しないでやっちゃうと、違和感が残るわけ。そこでどう見せるかっていうのも、バンドのプロデュースになるんだよね。そうやって通用するバンドが増えてほしいし、そうすればお互いに有益なこともたくさんあるよね。そのきっかけになればいいなと思って。出演バンドは独断と偏見ではあるけど、キャリアも関係なくごちゃ混ぜでやろうっていうのが狙い。もちろん楽しいのが大前提だけど、ライヴのパフォーマンスひとつで観客を沸かしていこう。SNSで客を囲いこむんじゃなくて、ステージに出てきた瞬間からかっこいい、本当の勝者になろうっていうことなんだよね」

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